Meltdown 2001緊急レポート 5/5
――DirectX 8.1に見るパソコンゲームの進化と今後

2001/07/27

Text by 奥谷海人

Windows XPでのゲーミング

 Windows XPは今年10月にリリースされる予定のウィンドウズ最新版で,OSとしてはWindows 95以来の大行事になるといわれているものだ。Windows XPは「Windows XP Professional」「Windows XP Home Edition」の2種類が発売される予定で,機能面でいくつかの違いがある。
 マイクロソフトは,Professionalを「ハードコアゲーマーと開発者のためのOS」と位置付けており,Home Editionでは割愛されている,マルチプロセッササポート,リモートデスクトップ(ターミナルサービス),ファイル暗号化システム,ファースト・ユーザー・スイッチング,ドメイン共有といった機能が目新しい。Windows XP開発チームによると「アメリカの全家庭の80%がコンピュータを複数の家族メンバーで共有している」とのことなので,複数の人間で使用されることになるのを想定したのがProfessional版だといえるだろう。

 Windows XP Professionalの機能で,ゲーマーにとってメリットがあると思われるのはマルチプロセッサに対応していることだが,それ以外に魅力的な要素は少ないかもしれない。その代表格が,複数のユーザーでも一瞬にして"自分専用のWindowsに変換できる"というスイッチング機能だ。複数のユーザーが1台のコンピューターを共有しやすくなるというのは確かにありがたいが,たとえスイッチング機能がどんなに使いやすいものだとしても,ゲームをプレイしている途中にコンピュータの主導権を家人に明渡すことなど到底考えられないのではないだろうか。そもそも,日記や秘密画像(?)のほかに暗号化するようなものなど,家庭の利用ではほとんどないような気もするし……。

 開発者がWindows XP用ソフトを開発するにあたって,OS互換性以外に注意を払わなければならない問題点もいくつかあるようだ。
 例えば,ゲームソフトをどこにインストールさせるのかということが一つ。個人専用ファイルにインストールする人もあるだろうし,兄弟それぞれが遊べるように共通ファイル内にインストールしてしまう人も考えられる。HDDは安価になったものの,兄弟がそろって専用にインストールなどすれば,スペースがもったいないことこのうえない。現時点のβテストでは,インストール場所の多用化によりインストールプログラムさえも受け付けないという問題も起こっているという話も聞く。どこにインストールするかで,些細ながらもアクセススピードが異なることも考えられ,マルチユーザー化のメリットが見え難いのが現状だ。
 また,万一プレイヤーが席を立った間に家人がスイッチングした場合,下層ではゲームが起動したままの状態になっているから,メモリやプロセッサのリソース管理に無駄がでてくる。ソフト開発者側にも,アプリケーションを一時的に停止させるようなプログラムが必要になってくるのだ。もっとも,ほとんどの場合ゲームはフルスクリーンで行われているため,ゲームを止めなければほかの人が使えないことは確か。逆説的にいえば,常時ゲームを楽しむ人間にとってはスイッチングは必要な機能とはいえない。
 ……と,少々否定的になりすぎたが,Windows NTカーネルをベースにしたWindows XPは,Windows95ベースのバージョンと比べてもはるかに安定しているはずで,Windows XPにスムーズに移行するなら,それに以上に喜ばしいことはない。

 前述した通りDirectX 8.0が登場したほどのインパクトはないものの,DirectX 8.1並びにDirectX 9.0は,より機能的なAPIへと進化している。今秋あたりからは,DirectX 8.0をフルサポートしたソフトも続々と登場してくるし,DirectX 8.0に対応したGeForce3やRadeonも値段が下がってくる頃だ。
ちなみに日本では,7月30日から8月1日までセンチュリーハイアット東京およびマイクロソフト新宿オフィスで,Meltdown Tokyo 2001が開催される予定。開発者やプレスしか参加できないが,日本のパソコンゲーム市場でのDirectXのさらなる浸透が望まれるところだ。

 

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