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Meltdown 2001緊急レポート 3/5
――DirectX 8.1に見るパソコンゲームの進化と今後
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2001/07/27
Text by 奥谷海人
DirectX Graphics 8.1の新効果
DirectX 8.1で新たに追加された新機能には,聞きなれない技法として以下のようなものもある。
−−パーピクセル・環境マッピング(Per-Pixel Environmental Mapping)
前述のようにピクセル・シェイダーでピクセルごとへの精密なコントロールができたのに伴い,環境マッピングがレイトレーシングレベルの高度なものへと変化する。水面やメタルの表面への反映が,よりリアルなものになるはずだ。
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| 実際の水がグラスに注がれているかのような効果を生み出す環境マッピング。ピクセル単位でのコントロールが可能であるがゆえに表示できるグラフィックスだ |
−−アニソトロピック・ライティング(Anisotropic Lighting)
これはスペキュラー・ハイライティングの一種で,円形状に表示することをも可能にしたものだ。例えるなら,ストレートな黒髪によく見られる"光の輪"のようなものである。動物の滑らかな毛並みや,ロボット,CDの表示などにも応用できそうだ。
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| アニソトロピック・ライティング効果の2例 |
−−へミスフェア・ライティング(Hemisphere Lighting)
「スカイカラー」「グラウンドカラー」と呼ばれる二つの半球モデルに光の濃度を設定し,キュービックマッピングに応用した効果。キュービックマッピング自体がゲームに適したものではないので,どのように反映されていくかは不明
−−パーピクセル/パーバーテックス・インテグラル・コンパリソン(Per-Pixel/Per-Vertex Integral Comparison)
リアルタイムで影を表示するための手法。例えばビルの谷間をプレイヤーキャラクターが歩くようなときに,左右のビルの高さによって影の暗さなどを自動的に変化させることができるようになる。
−−グロウ・シェイダー(Glow Shader)
"ゴースト・シェイダー"とも呼ばれているもので,文字通り幽霊のような半透明のオブジェクトが自発的に光を発することを可能にする。今秋公開予定の「Final Fantasy:The Spirit Within」に登場するゴーストたちのような高度なキャラクターも,来年あたりにはゲームに登場するのかもしれない。
−−リフラクション・シェイダー(Refraction Shader)
リフレクション・シェイダー (Reflection)とも言う。ステンドガラスのようなものの表現にピッタリの技法で,ステンドガラスの向こうにあるオブジェクトやテクスチャも,ディストーションをかけた状態でガラス越しに表示すると,いうような効果を得ることができる。
−−パーピクセル・シャドウ(Per-Pixel Shadow)
ピクセル単位でハイコントラストな影をつけることができるため,バンプマッピングなどでも影を自動処理することも可能なテクノロジー。これによってバンプマッピングもさらに認識できやすくなるほか,動きのあるオブジェクトのテクスチャにも対応する。
DirectX Graphicsの今後の課題と,DirectX Graphics 9.0
シェイダー機能によってグラフィックス表現の技法は大幅に向上したが,依然としてガンマ補正が困難なことは改善するべき点である。プログラマやアーティストが十分なガンマ補正をできてこそ,霧や炎のような効果に真実味を持たせ,雰囲気のある世界観を作り出せることになるからだ。
またATIの技術者は,シェイダーのプログラミングツールが非常に未熟であることを指摘しており,今後はそのツール自体が,DirectXのアセットの一つとして組み込まれていくことを予測していた。DirectX Graphicsにしても,古いバージョンとの互換性を保つ意味合いから,まだ主流といえるマルチパス・ライティング技法を今後も継続していかなければならないのは確かだ。
一方,2002年秋にリリースされる予定のDirectX Graphics 9.0だが,今回はなぜか具体的な仕様が公表されることはなかった。ただいえることは,新しい.DLLシステムをサポートし,バーテックス・シェイダー,ピクセル・シェイダーともにバージョン2.0へと移行するということだ。
具体的なバーテックス・シェイダーの機能としては,見えない部分のレクタングル(四つの頂点からなるサーフェイス)を自動的に削減するシザー・プレイン(Scissors Plane)や,テクスチャの表示レベルを自在に変化できるディスプレイスメント・マッピング(Displacement Mapping)などが挙げられる。また,ピクセル・シェイダー2.0ではテクスチャサンプル数がDirectX 8.1から倍増の16サンプルとなり,さらに自由度の高いテクスチャ効果が見込まれる。さらにハードウェアのパワーが向上してきたことから,ガンマ補正の改良にも力が注がれるのは必至だ。ただ総体的に見て,DirectX 8.0で行われたほどの飛躍はないと思われる。
ちなみにATIのRadeon 2は,すでにDirectX Graphics 9.0のサポートを表明しており,今回のMeltdownではNVIDIA以上の存在だったといえる。シェイダー機能は,元々マイクロソフトがNVIDIAからライセンスした技術ではあるが,ATIの技術者たちも相当な研究を重ねているようで,今後の飛躍に期待できそうな手応えがあった。
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