Text&Photo by 奥谷海人

〜Halo開発者インタビュー その1〜




デイビッド・マーツ/David Martz
〜 リード・レベルデザイナー

「何度もプレイテストして,多くのマップをふるい落としたり,細かい調整を加えてきました」
forGamer.net(4GN):  レベルデザイナーという職種は,日本ではまだまだ知られていない特殊業務という認識しかありませんが,マーツさん自身はどのようにお考えですか?
デイビッド・マーツ(以下,DM):
 ゲームデザイナーとレベルデザイナーの境界線ということかな? Bungie Software社には,実際のマップを制作するレベルデザイナーが複数人おり,さらにその上のエンバイトメンタル・アーティストという役職の人間が,パワーアップなどのオブジェクトやチューニングを置いていくというような,日本のやり方に近い体制を取っています。  我々の場合は,本作ではマルチプレイヤー専用マップだけを制作するというのもありますが,基本的には一人のデザイナーが,レベルのすべての要素を自分で管轄しています。この方式では,世界観やデザインフィロソフィ(Design Philosophy)が統率されにくい半面,よりデザイナーごとの個性が出やすいものになっているといえますね。
4GN:  マルチプレイヤー専用マップは6種類用意されるということですね。

DM:
 はい。6種類の屋外マップを用意します。専用マップを作る必要があったのは,もちろん目新しさということには違いないですが,そのほかにもXbox用のマップはスプリットスクリーンに耐えれるよう設計された小ぶりなものが多く,PCでのゲームには適していないからなのです。そのため,おのずとゲームモードにも偏りが出てしまっていましたね。
 PC専用マップは,初期には6種類という限定された数ではありますが,意図的に広大なものにし,どんなゲームモードや参加人数にも対応できるよう設定しているのです。

4GN:  テスターに一番人気のマップというTimberlandも,マーツさんが制作したらしいですね。

DM:
 そうです。コンセプトは非常にシンプルですが,基地から出て丘に立った時点で,すべての状況が把握できるようになっています。
 だからといって簡単に攻略できるのではなく,敵も同じように自分達の動きが見えるわけですから,そこに新しい戦略が生まれてくるだろうと期待しています。また樹木や岩で覆われているので,スナイピングも簡単にはいかない。だから,プレイヤーなりの戦略やさまざまなゲームモードが楽しめるようになっているのではないでしょうか。

4GN:  ゲームモードによっては,マップ上での戦略が異なりますが,それをすべて包括できてしまうようなマップを作るのは,果たして可能なのですか?

DM:
 確かに,簡単なことではないです。何度もプレイテストして,多くのマップを古い落としたり,細かい調整を加えてきました。
 もちろん,マップによっては得意不得意がありますけど,そのマージンはかなり狭くなっていると思いますよ。とにかく,マップの形状に限定されることなく,どんなゲームモードでも遊んでみてほしいですね。

4GN:  Timberlandのほかに,マーツさんが手掛けたマップは?

DM:
 私が一人で作り上げたのはTimberlandだけですが,リードとしてすべてのマップを見ています。
 Bungie Software社からは,事前に「Halo Bible」という資料を提供されていて,これに沿ってマップを制作しています。これは世界観やバックグラウンドストーリーを事細かく書いた10cmくらいの資料集で,我々はHaloの世界らしいマルチプレイヤーマップを作らなければなりませんでした。

4GN:  ほほう,そういう資料が存在するのですか。最後ですが,対戦人数が16人になった理由は?

DM:
 まず,小ぶりなXbox用のマルチプレイヤー用マップでも対応できる人数でなければならなかったということ。あと,Haloのように基本的に同じ能力のキャラクターでプレイするようなゲームでは,これ以上人数が増えても,ゲームプレイにはほとんど影響がでないと判断したからです。
 ペースも速いゲームですし,パフォーマンスに影響しない程度で,気分良くプレイするのは,16人くらいが調度良いと考えました。プレイヤーのみなさんが爽快にプレイできるよう考慮したので,Haloを楽しんでもらいたいですね。


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