……とここで記事としては終了だが,実はこのインタビューの合間合間にもいろんな人から話を聞いたり,GMの人にいろいろ連れていってもらったりして(GM用プログラムを初めて見た),かなり長い時間お邪魔していた。
英語版からのプレイヤーなら感じていたかもしれない「So-net」という名前からくる不安感は,この取材ですっかり拭われることになった。彼らは,EQを既存のコンテンツの一つとして同列で扱うことはせず,かなりの本腰を入れて日本語化作業およびサービスインを行っていたのだ。関係者全員をカウントすると優に100名を超えると思われるメンバー達が,EQ日本語版の作業を日夜黙々と行っているのだ。
MMORPGの運営にとってもっとも大事なものは,まず予算だ。予算がないことにはなにも回らない。そして次に必要な,そしてもっとも得がたいものは,優秀なメンバー達だろう。お金だけあって運営を開始したところで,キチンとしたポリシーをもったプロデューサー,その思想をキチンと受け取って現場に反映させるGM達がいないことには,現実のMMORPGはまったく機能しなくなってしまう。そしてサーバーを管理する技術者なども,目立たないとはいえとてつもなく大事な要素だ。
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| ついに発売日も決定した「エバークエスト日本語版 トリロジー」。追加パックも2本入ったお買得パックだ |
そう。改めて気付かされたがSo-netは,そのすべてを持っているのだ。巨大なバックグラウンド,予算,優秀なメンバー達……これほど恵まれた国内MMORPGの運営は,初めて見た。ソニーコミュニケーションネットワーク自体ソニー本社からの出向社員も多いのだが,このEQプロジェクトに関してもきっちりソニー本社が絡んでいる。
ソニーグループが協力体制を敷いて本気になってMMORPGを動かす最初の作品が,この「エバークエスト日本語版」なのだろう。So-net会員の仮に1%が参加して,VAIOの夏モデルにプリインストールされたりした日には,最初「無理だろ?」と思っていた(少なくとも筆者はそう思っていた)7万人というとりあえずの目標アカウント数も,もしかしたらあっさり達成されてしまうのかもしれない。
この先,どうしてもその"見かけ"上,「ファイナルファンタジー XI」と比較されてしまうことが多くなると思う。アチラには「FFの世界観」という一体何百万人が知っているのか想像もつかない強みがあり,こちらには「ピュアなファンタジー」という国産には見られない素晴らしい世界観がある。
確かにFFは社会現象にまでなって,バグ技によるアカbanが新聞に掲載されたりと注目度は圧倒的に高い。好き嫌いこそあろうがグラフィックスが"キレイ"なのは事実で,それで人目を惹くことも多いだろう。
一方EQは,途中でグラフィックスが強化されたとはいえ,"4年前"の作品という事実は動かしがたい。しかしこちらにはソニーによるパブ(広告)があり,そして何より「比較的低スペックでも動く」という強みがある。ちなみに筆者が'99年当時EQを遊んでいたときは,「K6-2/350MHz+Voodoo+ISDN」というスペックだ(いま改めて書くとなんとなく恥ずかしい……)。
※余談だが,指輪物語の影響だろうか,EQプレビュー版にはレンジャーが無茶苦茶多い気がする。先日Qeynos
Hills(ケイノスヒル)で/whoしたら,23人中18人がレンジャー……
そしてなにより,すでに経験済みのプレイヤーからすれば「いまさら感」は拭えない。なにせEQというゲームは相当歴史が長い。マップやアイテム情報,クエスト,アイテムなどあらゆる情報はWebで網羅され,ちょっと調べるだけでそれらがすべて手に入る。コアプレイヤーからしてみれば,日本語のメッセージ以外に目新しい要素は「何もない」のだ。
しかし,だからなんだというのだろう。そんなのは些細なことだ。そもそもメインターゲットは「初めてMMORPGを遊ぶプレイヤー」なのだろうし,かつてのEQがターゲットとしていたコアプレイヤー相手の商売では,MMORPGというものはリスクが大きすぎて採算など合うはずもない。英語の壁を越えられない初心者がプレイしてこそ,初めて"ビジネス"として成立するのだ。採算が合わないから真っ当なサービスをしない,真っ当なサービスをしないから人が増えないという悪循環を繰り返しているのが,欧米産MMORPGの宿命だったのだ。それを打破することを目指して日本語版が登場するのは,大いに歓迎すべきことだろう。
まだTXT周りのバグなども若干見られるが,このぶんならすぐにつぶしてくれるだろうし,いままで躊躇していた初心者にとって"とても遊びやすい環境"になっていることは疑う余地もない。そしてなによりEQは,4年経ってもやはりEQなのだ。プロデューサー柿添氏のセリフにもあったように,「EQはEQ」なのだ。
いままで英語の壁に阻まれていた人も,ぜひともプレイしてみてほしい。EQは,今でも十分に面白い。あなたがいままで遊んでいたMMORPGとは違う感動と興奮を,きっと与えてくれることだろう。なぜいまでも3D
MMORPGの世界で一線を張り続けているのか,きっと分かってもらえるのではないだろうか。
まったく未経験なら,2月に入ってからダウンロードで提供されるというクラシック版。これはぜひダウンロードして試してみてほしい。オンラインゲームは未経験? 大丈夫。あなたが何をしても誰も笑わないし,人が何をしてもいいではないか。周りの大半は初心者だ。そして可能ならレベルを25ぐらいまで,いや20ぐらいでもいい。ぜひ上げてみてほしい。上級者や経験者の意見など無視していい。親切心で効率のよいプレイ方法をいろいろと教えてくれるだろうが,そんなものは聞くだけ聞いて忘れていい。ゆっくりのんびり,精密に計算されて作られた素晴らしいEQの世界を,友人・知人と一緒に楽しんでみてはどうだろうか。
そして柿添氏を初めとするメンバー達とともに,新しい日本語版EQを作り上げてほしい。/petiも/bugも/reportも日本語でできるのだから。
※筆者のもっとも個人的にお勧めなレベル域は「15〜35」だ。EQは,この期間がもっとも面白いと思う
日本語プレビュー版でのプレイは,とても懐かしく新鮮で,面白いものだった。数cpでしか売れないアイテムを懸命に集め,1個1個順番にレザーアーマーを買って,初心者クエストをやって,BBでTrainに轢かれて……同じように一種の郷愁を感じたEQ経験者も多いのではないだろうか。
やはりEQは面白い。この素晴らしいワクワクするEQの世界を,日本語で,一から体験できるプレイヤーを,心の底から羨ましいと思う。
ソニー系列の大資本が,本気になってMMORPGをサービスインしてくれることを,素直に嬉しく思う。こんなにキチンとした体制を組んでやってくれるのなら,諸手を挙げて歓迎したい。願わくばこのまま無事に運営し続けて,誰もが想像する"この先の展開"にもつなげてくれますように……。
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