エバークエスト日本語版

聞き手・Kazuhisa@4Gamer

※筆者のシャーマンはLv14にしかなっておらず,ブラックバロウに篭っているときの画面写真がメインです。仕事であることを忘れて遊んでしまって,場所的にその近辺の画面が少ししかありません。ご了承ください。

 いまだから書けるが,筆者が初めて「EQ日本語化&日本サーバー設置」の話を具体的に聞いたのは2002年初夏のことだ。そのころからすでにSo-netの名前は聞こえてきていて,"おぉ,ついにくるのかぁ"と素直に思ったものだ。とはいえ個人的には,MMORPGの経験のないISPが,EQという名作をどこまでキチンとサービスインしてくれるのか,とても不安だったのも正直なところ(以後,本来社名はソニーコミュニケーションネットワーク[SCN]と書くべきだが,読みやすさを重視してSo-netと表記する)。
 プレイヤーサイドから見ても容易に想像が付くように,MMORPGの,しかも海外モノを日本語化してのサービスインというのは膨大な費用と人材が必要なのだ。回線,サーバー,サポート(ゲーム内・ゲーム外),翻訳,バグ取り,広報,宣伝……。なにより「売り切りの製品ではない」ところが,サービス元にとっては最大の問題だ
 すでにいくつかの"ネットワークゲーム"はSo-netコンテンツとして立ち上げられていたが,MMORPGの運営を行ったというのは(当時)聞いたことがない。確かにグループ会社として見ればかなりの巨大企業だが,失礼を承知でいえば,いままでのネットワークコンテンツの一つとして同列に扱われてしまうと,せっかくの名作が埋もれてしまう……そんな危惧があったのは否めない。

 そして始まったプレビューβ版。筆者も"Kazuhisa"というそのまんまのキャラクターを作って,みんなにはるか遅れこと1月13日からプレイしているわけだが,そのデキの良さに素直に感動した。単なる"適当な機械翻訳"の部分もまだ散見されるが,大半の部分は素晴らしい出来栄え。BarbarianはBarbarianらしく,GnollはGnollらしく,High-ElfはHigh-Elfらしく,OgreはOgreらしいしゃべり方で違和感のない翻訳になっているではないか。筆者も英語版稼動時(4年ほど前)からのプレイヤーだが,恥ずかしながら「日本語」というものがどれほど大きいものかを痛感した。各種ファンサイトでも言われているように,各種クエストのバックグラウンドやNPC同士の関係など,日本語版で初めて知ったことも多いのだ。しかもこれ,Classicだけでなく,いきなり稼動時にTrilogyからのサービスインだというではないか。
 そうか。So-netは,筆者が考えていた以上に本気なのか。誤解していてごめんなさい。ならばぜひともその心意気を聞いておかなくてはなるまい。そう思って強引に時間をもらってのインタビューとなったわけだ。1月22日午後にSCN系総本山の品川御殿山ヒルズに向かった筆者を出迎えてくれたのは,日本語版のプロデューサーやGMの元締めなど,そうそうたるメンバーだったわけだが……。
 以下,主に話をしてくれたのはEQプロデューサーたる柿添尚弘氏だ。

 

EQセクション
エバークエストプロデューサー

柿添 尚弘氏

「中学生1,2年のころから"マイコン"でプログラム作ってましたねぇ」という会話から想像したとおり,筆者とほぼ同年代。以前は某広告代理店にいて,ゲーム番組の制作やシナリオライターなどなんでもこなすマルチな人(余り深く書けないのが残念だ)。キチンとしたポリシーを持ってEQを運営していく,頼りになる34歳

 

経緯および近い将来の展開

 

forGamer(以下,4G)
   実は2002年夏から日本語版の話は聞いていたんですけど,So-netがサービスインするというのは,PCゲーム市場的にはちょっと意外でした。どういった事情からきてるんですか?

EQプロデューサー柿添氏(以下,柿添):
   「そんな話どっから聞いてたんですか? 我々は漏らしてないつもりなのに,なんだかちょこちょこ漏れてるんですよねぇ(笑)

4G:
   いえいえ,So-net筋からじゃないのでご安心を(笑)

柿添:
 

 「まぁやはり「売り切り製品じゃない」というところが一番大きいでしょうか。インフラやカスタマーサービスの人員などを持っているということを重要視しての結果でしょうね。
 流通に関してはユービーアイさんのほうがはるかに歴史が長いですが,それ以外の部分でのノウハウは我々が持っているわけですし。まぁ一種つながりのあるグループ企業であるという部分も大きいでしょうけど」

4G:
   なるほど。しかしプレビューβ版,私も参加しているんですけど,みんなが大きく気にしているであろうことについてお聞きしてもいいですか?

柿添:
 

 「キャラクターデータワイプの件ですね。まぁあれはワイプするということがすでに決定しました

※注:1月22日午後に行われたインタビューなので時間的に公式発表の前にあたり,ここでは質問事項に挙げています。ご了承ください。

4G:
   あぁ,やはりそうなんですね。ネーミングポリシーの問題や,イベントで配ったアイテムの豪華さを見ても,当然ワイプするんだろうなぁと思ってはいましたが

柿添:
 

 「そうですね。あのイベントアイテムにはそういう意図がこめられていました。あれほどのアイテムを配るのだから当然ワイプされるだろう,と気付いてほしかったわけです。各地のBBSなどでそういう意見も多かったので,あぁみんな気付いてくれたんだなぁ,ってちょっとホッとしましたよ」

4G:
   名前の問題も大きいですよね?

柿添:
 

 「それもありますねぇ。ネーミングに関しては,先行でキャラクターを作ったもの勝ちですからね,このゲーム。やはりお金を払ってプレイしてくれる人に不愉快を感じてほしくないですから

漢字名のキャラクター,日本語のチャット,日本語のメッセージ。もうすっかり"国産MMORPG"と同等のプレイアビリティになっている

 

4G:
   そのネーミングポリシーですけど,なにか一定のNGワードとかはもう日本独自のものは決まってるんですか? 実はさまざまな有名人・有名キャラクターの名前でキャラクター作成するテストをしてるんですが,結構なんでも通っちゃうのでちょっとドキドキしてるんですけど

柿添:
 

 「どんなの作ったんですか?」

4G:
    ピカチュウとかできちゃいましたね。政治家の名前などはほとんどハネられましたけど。モモとかジンパチとかはまだ試してません(笑)

※注:ポストペットのキャラクターの名前

柿添:
 

 「あんまり変な実験しないでください(笑)。NGワードのデータベースはいま作成中ではありますけど,ご承知のように100%パーフェクトなものを作るのは不可能ですし」

4G:
   まして日本語版だと,英字,漢字,ひらがな,カタカナなど多彩ですしね

柿添:
 

 「ええ。なので,ある程度のレベルのものを作ったら,あとはGMによる個別対応になると思います。ゲーム中に体育館裏に呼び出して「名前変えろよ!」って(笑)」

4G:
   英語版と同様なんですね

柿添:
 

 「うん,同じ感じですね。一度拒絶した名前は自動でデータベースに記録されるようになっているので,「あのときできなかったけどいま作れる」ということはないはずです」

画面写真はすべて開発中のものです

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