EA CAMP 2003

Text by 奥谷海人

「Command & Conquer Generals:Zero Hour」

 「Command & Conquer Generals」は,ゲームエンジンを使った多彩なイベントによるストーリーの進行と,ユニットのバランスやゲームのテンポの良さで人気を博しているRTSの名作だ。さすが,このジャンルを開拓した元Westwood Studios(現在は,Electronic Arts Los Angelesに統合)の作品だと唸るコアゲーマーも多かったことだろうが,EA CAMP 2003では,その拡張パックとなる「Command & Conquer Generals:Zero Hour」が初めて公開された。
 実際のところ,まだかなりの部分ができていないようで,プロデューサーにいわせると,多くの仕様が未確定の状態ということだった。
 Zero Hourでは,本編と同じように,アメリカ軍,中国軍,そしてテロリスト組織のGLA(Global Liberation Army)の三つ巴の戦いが描かれている。本編のエンディングで駆逐されたGLAだが,実は地下に潜って兵力を増強させていたばかりか,新種の化学兵器を開発して,アメリカ軍の海外基地への侵攻を企んでいるという,現在の世界情勢とも重なる設定になっている。
 ストーリーは,それぞれの軍隊の視点から描かれており,五つずつのミッションで構成される三つのキャンペーンが用意されている。各勢力のストーリーは,CNN風の世界ネットワーク,イラク戦争で話題になったアル・ジャジーラ風,そして中国系の女性レポーターという,戦争特派員の立場から語られることになる。

 Zero Hourを担当プロデューサーに簡単に説明してもらったところ,それぞれの特徴を強化しており,これまで以上にパワフルなユニットの攻防を楽しめるとのこと。オリジナル作品に登場したユニットはもちろん,合計で20〜25種類に及ぶ新ユニットが追加されるらしいが,このへんは開発過程で変更されていくのだろう。

 アメリカ軍は,よりハイテク感が増し,制空能力もアップしている。
 MOAB(Mother of All Bombs/非常に強力な爆弾の意)や,敵兵の戦意を低下させるためのビラも投下できるようになる。地上部隊に目を向ければ,Microwave Tankというエリアエフェクトで敵を攻撃するユニットや,アップグレードでChem Suitという化学兵器に耐性を持つ装備を保有できる。また,画面半分くらいを覆う巨大な軍艦が登場するが,これはプレイヤーがコントロールできるものではなさそうだ。
 GLAには,Combat Cycleというバイクのゲリラユニットが用意されている。これは,崖をジャンプして超えることが可能で,後輪から着地するアニメーションはモトクロスを連想させる。サイドカーには,すべてのタイプの歩兵ユニットを騎乗させることができるので,さまざまな使い道があるだろう。またBattle Busは,それだけでは強力な兵器ではないが,破壊された時点でバンカーへと再利用できるため,それを目的に,多くの兵士を乗せて敵地へと突進していけるだろう。また,すべてのユニットが廃品回収できるようにもなっている
 中国軍で顕著な変化は,Internet Centerという建築物の追加だ。この施設によって,敵勢力にハッカーを送り込むことで非常に円滑に資金を得られるようになったのはありがたい。ハッカーは,アメリカ軍のサテライトをハッキングし,敵の見ている場所を確認することも可能だ。輸送ヘリにすでに兵士を積み込んだOverlordを搭載し,確実に戦地のまっただ中に送り込むことも可能だ。

 Zero Hourでは,9人の将軍(各勢力3人ずつ?)に焦点が当てられており,彼ら特有のユニットも多い。例えばGLAの将軍であるDr. Thraxは,Toxin Defenderというロケットランチャーのロケットの代わりに,化学物質を放出して攻撃する。アメリカのMalcolm Grangerは,航空ユニットを安価に生産できるという特色があり,中国のTsing Shi Tao将軍は,普通のタンクにも核爆弾を搭載してしまうような核好き(?)となる。
 将軍達には,使用が制限されている技術などもあるので,使い分けることで同じ軍隊でも異なる戦術になってくるだろう。
 この将軍達を使った対戦モードは「Challenge」と呼ばれるようで,格闘ゲームのように二人のポートレートが並んだ状態でローディングされる。それぞれの特色を活かしたプレイで楽しめるはずだ。実際開発者達は,現在オンラインで使用されているさまざまな戦法で勝てるようにバランスを調整するつもりらしい
 ゲームエンジンを使ったゲーム内ムービーは,かなり迫力を増している。それもそのはず,アニメーターには映画「パールハーバー」や「アルマゲドン」も手掛けたハリウッドの人材が参加しているのだ。先述しsたアメリカ軍の巨大軍艦は,イオンキャノンを乗っ取ったGLA軍によって破壊されるのだが,中央から分断されて沈んでいく姿は圧巻である。
 ユニット数やグラフィックスばかりでなく,インタフェースにも多くの改良が行われている。ほかのRTSでは一般的な右クリックが採用されることになったのも,より多くのプレイヤーにアピールするためだろう。アメリカでは今秋にリリースされるとのことだが,エレクトロニック・アーツのことだから,日本語版もそう待たずに発売されることだろう。

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