|
forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<1>
2/3
クリーチャー島で繰り広げられる,B&Wの新たな展開
さて本題に入ろう。デモの説明をしてくれたジョンティー・バーンズ氏は,1988年にBullfrog Productions社にβテスターとして参加したことからピーター・モリニュー氏の目に止まった。その頃はプログラミングに関する知識はなかったそうだが,その後大学への進学も認めてもらい,アカデミックな環境でコンピュータ技術を身に付ける。そして,ダンジョン・キーパー制作のときに,思考ルーチンのプログラマとして花咲き,B&Wでシニアプログラマへと昇進した逸材だ。B&Wの魅力が思考ルーチンの精巧さに集約されているとすれば,バーンズ氏が大きく貢献したこともうなずけるだろう。
モリニュー氏も,「ボクばかりじゃなくて,ジョンティのような若手ももっとスポットが当てられるべきだ」と,今回はバーンズ氏を紹介する機会をいただいた。バーンズ氏は,B&Wファンの声を聞きつつも,それをどのようにゲームに反映できるかを日頃から考えているという。以後,B&W2を始めとする本作品の関連ソフトは,彼の手にかかるのである。
forGamer.net(以下,4GN):
ECTSでは拝見しているのですが,今回は詳細まで聞いちゃいますね。
 |
| BWCIに登場する民族は,B&Wと同じものばかり。しかし,敵対する神がいない分,好きなように干渉できるという楽しみがある |
Jonty Barnes(以下,バーンズ):
ええ,いいですよ。基本的にBWCIのゲームプレイは,B&Wよりもう少し深くクリーチャーたちに重点を置いたものになっています。メインになっているのは,プレイヤーのクリーチャーに仲間を与えてやるということ。それを育てて,インターネットに持っていくということが可能になっているんです。
オリジナルのB&Wで時間がなくて出来なかったことや,我々が考え付かなかったようなファンのアイデアを詰め込んだもので,ファンのコミュニティへのサービス的な意味合いもあります。伝道師たちの奏でる音楽がうっとうしいとか,そういう細かい部分までファンの反応を生かそうとしているんですよ。
4GN:
伝道師って,あの浜辺でアコーディオンを弾きながらクエストを出し続ける3人組みですね。この拡張パックのアイデアは,以前からあったものなんですか?
バーンズ:
実は,B&Wがまだ開発段階にあったころから二つのプロジェクトが考案されており,BWCIはクリーチャー同士のインタラクション,もう一つの"Super
Gods"というコードネームで呼ばれていたものはリアルタイム戦略ゲームの要素を強調した内容になる予定でした。その後企画の練り直しを経て,もう一つのプロジェクトは多くの部分が「Black&White
2」(以下,B&W2)に組み込まれることになっているんですけどね。
今はBWCIの開発がほぼ最終段階に入っていますが,この拡張パックが終わり次第,Black&White 2の開発に着手することになっています。
4GN:
前作とのストーリー部分での関連性はありますか?
バーンズ:
設定としては,B&W2の序盤というくらいですかね。Black&Whiteは,シリーズとして原住民たちの文明や生活力が進化し,それによってクリーチャーへの対応がどう変わっていくかを楽しむものなのですが,BWCIではB&Wの時代からB&W2の時代へと移行する過程の世界観であるといって良いでしょう。追加パックであっても,その進化を感じれるようにしちゃおう,てことなんです。
4GN:
ところでB&W2って,現実世界でいうと,どの時代になるんですか?
バーンズ:
(同席していた広報担当を見ながら)……ああ,ちょっと説明できないですね,今は。
4GN:
原始時代が終わって,ローマとか暗黒時代とかかな?
バーンズ:
まあ,随分と長い時間が経っちゃてる,ってことにしましょうよ。
4GN:
(笑)。BWCI自体のあらましは?
バーンズ:
プレイヤーが,前作で舞台だったエデン島から離れたところにある"生き物たちの島
"(クリーチャー・アイル)を発見するところから始まります。この島では,多くのクリーチャーたちが生活していて,"ブラザーフッド"という共同組織を形成しているのです。ここで,プレイヤーのクリーチャーが"ブラザーフッド"に認められるように,さまざまなイベントをこなしていくということなんですよ。
つまりBWCIは,トライアルがプレイヤー自身に課されるのではなく,プレイヤーがオリジナル作品で育てたクリーチャーに対するものという趣向になっているわけですね。
 |
 |
 |
 |
| タイクのイメージ画と,火山熱によって孵化するタイクの様子。大きな眼が好奇心旺盛な感じで,プレイヤーのクリーチャーの行動をつぶさに観察するのだろう。自分が育てたものから別のものが学習するというコンセプトは,どこか違和感を覚えてならないのだが,もしかしたら非常に面白いのかも…… |
"タイク"との出会い
少しだけBWCIを要約してもらったところで,いよいよゲームのデモを開始してもらった。バーンズ氏は「伝道師の音楽に対するファンの苦情に対応」などと説明していたが,オープニングムービーを見る限り,BWCIは伝道師と彼らが歌う音楽から始まっている。イギリス流のブラックジョークだったのだろうか? とにかく,この伝道師たちにくっ付いて辿りついた先が,クリーチャー島ということになるようだ。
さてBWCIにおいて一番目新しい存在が,"タイク"(Tyke)と呼ばれる,プレイヤーに与えられたクリーチャーのペットのような立場となる新クリーチャーの登場だ。ヒヨコに似た風貌のかわいらしい姿で,やはり成長するとニワトリのような形になる。
4GN:
BWCIには,プレイヤー自身にもクエストが与えられるのですか?
 |
| クリーチャーの性格によっては,いきなり食べちゃったり殺してしまったりということも起こり得る。ヒヤヒヤしながら観察しなければならないが,それもまた一興か |
バーンズ:
ええ。今回プレイヤーがクリーチャー・アイルに行き着くと,そこには宗教という概念を知らない部族民たちが多く存在しています。もっとも,敵対する神がいませんから,どちらかというとマネージメントサイドに特化しているといえますね。
先ほども話したように,BWCIはクリーチャーのブラザーフッドがプレイヤーのクリーチャーに試練を与え,ブラザーフッドの仲間として認めることができるかというのがゲームの焦点です。ブラザーフッドというのは,実は"ジェダイの騎士"のパロディでもあるんですけどね(笑)。
4GN:
(デモが進み,小型のクリーチャーが登場する)これが,タイクと呼ばれるクリーチャーですね。
バーンズ:
そうです。このゲームは,プレイヤーが育てたクリーチャーが,今度はどのようにタイクを育てるか,ということが焦点なんです。タイクは,前作のようにプレイヤーとのインタラクションから学んだり,プレイヤーの取った行動から学習するのではありません。タイクは,プレイヤーの育てたクリーチャーが育てるのですから,まあプレイヤーは孫を持ったような気になるのですかね。
直接手出しができないですから,クリーチャーがプレイヤーが教えてきたことをそのままタイクに受け継ぐというのは,端から見てもヒヤヒヤすることになるはずです。なぜなら,タイクはプレイヤーやクリーチャーに変わって,少しずつ部族民への影響力を強めていくことになりますからね。ゲームでの存在意義も,プレイヤーが去った後の守護神となるためという名目があるんです。
4GN:
タイクは,どのように手に入れるのでしょう?
バーンズ:
タイクは元々タマゴから産まれるのですが,最初は木の上にあります。
4GN:
要するに,イベントの一つになっているわけですね。
バーンズ:
 |
| サルクリーチャーが,夕日をバックに膝を組んでタイクと話すという,'80年代の青春ドラマのような設定が笑える。自分が,子供を持つに値する男だという証明が必要なのだ。ちなみにオリジナルのB&Wでは,クリーチャーの性別については一切触れられていなかった |
そういうことです。木にある巣から下ろすのが一苦労なわけですけど,これをなんとかやり遂げると,今度はそれを孵化させなければなりません。タマゴは,火山の蒸気を使って暖めてやらなければ孵化しないのですけど,そこまでクリーチャーをコントロールするのも難しく感じられるかもしれません。育て方によっては,タマゴの上に座ってしまったり,投げて割ってしまうようなこともあるかもしれないんです。割れちゃったら,また木の上の巣にタマゴが出現するのを待たなきゃならないんですよ。
4GN:
そういえばこのタマゴって,そもそもどうやって入手するんですか?
バーンズ:
(ちょっと言葉に詰まって)……お見せすることはできないんですけど,実はBWCIにはイヴ(Eve)という女神が存在していて,クリーチャーと"繁殖行動"を取ることになります。クリーチャーの子供が作れるんですよ。
4GN:
繁殖行動? 実際に?
バーンズ:
(笑)。まあ,イヴも簡単に口説けるのではなく,自分(クリーチャー)がいかに息子に良い影響を与えることができるかということを,証明してみせる必要があるのです。そのためにタイクが与えられて,うまく育てていくことを求められるのです。
次のページへ
|