forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<1> 3/3

 

ミニゲームが満載の気楽な楽しさ
ジョンティー・バーンズ氏と,Black&White Studiosのメンバーたち。モニターの数は10台ほどだったが,インタビュー中の出入りもなく,終始この5人しかいなかった。どこか友人同士が寄り集まって作っているような,気楽な雰囲気の職場である

 どのような繁殖行動になるのかは不明なのだが,この作品でも監修役となっているピーター・モリニュー氏いわく,「BWCIは,セックスについてなんだよ」と明言して,筆者の前で広報担当を絶句させるほど。リアリスティックな描写はないにせよ,オスとしての目的を達するために,イヴの気を惹こうと一所懸命に奮闘するクリーチャーの行動全体を含めたセックス,という意味合いを持った発言ではないだろうか
 とにかくゲームが始まってみると,"騎士"として認められるためにさまざまなイベントをこなして行くという手法が,プレイヤーにゲームの目的を的確に示している。これは,非常に自由度が高かった前作に比べて,よりフォーカスされたゲームになっているということだ。

4GN:
 ミニゲームが多いのが楽しそうですね。

バーンズ:
 ミニゲームは,ほとんどがトライアルの一つとして扱われており,B&Wより小さめの3ランド(ミッション)で構成されています。メインストーリーだけなら,全体では15時間から20時間くらいのゲームタイムになるでしょうが,ほとんどの人が寄り道しながらのプレイになるので,だいたい60時間は楽しめるようになるのではないかと思います。
4GN:
 ミニゲームって,いったい何種類くらいあるんですか?
バーンズ:
 ええっと……大体30種類くらいですかねぇ。どれも,楽しんでプレイすることを念頭に置いているので,島で一番走りが速いと自認するカメクリーチャーとのカケッコとか,浜辺で立ち泳ぎしているイルカへの的当て,それにスゴロクやボーリング,キャノンボールなどになります。
 ほかのクリーチャーとの対決というようなトライアルもあって,さまざまなパワーを繰り出す"ジェダイ・ライノ"(サイ)と戦わなければならないというトライアルもあります。これらのトライアルは,かなりランダムに進めていくこともできますが,1度終わったトライアルは,クリーチャー・アイルの中心的な建築物である"道場"(Dojo)に印が付くようになっています。まあ,こういったブラザーフッドに与えられたトライアルを終了させることで,ようやくイヴと繁殖行動を取ることができるという権利が与えられるというわけです。

4GN:
 ミニゲームがすべてゲーム内で扱われているということに,このゲームの物理エンジンの凄さを感じますね。クリーチャーの思考ルーチンなども向上していますか?
バーンズ:
 もちろん。プレイヤーには"部族民たちへの対応"という楽しみが残されており,彼らから発生するシルバースクロールのクエストも多く存在しますよ。でも,そういうマネージメント部分のゲームプレイが好きじゃなかったプレイヤーにも対応させて,クリーチャーがプレイヤーに取って代わるくらいの活躍をしてくれるようになります。B&Wと比べても,思考ルーチン部分をさらに改良させているのです。
4GN:
 イヴのように,名前のついたクリーチャーも多いんですかね?
バーンズ:
 そうですね。ライオンのルーファス(Rufus)やブラザーフッドの首領であるワニのマーキュティオ(Mercutio)などの中心的なキャラクターが登場することになります。

こちらは,Lionhead Studiosのメインオフィス。ピーター・モリニュー氏は自分専用の個室を持つこともなく,現場との距離感を縮めるためにほかのメンバーに混じって席を構えているのが印象的だ

マルチプレイヤーモードにも注目

 B&Wの開発当時,この作品の拡張パックとしては,プレイヤーが自分のクリーチャーを使って対決したりチャットを楽しんだりできる「Black&White:Gathering」と,200人までのプレイヤーが対戦するという大規模なオンラインゲーム「Black&White:Universe」という二つのゲームの構想があった。しかし,Universeはブローダーバンドのインフラが期待通りに整わなかったという理由から保留となり,Gathringは多くの仕様が無料パッチで出されたり,BWCIや果てはB&W2へと受け継がれているのだ。
 無料パッチには,部族民たちのためにサッカー場を建築できるようになるものや,自分の好きな音楽をゲーム中にかけることができるようになるものなどが含まれており,ファンサービスも怠ってはいない。

4GN:
 マルチプレイヤーモードに関しても,もう少し説明して下さい。
バーンズ:
 現行でのマルチプレイヤーモードはかなり重いとの批判がありますが,BWCIでは解消されるはずです。もっと賢くなっていますし,自分で建築物を建てることもできるようになっています。プレイヤーがBWCIのシングルプレイヤーモードを終わらせていれば,オリジナルのクリーチャーばかりでなく,タイクやクリーチャーの子供という合計三つのキャラクターを使えるようになるのも魅力かもしれませんね。
 それから,まだ計画段階ではありますけど,1度オンラインに出されたクリーチャーはLionheadの専用サーバーで管理できるようにしようと考えているんです。これで,セーブデータがなくなってしまうような問題も解決できるはずですから。

4GN:
 これを機にB&Wで遊んでみようというような新参プレイヤーへの対応は?
バーンズ:
 大丈夫ですよ。そういうことも考慮して,BWCIには何種類かのクリーチャーを用意しておく予定です。ある程度育てられたものなので,小っちゃいヤツでゲームを進める必要はないようになってます。どうぞ,ご安心を。

 ピーター・モリニュー氏をして「もっとファンのことを考えたゲームにすべきだった」というB&Wでの経験を生かし,BWCIは非常に遊びやすそうなゲームになっている印象を持った。"家族" "性" "共同体"という人間性に富んだ拡張パックで,PCゲーマーを自認するプレイヤーなら遊んでおくべきではないだろうか。
 もちろん,期待されるB&W2にも繋がる世界観ということなので,モリニュー・ファンには要チェックの拡張パックであるのは間違いない。

Creature Isleに登場するミニゲームの数々

BWCIには"トライアル"と呼ばれるクエストがいくつも登場するが,それらはミニゲームという形でプレイヤーが楽しめるようになっている。どれも,誰にでもルールが分かるようなお気軽な感じのものが多く,親しみのあるユーモアで覆われているので好感がもてる。ここでは,画面写真が入手できた一部を紹介してみよう。

↑ボーリング
リアルなフィジックス(物理)エンジンのB&Wだから,ボーリングもシミュレートできる。ここの番をしているワニと,ボーリングのスコアを競い合うのだ
↑ドルフィンシュート
立ち泳ぎで往来するイルカを水鉄砲で撃って,ハイスコアを狙うというもの。動物愛護団体の反感を考慮してか,「イルカたちは水で撃たれるのが大好きなんだよ」というような説明がされている
↑ジェダイファイト
"ジェダイナイト"ならぬ"ジェダイライノ"と戦うトライアル。このサイは,どこかで見たことあるようなフォースを使って攻撃してくるのだ
↑スマッシュビルディング
巨大なクマのクリーチャーたちが守る塔をぶち壊すのが目的。積み木崩しや砂場遊びを連想させてくれる
↑サッカースキル
マンドリルのサッカーコーチに負けないように,サッカーボールをうまく使いこなさなければならない。これも,このゲームエンジンの能力の高さを見せつけてくれるシミュレーションだ
↑ザ・レース
カメなのに,クリーチャー・アイルでは一番カケッコが速いというマスターとレースする。操作は,マウスで先の地点をクリックするだけだが,近道なども見つけないとならないようだ
↑ワック・ア・ビレッジャー
画面では分かりづらいが,日本民族の近くの墓場で,墓から出てくるスケルトンたちを小突き回すという,モグラ叩きのような要領のゲームである
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