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forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<1>
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Black&White:Creature Isle
Jonty Barnes
Text&Photo by 奥谷海人
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| Lionhead Studiosのオフィスの画像 |
ロンドン市内から英国鉄道で南西に1時間弱ほど下ったところにあるギルフォード市は,4階建て以上のビルなどないような,一見のんびりしたイギリス的な田舎町だ。しかし,近年のハイテク産業の進出は目覚ましく,同じサリー郡にはElectronic
Artsも支社を出しているほど。
今回この街に来たのは,「Black&White」を制作したLionhead
Studios訪問が目的である。以前の「こちら」のECTS
2001の特集でも公開したように,現在Lionhead Studiosでは拡張パックである「Black&White:Creature
Isle」の開発を進めており,欧米では1月末にリリースされる予定となっている。
「ブラック&ホワイト」,そしてピーター・モリニューとは?
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| ピーター・モリニュー氏 |
「Black&White:Creature
Isle」の話題に入る前に,日本ではエレクトロニック・アーツ・スクウェアから5月に発売された「ブラック&ホワイト」(以下,B&W)についても語っておかなければならないだろう。
B&Wは,イギリスの開発者として有名なピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏の出世作でもある「ポピュラス」や「パワーモンガー」の流れを汲んだリアルタイムでのシミュレーションゲームで,"育成ゲーム"としての側面を持っているのが特徴だ。
プレイヤーは,無垢で純真な心を持った原住民たちが住む島にやってきた神となって,その世界で自分の化身とも呼べる"クリーチャー"と呼ばれるモンスターを育て上げながら,奇跡や災害を起こすことで原住民たちの信仰心を煽り,自分の影響力を強めていく。強烈なまでに自由度が高く,善神として行動しようが悪神として行動しようが,全てはプレイヤーの判断にゆだねられている。また,それらの行動はクリーチャーにも反映されることとなり,成長するに従って,場合によっては文字どおり神々しく,またあるときは強暴な風体を持つに至るのだ。
B&Wの目的は,信仰心のない住民や異教徒への対処なのだが,アドベンチャーゲームやRPGのような感覚でイベントが発生していくのも非常に興味深いところ。一見難解そうに見えるゲームコンセプトが祟ってか,今のところ世界的に大きなセールスには結びついていないようだが,世界各国のメディアの評価はすこぶる高く,ゲーム史の1ページに名を留どめるゲームになることは間違いないだろう。とにかく,モリニュー氏の奇抜ながらも洗練されたアイデアが満喫できる,非常に野心的なソフトなのである。
ピーター・モリニュー氏に関しては,今さら多くを語る必要はないかもしれない。すでに記述したポピュラス以来,「Syndicate
Wars」や「(株)テーマパーク」,果ては「ダンジョンキーパー」に至るまで,日本でも知名度の高い代表作が多い。元々はヨーロッパでは普及していたコモドール機用のアプリケーションソフトを開発していたが,ひょんなことから出来あがったゲームが1988年にリリースされたポピュラスだった。そのときに設立したBullfrog
Productionsは1997年にエレクトロニック・アーツに売却し,自分の思い通りの環境でゲームを制作することを決意。B&Wは,構想以来5年という歳月をかけて生み出された作品なのである。手前ミソではあるが,彼の人となりや開発理念は,現在発売中の4Gamer
magazine:2001 Winter号のインタビュー記事を是非とも読んでいただきたい。
シリーズとして構想されるブラック&ホワイト
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| 通常のRPGからはみ出したアイデアが満載されているといわれるXbox専用の「Project
Ego」の画面写真 |
B&Wは現在,プレイステ1/2やXboxなどのコンシューマ機市場に移植される予定だ。モリニュー氏は自ら"サテライトプログラム"と命名した独立した開発会社の一つであるBlack&White
Studios社を設立し,移植やパッチ,さらには次回作の制作に取り組んでいる。実際には,B&WのプロジェクトのサポートはLionhead
Studiosの手から離れ,別会社に委ねられているというワケなのだ。
とはいえ,オフィス自体はLionhead Studios本部の向かいにあり,開発チームのカルチャーも共有したままの形を取っている。ちなみに,サテライトにはXbox用に「Project
Ego」を開発しているBig Blue Box Studiosや,コードネーム"BC"というゲームを制作しているとされるIntrepidなどもあるが,どの会社もLionheadと同じギルフォード市に位置している。
とにかく,そのBlack&White Studiosのメンバーたちが現在開発しているのが,「Black&White:Creature
Isle」(以下,BWCI)である。実は同社では,「Black&White 2」やその後に続くシリーズも手掛けていく予定なのだが,実際のところは10人もいない,モリニュー氏子飼いの烈腕デベロッパ達で構成されるチームなのだ。今回は,BWCIのプロジェクト・リーダーであるJonty
Barnes氏にデモをしてもらえた。
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