Ensemble Studios社訪問記
− Age of Mythologyのシングルプレイとマルチプレイ

 2002年7月末日,マルチプレイヤー専用β版配布の準備で忙しいEnsemble Studios社に,本誌独占となる特別取材を行った。大ヒットとなった「Age of Empires」シリーズの後継として開発が進められている「Age of Mythology」の実力とは!?

 

21st Aug. 2002
Text by 奥谷海人

日本やテキサス南部ほどではないが,ほこりにまみれるカーボーイのイメージとは異なり,蒸し暑い夏の日も多いダラス。このビルにある最上階とその下の部分を占領するEnsemble Studiosでは,極秘のプロジェクトもいくつか進行しているという

 Ensemble Studios社は,テキサス州最大の都市であるダラスの中心街から,ハイウェイを少し北に上ったところにある。ビル街よりもショッピングセンターが多いダラス北部では,Ensemble Studios社がある建物を見逃すこともない。それは,Ensemble Studios社が15〜16階部分を占めているという事実に見合う高さのビルが,周囲にはホテル以外ほとんどないからだ。

 Ensemble Studios社は,現CEOのトニー・グッドマン(Tony Goodman)氏や名ゲームデザイナーのブルース・シェリー(Bruce Shelly)氏によって,1995年に設立された。処女作は,RTSが栄華を極めた'90年代後半でも,ひときわ存在感を示した「Age of Empires」である。同社は,ちょうど半年ほど前にMicrosoft社に買収されることとなり,いまや70人を超える大きな会社へと成長している。
 Ensemble Studios社の最新作である「Age of Mythology」は,「Age of Empires」(1997年),「Age of EmpiresII:Age of Kings」(1999年)に続く第3作にあたる。ご存知のように,Ensemble Studios社の"エイジシリーズ"は,「シヴィライゼーション」風のゲームプレイをリアルタイム戦略ゲームに焼き直したもので,ほかのRTSと比較しても充実した技術ツリーやエコノミーモデル,満足感の多いマルチプレイなどが,その人気に大きく貢献している。 本シリーズは,RTSの大きなヒットが出にくい日本市場においても評価され,その歴史的なモチーフと8ビットカラーにしては細かすぎるほどにマニアックな描き込みが人気となった。
 では,まず「Age of Mythology」がどのようなゲームなのかを,じっくりとおさらいしてみよう。

ユニット,地形,建物,グラフィックス効果と,前作を継承したアートワークを留めつつもまったく新しいダイナミックさを感じる「Age of Mythology」。その迫力には驚くばかりだ

神話世界を舞台にした「Age of Mythology」の全貌

●三つの文明と9人の神々

 タイトルからも分かるように, 「Age of Mythology」は歴史に忠実なユニット構成ではなく,ギリシャ,エジプト,ノース(北欧)という三つの文明圏に,それぞれ3つの神々を主役に立てるという新しいコンセプトが打ちたてられた。神々は,以下の通り。

・ギリシャ……ゼウス,ポセイドン,ハデス
・エジプト……ラー,イシス,セト
・ノース……オーディン,トール,ロキ

 その神々によって,同じ文明であっても攻撃,防御,生産面での違ったボーナスが加えられる。また,神話に登場した聖獣や英雄達も登場する。もちろん,歩兵や弓兵,騎馬兵という通常のユニットも登場するのだが,それに加えてミノタウロスやスフィンクスジャイアントといった"Mythユニット"と呼ばれるユニットや,文明に合わせて与えられるヒーローユニット達で,フィールドがあふれかえることになる。

にらみ合うギリシャとノースの文明。丘の上には,ギリシャのヒーローが立っているのが分かる。ドラゴン,ユニコーン,ケンタウルスなど,神話世界の聖獣達を見ているとワクワクしてくる

 文明圏は,非常に個性的な特徴が前面に押し出されている。思いっきり簡単に説明してしまえば,「防御力のあるエジプトと攻撃的なノース,そして中間的なギリシャ」ということになるであろうか。「Age of Mythology」では,文化的な特徴を出すため,各文明の農民ユニットをギリシャ=Villager(村人),エジプト=Laborer(労働者),ノース=Gatherer(採集民)と呼び分けているのも面白い。名称だけでなくその違いも強調されていて,例えばエジプトの労働者は,一つのビルを建設するのに何人で作業しても効率が落ちることがない。興味深いのはノースの採集民達で,オックスカートと呼ばれる専用ユニットが採掘所や木材精製所などの役目を果たし,自在に移動できる能力を持っている。また,ノースには食料ではなく金で生産できるドワーフも登場し,より早いスピードで金鉱採掘に従事してくれる。
 これらと比較して,最もこれまでのシリーズに近いのが,ギリシャだといえるだろう。もっとも生産以外にも戦闘面でも各文明の特色が出されており,ギリシャは歩兵の能力アップが見込めるし,エジプトは戦闘馬車,ノースは弓兵に10%程度のアタックボーナスが加えられている。

 ギリシャ,エジプト,ノースという3つの文化圏しか用意されていないことに,バラエティが少なくなってしまった印象を受ける人がいるかもしれない。しかし,それぞれに三つの神が選択できるので,9パターンあるともいえるわけだ。加えて,ゲーム中で新しい時代へと進化するたびに,プレイヤーにはその文明に合わせてほかの神を1神ずつ選択できるようにもなっている。ここでは混乱を防ぐために,ゲーム開始前に選択する神を"主神",ゲーム中に選択できる神を"副神"と呼ぶことにする。
 副神は各文明につき9神用意されているが,選んだ主神によって,使用できる副神が"2神×時代の進化3回"の計6神に限定される。これで,最終的には1主神と3副神という組み合わせが出来あがり,合計で72パターンという変化に富んだゲームになるわけだ。ちなみに各副神も,ゴッドパワーはもちろんのこと,その時代が始まるときに選択できるMythユニットや建物,アップグレードの特性が異なっているので,同じ文明でも異なるプレイスタイルが確立できるようになっている。

Age of Mythologyに登場する神々たち

Hades Odin Poseidon Ra
Set Thor Zeus

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