どこまでもシンプル。それが「rRootage」の美学だ。ワイヤーフレームのみで構成されたコントラストの強い画面は,余計なオブジェクトで気を惹かないぶんプレイヤーを奥深くへ引き込み,「ひたすら弾を避け続ける機械」へと変える。 rRootageのミニマムかつ統一感のある雰囲気に,大きく貢献しているのがBGMだ。名作といわれるシューティングゲームには必ず印象的な曲があって,それを聴いただけで「あぁ,あのゲーム」と分かるものだが,rRootageの場合事情は少々異なる。「テーマ曲」としてではなく,まさにBGM,雰囲気作りの一環として秀逸なのだ。 弾幕シューティングというと,とにかく難しいものと思われがちだが,rRootageには大まかに9段階のレベル設定が用意されている。最も低いレベルに設定すれば,「どうもシューティングは苦手」と思っている人でも,ちょっとした練習でクリアできるようになる。少々古いたとえだが,初代「ツインビー」の1面くらいといえばいいだろうか。 難易度とは別に「NORMAL」「PHY」「IKA」「GW」という四つのモードを備えているのも,rRootageの大きな特徴だ。NORMALはボム&自機スピード可変の標準仕様,PHYは「グレイズメーター」という"かすりパワーアップシステム"を導入した「サイヴァリア」風,IKAは自機と敵弾が白/黒の属性を持ち,同じ属性の敵弾を吸収できる「斑鳩」風,GWは敵の弾を跳ね返す「リフレクター」を備えた「ギガウイング」風となっており,遊び心もなかなかのもの。今から弾幕シューターとして修練を積むなら,全ステージクリアまでたっぷり1年は遊び倒せるはずだ。 いきなり高いレベルを目指さなくても,自分にとってちょうど面白い難易度設定,つまり「何回かに一度はクリアできる」程度の設定はすぐに見つかるだろう。それを探して,まずはゲームと一体化してみほしい。繰り返しになるが,そのためにはサブウーファがあると効果的だ。 「こちら」のABA Gamesのサイトでは,このほかさまざまな作品が配布されている。rRootageに魅力を感じた人は,レトロモダンハイスピードシューティングこと「PARSEC47」,アブストラクトシューティングこと「Noiz2sa」も併せて試してみるといいだろう。 (佐々山薫郁)
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