宇宙モノSFアニメを感じさせる演出が,「イディナローク」(IDINALOQ)の特徴だ。やや古い作品ではあるものの,しゃべりまくるキャラクターを比較的早期に盛り込んだ点もあって,知名度は高い。 基本スタイルは素直な縦スクロールシューティングだが,画面は上を奥に倒し込んだ3D風で,自機・敵機とも立体的だ。シューティングに詳しい人なら「レイストーム」系といえば話が早いだろう。背景には立体っぽいオブジェが配置されてダイナミックに動いたりもするが,ゲームの領域はあくまでも平面である。 ザコ退治の道中と最後のボス戦がセットになったオーソドックスなステージ構成と,派手な画面で"お約束"のゲーム性が発揮され,意味深なストーリーが展開する。フルボイスで再生される,感情を押し殺したキャラクターのモノローグが,世界観や舞台を説明していく。その雰囲気は,アーケードシューティングというよりも黎明期のCD-ROM版コンシューマゲームのそれを連想させる。 プレイの最初にパイロット(機体)を選択できるが,それぞれの攻撃方法には見た目ほど大きな違いはない。むしろプレイのキモはシールド操作にあるので,性能差を気にするならシールドによるレーザー充填の効率(後述)を重視すべきだろう。 3D風シューティングに共通する問題として,最初は機体の感覚がつかみづらく,避けているつもりでぶつかるような場面も多い。とくに横から出てきたり斜めから体当たりしてくる敵機はクセモノだ。とはいえ,プレイを重ねて慣れればムダなミスは減らせるし,敵の配置のクセも理解できる。 このほか初級者向けのポイントとしては,無理にでも敵を全滅させようと大きく動き回らないこと,ゲージの回復を見なくてもシールドが使えるタイミングを把握できるようにすることだろうか。これらを心がけるだけで,かなり遊びやすさが変わってくる。サブショットを端から使いこなすなどは,あまり考えないほうがいいかもしれない。 弾幕についていうと,実は本作であまり前面に押し出される要素ではない。後半のボスなど,場所によっては熾烈な攻撃も見られるが,弾幕美を鑑賞するという感じではない。実際のところ厄介な攻撃といえば,独特の発射音で放たれる黄色い誘導(?)レーザーだ。いくつかの軌道が決まっており,場所取りを間違えなければかわせるが,発射直後は見えづらいため軌道を判定しにくかったり,弾の隙間で身動きできないときがあったりと,思うに任せないこと多い。 難易度設定やプレイスタイルの選択はないので,あくまでも与えられた難度でプレイすることになる。ボタンの割り当て変更や同時押しボタンの設定ができないのは,やや残念なところだ。とはいえ,全体にそれほど難しさや厳しさをウリにする内容でもなく,ステージ数も多くない。コツコツやれば報われるという意味で,とっつきやすく遊びやすい作品といえようか。 (八重垣那智)
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