■デモプログラムによるベンチマーク

 最後にゲームではないが,デモ系をいくつか紹介しておこう。

●技術デモ


 最新の技術デモはゲームなどよりも先行して開発されるもので,次世代のゲーム環境を見るうえでは参考になるものも多い。たとえば,Shader3.0をフルに使ったプログラムはNVIDIAのデモしかない。しかし,製品ごとの評価をしようとしてもベンチ機能はついていないので測定のしようがない。こういうときにFRAPSが役立つわけだ。もちろん,1fps単位の大雑把なデータしか取れないが,それでも参考にはなる。
 今回はツールの関係ですべてNVIDIAチップのビデオカードを使っているのだが,テクノロジデモはNVIDIAだけではない。 Radeon X800のデモのうちCrowdはGeForce 6800でも動作可能だ。このデモもかなり負荷の高いもので,ベンチにはうってつけだ。
 余談だが,処理的に軽いものが多いのでベンチには向いていないが,DXSDKのサンプルなども技術動向の参考にはなる(たいていフレームレート表示がついている)。

お馴染みのNaluと右はATI X800のデモ。GeForce 6800上で実行している(最新ドライバでは動かないので注意)



SpeedTreeRT

 最後にSpeedTreeとTheValeyを紹介しておこう
SpeedTree  これらは木や草といった自然景観の生成エンジンを作成しているIDVのプログラムで,さまざまなゲームに取り入れられている。最近はUnrealエンジンに組み込んだデモとして配布されている。これは一定のエリア内を自由に動き回れるというデモだが,自動デモモードなどはついていない。
 ではということで,Unrealのコンソールを開いてdemorecしたデータを作ってやればベンチを作れるかとやってみたのだが,残念ながら再生するとオブジェクトの種類がちょっと変になるみたいだ。同条件ということならベンチマークとしては使えなくもないが,見た目に明らかにおかしいので使い物にならないという結果になった。まあ,しかたないか。

 最新のSpeedTreeでは,DirectX 9.0cで拡張されたオブジェクトインスタンシングが実装されているという。もともと負荷が軽くて,GeForce 6800だと残念ながら差が見えるほどのパフォーマンス向上は体感できなかったが,最新機能を試したい人にはお勧め。

 私のお気に入りは,The Valley。これはSpeedTree系のデモだが,自動実行なので眺めているだけでいいし,画面も綺麗だ。草の密度を最大にしてCPU,GPUパフォーマンスの参考にしている。たぶんGPU部分はあまり関係ないみたいだけど。ベンチマークなどの単独テストで高いスコアを出しても,実際にゲームをやってみるとなんか遅い……という経験はないだろうか? なんとなく,そのへんのよくわからない部分が見えてくるデモだと思っている。
 さて,私の使っているマシンにAthlonXP/1500+とGeForceFX 5200@AGP4XのPC(A)とAthlonXP/2000+とGeForce 6800GT@AGP8XのPC(B)があるのだが,常識的に考えればどう考えても(B)のほうが圧倒的に速いはずだ。多くのテストで,やはりそういう結果が出る。しかし(B)はなんとなく動作が重く,(A)のマシンはゲームをしててもかなり軽いのだ。このThe Valleyを使うと,下のような結果となった。ちなみにメモリはどちらも1GBで,(A)にはPC2700メモリ,かたや(B)にはPC133時代のメモリが使用されている(DDRですらない)。いまもって謎だ。

左はAthlonxp2000+,GeForce 6800 GTでの結果,右はAthlonXP/1500+,GeForce FX 5900での結果。なぜか右のほうが軽い?


 昨今のゲームの実行速度は大半がビデオカード依存,次いでCPU速度に依存する。それ以外にもメモリ容量,メモリ速度,HDD速度など,ゲームによってはさまざまなものがボトルネックになる場合がある。最後に挙げた例で結局よく分からないところに落ち着いてしまったのだが,別に難しいことを考えなくても見て楽しくて,それなりの数字が出るとよく分からなくてもなんとなくうれしいのがベンチの効用だと思っている。ああだこうだとパーツを換えて楽しむ人もいるだろう。いつも遊んでいるゲームではどれくらいのフレームレートなのかとか,この機会に確認してみるのもいいだろう。残り少ない夏を人それぞれに楽しんでみてもらいたい(せっかくの夏にベンチマークもどうかという声も聞こえるが,これはこれで結構楽しいものだ)。 (aueki)

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