アクション 4Gamer.net Review
 
スター・ウォーズ世界を舞台にした
多人数コンバットアクション
スター・ウォーズ バトルフロント
Text by 徳岡正肇(アトリエサード)
15th Oct. 2004


大人数が入り乱れる戦場を楽しむ

ベイダー卿とタトゥイーンの街を駆け抜ける。シュコーという音が聞こえてきそう,どころの騒ぎではなく,本当に聞こえたりする

 「スター・ウォーズ バトルフロント」は,題名のとおりスター・ウォーズの世界を題材にしたコンバットFPSだ。プレイヤーはストーム・トルーパーやバトルドロイド,クローン・トルーパーといった一兵卒になり,プレイヤーキャラクターやNPCが多数入り乱れる戦場で,光跡もきらびやかな銃撃戦を展開する。FPSに詳しい読者には,バトルフィールド1942のようなスターウォーズモノと言ってしまうのが,一番分かりやすいかもしれない。
 完全一人称視点に加えて,視点をプレイヤーキャラクターの後上方に置いた三人称視点も備えているので,距離感や方向感覚を失う心配はなく,ミニマップが常時表示されているため迷うこともない。
 キャラクターの移動はキーボードの[W][A][S][D]キー,視点の移動と武器の照準はマウスという,FPSとしてはごくオーソドックスな操作体系で,これに加えて姿勢変更(しゃがみ,伏せ),ズーム,マウスホイールによる使用武器選択まで覚えておけば,通常のプレイには一通り対応できるだろう。

 シングルプレイシナリオでの勝利条件はごく素直であり,マルチプレイ重視のFPSが備える「シナリオ」にありがちな,「一番右の窓から手榴弾を投げ込んだら,すぐ左に走ってドアの陰にいる敵兵を倒し,手榴弾の爆発直後に次の部屋に突入」といったパズル的記憶ゲームにはなっていないので,安心してほしい。
 コンバットゲームらしく,このマップでは左翼陣地を守り抜かないと勝てないとか,あの拠点を落としたほうが圧倒的に有利とか,そういった定石は掴む必要があるものの,近くにいる仲間に,「ついてこい」「待機しろ」といった感じで行動を指示できるので,シングルプレイでもそれなりに歩調を合わせた戦闘ができる。

 敵の動きは,正直なところFPS慣れした人には"お約束"の範囲かもしれないが,遮蔽物の後ろに手榴弾を投げ込んできたり,固定銃座にミサイルを打ち込んできたりと,それなりには賢い。もっとも,敵がやや勇敢すぎるきらいがあるので,マップによってはスナイパーがいいポジションをとると,想像を絶するキル数/ヘッドショット数が稼げてしまう恐れはある。

操作はいたってシンプルで,FPSでは標準的といえるもの。マウスで照準を合わせて,クリックすれば射撃だ いかにもコンバットタイトルらしい一人称視点。当然ながら視界は広くなるが,操作には若干の慣れが必要 このゲームは三人称視点もサポートしている。雰囲気はリアルでないかもしれないが,手軽にプレイを楽しめる


マルチプレイが本領……のはずが

ジオノーシスでの戦い。最初は空を飛ぶ兵士の嫌らしさを痛感させられるが,次第に慣れてくると大変よい的になってくれる
 さて,上述のとおりそれなりによくできたシングルプレイシナリオが提供されているとしても,やはり本作のメインディッシュはマルチプレイ,それも特殊なミッションでなくシンプルな対人戦だ。

 だが現状では残念なことに,GameSpyを利用してインターネット対戦を行うと,殺到するプレイヤーに比べてプログラムが対応できていないのか,すさまじいラグの嵐となってしまう。
 ラグで止まるだけでなく,スナイパーがスコープを覗いても,照準がまったく安定しないため狙撃は事実上不可能,視点をズームしたところで目標はコマ落としのように動くことが多いので,狙いようがない。結果として参加者の多くがバズーカやスナイパーライフル,あるいはショットガンを持った兵士ばかりになっている。この3種は1発のダメージが大きいので,ラグで止まっている相手を狙い撃ちしたり,ラッキーヒットを見込んで乱射したりするのには向いている。推奨動作環境を満たしたマシンと光回線を用意してみても,プレイヤーの腕前がきちんと反映されるプレイ条件とは言い難いのが現状だ。

 ただし,「バトルフィールド1942」がそうであるように,このゲームにもLAN対戦モードが用意されている。テストプレイを行った時期の関係で実際に試せてはいないのだが,旧知のグループ内でプレイしたり,国内でサーバー役を買って出る人が増えてきたりすれば,このゲームの本領を発揮したプレイが可能になるはずだ。

ホスの戦場。一見脅威に思える「AT-ATウォーカー」は無視して,左翼に浸透を試みる歩兵を撃退するのが重要 こちらはヤヴィン。反乱軍側の,画面に出ている拠点を占領できれば勝てる。固定銃座をどう沈黙させるかがカギだ クラウドシティ。狭隘な通路に雪崩れ込むトルーパーを七面鳥撃ちすると,数的不利はすぐに解消できる

敵の拠点(コマンドポスト)は,その場に居座ることで占領できる。居座る人数が多いほうが,占領を達成するまでの時間が短いというルールになっている


X-Wingに,AT-ATウォーカーに,乗れる! 戦える!

ファンにはおなじみ,カーボンチャンバー。真ん中の穴に落ちると当然即死である。でも一度は落ちてみたいのがファン心理というものか

 スター・ウォーズ世界を舞台とする本作だが,時代背景(?)としては エピソード1と2,4から6をカバーしており,プレイできる陣営は反乱軍・帝国軍・共和国軍・連合軍のいずれかになる。
 ハン・ソロやオビ・ワン,ベイダー卿といった有名人になることこそできないが,「X-Wing」や「AT-ATウォーカー」といった機体に搭乗できるし,有名人たちと"一緒に"戦うことは可能だ。例えばタトゥイーンの市街戦ではベイダー卿と肩を並べて戦えるし,ホスではルークと行動を共にできる,といった具合である。

 機体の特徴もよく再現されており,AT-ATウォーカーは歩兵よりも移動が遅いものの火力と装甲は絶大で,堅固なトーチカが一撃で吹き飛ぶ様子は見ていて実に爽快だ。「スピーダー・バイク」でジャングルの中を駆け回れば,映画さながらのスリルと,リアリティのある大事故(笑)を体験できる。

 その一方で,絶対に乗り物に乗らなければクリアできないシチュエーションが発生しないのは,よく考えられたところだ。「バトルフィールド1942」をプレイした人なら想像がつくと思うが,この作品においてマウスとキーボードのみで飛行機の操縦をするのは不可能に近いので,少なくとも航空機が必須でない点はありがたい。
 大人数が同時に行動する作品なので,プレイに必要なPCのスペックが気になる人もいるかと思うが,描画水準を自動的に調整してくれるため,少なくともシングルプレイは推奨環境に達していないPCでも快適に遊べる。
 今回のテストプレイでは2種類のマシンを用意し,低スペックなほうはAthlon XP 1500+にメモリ256MB,ビデオカードはGeForce FX 5200(ビデオメモリ64MB)という組み合わせだったが,とくに苦もなく動作した。その後,推奨動作環境を完全に満たすPCでもプレイしてみたわけだが,描画精度以外に格段の差は感じられなかった。動作環境にそれほど神経質になる必要はなさそうだ。

 すでに完成したゲームシステムを下敷きにしているだけあって,練り込みが足りない部分はほとんどなく,操作に戸惑うこともない。FPSはいいけどリアルな戦争モノばかりで,という人にはとくにお勧めしたい作品であり,スター・ウォーズファンには,あの世界の兵士たちがどんな風景を見ていたのか追体験できるという意味で,興味深い作品だろう。


「AT-STウォーカー」。素晴らしい火力で帝国の陸戦兵器としては比較的高機動だが,接近戦には向かない 「AT-ATウォーカー」から望むホスの戦場。BGMはもちろん,帝国は〜とても〜強い〜♪ いや歌詞は付かないが 「タイ・ファイター」で谷間を縫って飛ぶ。これで地上の兵士が銃撃できるようになったら一人前といえよう

AT-STウォーカーは,足許からの攻撃にとても弱く,射撃で追い払おうにも俯角がとれない。設計者出てこい AT-ATウォーカーの足が小型機に拘束されていく図。……まあ,あれです,事実上なすすべがありません 対人戦でジャングルに展開した帝国軍はたいてい負ける。制服を白に決めた人はベイダー卿に絞め殺されるべきだ

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■メーカー名:エレクトロニック・アーツ
■価格:8379円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/1GHz以上(Pentium 4/2GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 3.5GB以上,64MB以上のビデオメモリを搭載したビデオカード,Programmable Shader必須,ハードウェアT&L必須,DirectX 9.0c以降
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