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誕生日がやってきた。ここでバースデーケーキのろうそくを吹き消すと,彼も晴れて成人の仲間入りをする |
このところ私は火星でモンスターを退治したり,テロリストを退治したり,米軍の分隊を指揮したり,兵士になって指揮されたりといろいろ忙しかったが,今回,そんな私に下ったミッションが「PCの中に暮らす人々を幸せにしろ」というもの。確かに他人(含モンスター)を不幸にするようなことばかりしてきたので,そろそろ罪滅ぼしをしなくてはならないかなと反省していた矢先だった,というのはまったくのウソだが,というわけで,お題はもちろん,先頃発売された「ザ・シムズ2」である。
前作「シムピープル」(原題「The Sims」)は,2000年2月に発売され,現在に至るまで「最も売れたPCゲーム」の地位を維持している。7種類発売された追加パックも出るたびベストセラーリスト入りし,コミュニティやファンサイトなど,プレイヤーの広がりも世界規模だ。考えてみれば,"PCゲーマー"という言葉からついイメージする「銃を撃ちまくりパッドを握る」姿は正しくなく,ほとんどのPCゲーマーが,実は画面の中のシム人達に食事を取らせたり,ちゃんとトイレに行かせたり,請求書を処理させたりしているというわけだ。驚く,というより,ちょっとほほえましい。
ザ・シムズ2は,そんなシムピープルの世界待望の続編であり,完全な新作だ。デベロッパは天才クリエイター,ウィル・ライト氏率いるMaxisで,日本語版発売はエレクトロニック・アーツ。なんでも本作は発売後わずか10日の間に世界中で100万本以上が売れちゃったらしく,これには「さすが」としか言いようがない。
前作からの最も目に付く変化は,すべてが3D化されたグラフィックスだ。これにより,キャラクターを始め,あらゆるものをあらゆる角度から見られるようになり,彼らの生活に対する密着感が増した。
家具などのディテールの緻密さは半端でなく,よく見ると,衣装戸棚の中やディッシュウォッシャーの内部など,あまり目に付かないところもしっかり作り込まれている。またプレイヤーの分身となるシム人の制作も細部に渡って可能で,眉の形や顎の線など,まさに自分だけのシム人を作れる。まあ,実際にやってみるとなかなか思った通りの顔にはなってくれないが,ともかく苦労して作った自分だけのキャラクターが生活する様子を見るのはたいそう面白い。
用意された三つの町にはそれぞれ物語がある。それを解き明かすのがプレイヤーの使命,というわけではない | 3Dで描かれた町の中から,一軒を選んで彼らの生活に介入する。自分で家族を作ることだってもちろん可能 | ストレンジタウンの郊外にはUFOの残骸。町には緑色をした住人もいたりする。だからどうってことはないけど |
チュートリアルも完備しているので,前作に馴染みのない人も簡単にゲームを始めることができるだろう | チュートリアルの登場人物,名前はチュートリアル・ジョー。ちょっとだけヴァル・キルマーに似ているかも | 家の建て方も学習できる。建築は一度始めると病みつきになりそう。家具選びなんか,女の人に受けそうだなあ |
理由は言わないけど,若い女の子でプレイするとかなり楽しい。キャラクターも含め,すべてのオブジェクトが3Dなので,上から下から斜めから眺め放題だ。家具類のディテールも細かく,見ているだけでも飽きない |
彼らの言葉"シム語"は理解不能。吹き出しがある程度参考にはなるが,要するに話の内容は重要ではないのだ | 友達を誘って公共施設に遊びに行ける。とはいえその数は少なく,もっといろいろな施設がほしいところ | 職探しはネットと新聞で可能。ネットを使うためにはPCが必須。なので,何はともあれ1台買っておこう |
成功するためにはそれなりのスキルが必要だ。絵を描くことで創造力のスキルが伸びるが,高価なイーゼルが必須 | 昼間,子供は学校に通う。それにしても,カバンとかお弁当とか持っていかないのかね,アメリカの子供って | 撮影したスナップ写真を整理して,家族のアルバムを作ることができる。ビデオ撮影も可能だ |
ウィル・ライト氏にそっくりな巨大岩。氏は「シムシティ」「シムピープル」を始め,異色のゲームを次々に送り出している奇才。とはいえ,あのアリンコになって裏庭でどうこう,ってのはちょっとアレだったなあ,やっぱり |
ザ・シムズ2には,すでに何組かの家族の暮らす三つの町があらかじめ用意されているので,そこからスタートしても構わないし,テンプレートから地形を選び,家を建て木を生やし,「ご近所」やそこに暮らすシム人達を一から作ることもできる。神様冥利に尽きる,といったところか。
もちろん,ゲーム中にも建設モードが用意されており,自分好みの家を建て,家具を配置し,そこに暮らすことも可能だ。家造りは,やってみるとついハマってしまう訴求力がある。家具調度はたくさんあり,選ぶのに迷ってしまうほどだが,さすがに何種類もの拡張パックが発売されたシムピープルと比べ,現時点では足りないもの(例えば何に使うか知らないが「振動ベッド」とか)は多い。この点は,本作用の拡張パックが今後続々と登場するであろうことが火を見るより明らかなので,楽しみに待っていよう。個人的には,電動芝刈り機が欲しいかな。なぜか草むしりをやらせるとヒステリーを起こす奴が多いので。
というわけで,ザ・シムズ2はシムピープルの量的拡大を図った正統的な続編であり,前作のシステムが非常に完成したものだったので,それだけで十分すぎるほどだ。今後,プレイヤーコミュニティもどんどん拡大して行くであろうし,前作に匹敵するヒット作になる予感はある。なんともいえないこのゲーム感を楽しみたい人はぜひ。
ちなみに私,週刊連載(一覧は「こちら」)のほうでも「ザ・シムズ2」の日記を書いているので,よかったら参考にしていただきたい。まあ,どうにもこうにも思った方向に行ってくれないので,あんまり参考にならないかもしれませんけど。
おかしなガジェットも本作の魅力。これはウソをつく練習をしているところで,うまくいかないと電撃ショック。なんだそれ | 無事,成人になった。人生の節目ごとにこうしたムービーシーンになる。プレイヤーもほっと息をつく瞬間だ | 何かをプレイヤーに訴えたいとき,彼らはこうして手を振る。とはいえ,何が望みか分からないこともしばしば |
甘酸っぱいファーストキス。対立する家庭の二人が愛し合ってしまったのだ。今後,どういう方向に進むのか | ファーストキスの直後にこれ。あちらのお子様達は進んでいて羨ましい。二人の動きは大変リアルだ。おい | 今度は"精密切開の外科用トレーニングセンター"で技術スキルを積もうとするが,失敗。私も1台欲しいぞ |
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