レストラン エンパイア日本語版
Text by UHAUHA
2nd Oct. 2003
食の3大都市に五つ星レストランをオープンさせろ!!
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席を立つ客の頭に表示されている金額の色で,満足度を判断できる。緑が50%以上,赤が50%以下で,今のところ満足されているようだ |
「レストラン
エンパイア 日本語版」は,レストラン経営のすべてを託されたプレイヤーが,パリ,ローマ,ロサンゼルスを舞台に最高級レストランの称号"五つ星レストラン"を目指し奮闘していくレストラン経営シミュレータだ。
街の小さなレストランからスタートし,シェフとしての腕を上げながら徐々に事業拡大していくオーナーシェフの苦悩を,この手のシミュレータでは珍しいアドベンチャー形式も採り入れて存分に味わうことができるのだ。
フル3Dで描かれた都市/レストラン/人物などは,パッと見は「シムピープル」を彷彿とさせるグラフィックス。最新のPCゲームの平均と比べるとそれほど綺麗とはいえないが,レストランのスタッフ達が働く様子や,客がおしゃべりしながら食事を楽しんだり,レストランのサービスに怒ったりしている様子をさまざまな視点から眺めていると,彼らの人間味ある動きに見入ってしまうこともしばしば。
視点は回転/拡大縮小はもちろんのこと,真上からの見下ろし視点にしたりと時湯度が高く,拡大すると話し声や食事をする音も聞こえてくるといった粋な演出もある。インタフェースは画面下部に表示されているボタンを押して選択する定番仕様で,当然マウスですべて操作可能だが,キーボードのショートカットに慣れれば,操作性は格段にアップするはずだ。
アドベンチャー要素ありの異色の経営シミュレータ
ゲームモードは,キャンペーンモードとサンドボックスモード(フリーモード)の二つがある。
キャンペーンモードでは,プレイヤーは駆け出しのシェフ"アルマンド"に扮し,名高いオーナーシェフであったミシェル叔父さんから1軒のレストランを託されることになる。ミシェル叔父さんや登場するさまざまな協力者の力を借りて,徐々に店舗を増やし五つ星レストランを築き上げていくのが目標だ。
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豪華に飾った店内でキャプテンと話をする女性は,本当に話をしているように見える。一緒に来た男性は夢中で食べている…… |
用意された18のシナリオをクリアしながら駆け出しシェフが成長し腕を上げていく様子が,アドベンチャー形式で展開されていく。ゲーム途中にはポリゴンムービーが入り,会話は選択肢方式。適当に会話を選んでもゲームの流れが変わらないというのは残念なところだが,ボーッと眺めているだけよりもシナリオに入り込める効果があって面白い。
ゲーム中には,客がレシピや隠し味を教えてくれたり,人気テレビ番組「料理の鉄人」を彷彿とさせる料理コンテストへ参加したり,競合レストランのシェフを引き抜いたり店ごと買収したりなど,ちょっとしたイベントも数多く用意されているため,単調な作業になりがちな経営シミュレータの良いスパイスになっている。ちなみに,料理コンテスト中はプレイヤーはランダムに選ばれるミニゲームをプレイし続け,ミニゲームの成果によって集中力が上がるなどシェフをサポートできる。
キャンペーンモードはチュートリアルも兼ねているので,まずはキャンペーンモードから始めるのがベストだ。何度やってもシナリオがクリアできないときなどは,メインメニューからシナリオの再開を選択すると"簡単な目標"を選ぶことができ,この手のシミュレータに慣れていない人でも安心だ。
サンドボックスモードは,資金額などを自由に設定し,時間や利益を気にすることなく自由にレストラン経営を楽しめるモード。目標が決められていないため,気軽にプレイできるところが嬉しい。
資金も最高500万ドルから始められるので,よほどのことがなければ赤字で倒産ということにはならないが,だからといって適当にプレイしていればいつまで経っても低ランクのレストランだろう。目標はないにしろ,やるからには所有するレストランのすべてを五つ星レストランに仕上げるくらいの気持ちでプレイすると面白いかも。
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レストラン外装のアップグレードも可能だ。レストラン評価に見合ったアップグレードしかできないが,予算があればやっておきたいところだ |
人通りや交通量の多いところでは,自然と来店数も増える。そのためレストランを購入するときは真剣に選ぶべし |
厨房の中ではシェフとポーターが忙しく動き回る。ほかにも料理を取りにパーサーが出入りするため,各自がお互い邪魔にならない配置にしよう |
お客が大満足で店を後にするレストランを目指せ
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この1画面の中だけでも,客それぞれがまったく違う行動を取っているのが分かる。ゲーム中に眺めているだけでも楽しめるぞ |
サンドボックスモードで頻繁に使うコマンドが,レストランの購入だ。
パリ,ローマ,ロサンゼルスの地図上から,物件リストを見ながら売り出し中の建物/建設用地を購入する。交通量が多いなど立地条件によって客入りに影響があり,各都市にある有名建造物(パリなら凱旋門,エッフェル塔)の近くにレストランを構えれば,自然と客が流れてくるわけだ。レストラン経営者としての名が知れてくれば,低迷中のライバル店の近くに店をオープンして客を根こそぎ奪ってしまうという戦略も可能である。
レストランスタイルは,フレンチ,イタリアン,ステーキハウス,シーフード,ミュージックスタイルの5種があり,これによってレストランに配置できるアイテム類のイメージも変わってくる。
レストランの外装は豪華なほど客を惹きつける効果があり,レストラン成功への重要な要素の一つとなる。もちろん,内装も重要だ。厨房には調理に欠かせないコンロや調理台,流し台,オーブンレンジ,2階建ての場合は料理搬送用のエレベータを設置しておく。またトイレは男女に分けて作り,中に個室と洗面台を設置する。ちなみにゲーム中はトイレ内も覗けてしまうのだが,男性側は大小の違いは当然のことブルブルと震える仕草まで再現されていて芸が細かい。
客席フロアに設置するテーブルには2人掛けと4人掛けがあり,その種類も豊富だ。それぞれに"快適さ" "装飾品価値"という要素があり,それらのバーが長いほど単価も高くなる。レストランを訪れる客は,料理を楽しむだけではなくさまざまな装飾品などにも興味を示すため,壁用アイテム(絵画やライトなど),フロア用アイテム(柱や衝立,アンティーク調の家具など),テーブル用アイテム(花やローソクなど)の中から客が喜びそうな装飾品を使い,レストランを華やかに飾って目で楽しむ環境も作っていかなければならない。
装飾品は,レストランスタイルの違いを合わせると200種類以上にもなり,一つ一つに価値が設定されている。
ちなみに,レストランの価値を高めるために予算ギリギリまで配置すると,あとで痛い目に遭う。というのも配置できるすべてのアイテムには個々に月額のメンテナンス費用(維持費)が発生する。ランプ一つにしても価値の高い物は月額24ドルなどの維持費がかかるため,派手に飾るほど維持費も膨れあがり,最終的に利益を食ってしまうということになるのだ。
レストランには,料理を作るシェフ,注文を取るキャプテン,料理を運び片づけをするサーバー,皿洗いなどをする厨房ポーター,客を席に案内する受付係りのスタッフが必要だ。スタッフはレストランの規模やテーブル数に合わせて雇用/解雇できる。
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エッフェル塔の前に土地が空いていたが,ほかの場所に比べるとやはり高い。しかしそれ相応の客入りが見込めるため,押さえておきたい |
各スタッフには"やる気"と"評価"のパラメータがあり,暇で働き甲斐がない,給料が安いのに忙しいなどの理由でやる気が減ると,仕事のスピードや接客態度に影響が出る。これはレストラン自体の評価低下につながるのだ。
しかし彼らも経験を積んでいくことで,徐々に成長し接客もうまくなってくる。"スタッフ研修"に予算をある程度割り当てておけば成長も早くなるのでお勧めである。
レストラン経営の要ともいえるシェフには,やる気などのほかに"種類別技能" "調理技能"というパラメータがある。種類別技能は得意な料理カテゴリのことで,得意なのはフレンチだけだがレベルが高いというシェフや,フレンチ,イタリアン,アメリカンを網羅しているがどれもさほどレベルが高くないシェフなどがいるため,量と質のどこに重点を置くかで料理品質の点で違いが出る。また調理技能には,調理時間が短い,料理の質を上げる方法(特殊食材)を知ってる,新しいレシピをたくさん知っているなど違いがあり,雇用するシェフ選びにも頭を悩ませるところだ。
雇ったシェフが最初からすべての料理を作れるわけではなく,メニューはレシピを入手することで増えていく。レシピは,新たに雇った別のシェフが持ってくる,レストランに訪れた客から売りつけられる,料理コンテストで優勝して手に入れるなどの方法で入手していくことになる。
レシピごとに調理するシェフを割り当てられるので,イタリア料理が得意なシェフにイタリア料理すべてを担当させる,という風にすれば,同じ料理を何度も作ることで経験値が増え,料理の品質も上がっていくことになる。ちょっと贅沢だが,フレンチ,イタリアン,アメリカンと専用シェフを雇うのも手だろう。
忘れてならないのが,頻繁に開催される料理コンテストに参加し優勝することだ。シェフにはランキングがあるため,コンテストに優勝することで知名度を高められるし,優勝を飾った料理はメニューに表記されるため,客が注文する頻度は高くなるわけだ。コンテストで優勝したシェフがいるレストランというだけで足を運びたくなるのは,現実と同じなのだ。
レシピメニューは,朝食,前菜,スープ,メイン,デザートの5種類に分けられていて,合計180種類用意されている。各レシピとも国籍,調理にかかるコスト,レシピ上での評価,調理時間,必要調理器具,注文頻度などのデータを見ることができ,材料となる食材の品質を料理ごとに落としgdコストを下げて利益を得たり,特殊食材を使って料理ごとの品質を上げるといったことが可能だ。
レシピメニューは,レストランスタイルに合わせたメニュー構成にするということが重要だ。ステーキハウスなのにメニューにはシーフード料理ばかりが並んでいたら客がポカーンとなってしまうわけで,客がどんな料理を求めているのかを考えてレシピメニューを作りたい。価格設定についても,どこでも食べられるレベルの料理を高い値段で提供されたらどうだろうか? 単に値段を下げても料理の質が悪ければ客は満足できるはずがない。そういった細かいところまで考えて客に提供するメニューを組まなくてはならない。
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サンドボックスモードでは,開店資本金を500万ドルまで自由に設定できる。それにしてもこのレストランスタイルはどうかと…… |
来店する客には,一人一人に予算,品質期待度,実際の料理品質,満足度というパラメータがあり,予算が多い客は裕福でそれに見合った料理を注文するし,品質期待度も高い。こういう客にはそれに見合った品質の料理を提供できなければ,満足度が低くなる。満足度は,料理品質のほかにもスタッフの対応,給仕までの時間などさまざまな要素で変化する。
ちなみに,席に座っているときに客の頭上に時計が表示されていれば給仕が遅くイラついている,赤い顔マークなら待ちくたびれて最悪の店だと思っていることが分かる。また客の頭に表示される勘定額の色は満足度50%以上は緑,50%以下は赤で表示される。
来店中のすべての客のそれぞれに"単品で注文した" "コースを選んだ" "何の料理を待っている"というのを見ることができるのだが,この中の"お気に入りメニュー"というのがポイントだ。このお気に入りメニューを給仕し,客の期待通りに給仕すれば多少のクレームにも目をつぶり,満足してレストランを後にしてくれるだろう。
お気に入りメニューを給仕する場合には,その料理の腕前が高いシェフを指定する,料理品質を高くする,価格を安く変更するなど個別の対応も可能なので,とくに予算の多い"お金持ち"の待遇には気を付けたほうがいいだろう。
レストラン経営状況全体を見渡すには"情報センター"コマンドを使う。キャンペーンモードでのクリア状況の確認,レストラン評価,売上レポート,統計情報,損益計算書,財務グラフ,クレーム一覧,スタッフの情報,レストラン経営方針の設定,所有するレストランリスト,仕入先リスト,有名シェフランキング,人気メニューなどを見ることができるのだ。
ここでは開店閉店時間の設定,スタッフ研修,広告(テレビ,ラジオ,新聞,雑誌),ローン借り入れなども行えるため,ゲーム中は頻繁に見ることになるだろう。さまざまな情報を見ながら,レストランに必要なものを見つけ出すようにしなければ,五つ星レストランにするのは不可能だ。
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ゲーム中に,ときどき客がレシピを売ってくれるなどのイベントが発生する。キャンペーンモードでは重要な客がたびたび来店するのだ |
キャンペーンモードではシナリオ途中で会話を選択する場面も何度か出てくる。ちなみに左が主人公のアルマンド,右がミシェル叔父さんだ |
ほかのレストランからシェフを引き抜く。高額の給料を要求してくるが,それなりの腕は持っているので強い味方になるはずだ |
レストラン経営は難しい……慌てずじっくり考えて挑戦すべし
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テーブルや装飾品は非常に多く,比較的自由に配置が可能だ。テーブル間隔を狭くしすぎると苦情が出るのでご注意を |
経営シミュレータというと,さまざまなパラメータがありすべてを統括してコントロールできなければうまくいかないことが多い。レストラン エンパイアは,その最たるものだといえるだろう。それゆえに本作は非常に奥が深いマニアックな作りという印象を受けた。
……などというと,ちょっと難度が高いイメージを抱くかもしれないが,単に難しいというのではなく,どうやればクレームを減らすことができるかなどの問題を一つずつ解決していくことにより,レストラン
エンパイアの面白さが見えてくるはずだ。
実は筆者も,最初はレストランのランクが上がらないし,利益はまったく出ないしと,かなり頭を悩ませた。しかし何度も試行錯誤しながらプレイし,解決策を見つけてきた……というところだ。何となくゲーム中のスタッフ同様に育成されている気分である。そんな苦労もあって大きな黒字を出し,徐々にレストランランクが上がってきたときの気分は最高だ。
自分好みの内装にするのもよし,レベルの高い料理を安く提供するレストランに仕上げるもよし,いろいろなプレイスタイルや楽しみ方のできるレストラン エンパイア。さまざまなタイプのレストランをオープンさせ,五つ星レストランの称号を手に入れるために格闘してみてほしい。
なお,当サイトの「ここ」に体験版が用意されているが,残念ながら英語版となっている。ストーリーに沿って展開される部分があり,内容が理解できなければ面白みも半減してしまうだろう。
しかし製品版は,テキストはすべて日本語化されているので心配ご無用。できれば日本語体験版も用意していただけると多くの人にレストラン エンパイアを味わってもらえて良いと思うのだが……。
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料理コンテストは,"料理の鉄人"そのもの。競技中はミニゲームに挑戦し,成功すれば集中力などがアップして料理の出来映えも上がる |
雇ったばかりのスタッフはクレームの嵐。受付係りの評判は最悪なので,いろいろ対策しても改善されなければ解雇も考えるべし |
キャンペーンモードではさまざまな課題が出され,クリアすることによって次のシナリオへ進むことができる。これはまだ簡単なほうだ |
来客パネルでは個々の注文状況のほか,さまざまな情報を見ることができる。頭の時計は給仕が遅いためイラつきだしたということだ |
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さまざまな料理コンテストで優勝を重ね,徐々に実力を付けてきたアルマンド。レストランを有名にするためにも,もっと上を目指したい |
来客者一人一人を見ることもできるが,一覧表示させれば多くの客の状況が一度に把握できて便利だ。現状はまぁまぁといったところか |
レシピでは,料理ごとに品質の調整,任意食材(特殊食材)を入れるなどして料理の質を変えることもできる |
客のお気に入り料理が自信のある料理のときは,思い切って勧めてみよう。客の満足度を上げるにはこういった地道な作業も必要なのだ |
■発売元:メディアクエスト
■価格:8980円
■問い合わせ先:メディアクエストユーザーサポート TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/500MHz以上(1GHz以上推奨),メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量
700MB以上,メモリ16MB以上搭載したビデオカード,DirectX 8.0a以降
■Screenshots集
■英語体験版
■ムービー(MPG:26.3MB:2分36秒)
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