Max Payne 2:The Fall of Max Payne
Text by 阿蓋花男
8th Jan. 2004
今度はすぐ出た? 「Max Payne 2」
あのMax Payneの続編が,ついに登場した。
前作「Max Payne」は,1997年のDirectX 5時代に開発が始まり,発売されたのは2001年夏。開発に4年もかかってしまったわけだが,その続編となる本作「Max
Payne 2」の開発期間は2年。決して短くはないが,前作と比べ半分の時間で完成したのは嬉しい限り。
ところで,結局のところ2003年内に発売された大作3Dアクションゲームは「Max Payne 2」と「Call of Duty」のみだった。「Half-Life
2」「DOOM III」「Far Cry」といった期待作が軒並み延期となり,アクション・シューティングゲームファンの多くがこちらに飛びついたのか,発売直後の北米では売り切れ店が出るほどの好調なセールスを記録した模様。
各ゲームメディアの前評判はそれほどでもなかった「Max Payne 2」だが,プレイヤーのウケは悪くないようで,日本語版の発売が未定なのが残念だ。
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今作のテーマは"愛"。あのMax Payneが恋をするが,彼ってつくづく女を不幸にする男だよなぁ……。それはさておき,今作もステージ間インターバルには劇画調のカットシーンが挿入される |
今作も"つかみ"から見事なストーリーライン
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ちょっと年をとった感のある今作のMax Payne。ちなみにこれはCGムービーではなくリアルタイムグラフィックス。モーションブラー表現が多用されており,その映像はシネマティックだ |
まずは,前作「Max Payne」について簡単に紹介しておこう。
3年前,街にはびこりだした新しい麻薬"Valkyr"(Vドラッグ)の中毒者によって妻と娘を殺害されたMaxは,ニューヨーク市警からDEA(麻薬取締局)へと転属。復讐の鬼となってVドラッグの捜査へと乗り出すが,その捜査過程で政府による陰謀と腐敗の実体が明らかとなる。"知ってはならない秘密"を知ってしまったMaxは,刑事殺しというぬれぎぬを着せられながらも絶大な権力を誇る敵にたった一人で立ち向かっていく。
「Max Payne」は三人称スタイルの3Dアクションシューティングで,その高い映像クオリティと,映画「マトリックス」で注目を集めたバレットタイムアクションを3Dゲームにいち早く取り入れた事などで話題となった。
前作はプレイステーション2版として日本語化され,2003年5月にエレクトロニック・アーツから発売されているので,英語が苦手という人はPS2版をプレイするといいだろう。
その続編となる今作「Max Payne 2」の舞台は,またもやニューヨーク。前作で追いかけた新麻薬"Vドラッグ"事件を多大な犠牲を払いつつも解決したMaxは,DEAからニューヨーク市警に復帰し,殺人事件の捜査に当たるという普通の刑事としての毎日を送っていた。
ショットガンを抱えたままビルの最上階に呆然と立ち尽くすMaxのパンシーンから始まるという,プレイヤーをゲーム世界に引き込む見事なオープニングが印象的だった前作だが,本作でも瀕死の重傷を負い,病院のベッドの上で生死の境をさまよっているという,前作にも負けずにショッキングなシーンから始まる。
痛む体を引きずり,なんとかベッドから起き出すMaxだが,麻酔の影響もあり,何がどうなったのか事態をまったく飲み込めない。
そこへ,いきなり覆面武装集団が押し込んでくる。本能的に危険を察知,病室を抜け出したMaxは,やがてたどり着いた地下の遺体安置室で相棒の女刑事の死体を発見してしまう。しかも,自分が撃ち殺してしまったらしく,そのときの情景だけは思い出せるという,まったく"謎"だらけのままに,「Max
Payne 2」はスタートするのだ。
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遺体安置室に横たわる,相棒だった女刑事。彼女を殺したのは,ほかならぬMaxその人。その記憶だけは確かなのだ |
前作で消息不明となった女殺し屋Mona Saxが今作でも登場。今作でも敵か味方かは……分からない |
これがMaxの自室。一切の飾りがない殺風景な部屋だ |
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今作でも前作同様に悪夢の中をさまようステージがある。その映像効果は前作にも増して幻想的 |
進化したバレットタイムアクション
すでに述べたように,本作で三人称システムを採用しているのには理由がある。これは,Max Payneシリーズが"シネマ的ゲーム"というデザインコンセプトを持っているからだ。Max
Payneの華麗なアクションを,プレイヤーは一歩後ろに"引いたところ"から視聴者として楽しむ……,これが,本シリーズが提供するカタルシスなのである。
Maxの華麗なアクション,それは前述した"バレットタイムアクション"(以下BTA)によってもたらされる。
飛び交う銃弾や,走り寄る大勢の敵も,BTA発動直後からゆっくりと,まるでアリが進むかのような速度で見えるようになるが,Maxの照準操作と射撃操作だけは通常のスピードで行える。
身の危険を感じたらBTAを発動,飛来する銃弾を避けつつ,迫り来る敵に向けて射撃。BTAを終了させると,あとはバタバタとドミノ倒しのように敵が倒れる……これがこのゲームの醍醐味だ。
BTAの使える時間を表示する砂時計型ゲージは,時間の経過と共にゆっくりと自然回復するほか,BTA無しのリアルタイム戦闘で敵を撃ち倒していくことでも回復するようになっている。
なお,BTA発動を前提としたゲームデザインとなっているためか,状況によっては理不尽なまでの数の敵が襲いかかってくる。敵の出現位置はマップ内にイベント形式で固定配置となっているので,どの地点でBTAを発動し,どの地点をBTA無しで耐え凌ぐかが本作のゲーム性の一部となっているわけだ。
なお「Max Payne 2」では,BTAに三つのバリエーションが設定され,前作のものよりも,さらにパワーアップしている。
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SHOOTDODGING(シュートドッジング)
BTA発動時点に入力されている方向キーのほうへダイブジャンプしつつバレットタイムへ移行。BTAゲージを消費しないのが特長。
ダイブを完了した時点でBTAが強制解除され,なおかつ立ち上がるまでに少々時間が掛かるというマイナス面も |
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BULLET TIME ONLY(バレットタイムオンリー)
Maxの姿勢を一切変えずに,その時点での行動を持続させた状態でゲーム世界がBTAへと移行する。
このBTA中にSHOOTDODGINGを併せて発動することも可能だが,その場合SHOOTDODGING完了後にBTAが強制終了される。
BTA発動中は,画面が若干セピア色に近い色に切り替わるのも今作ならではの演出
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BULLET TIME COMBO(バレットタイムコンボ)
方向キーが入力されていたらSHOOTDODGINGへ,入力されていなければBULLET TIME
ONLYを発動するBTA。
BTA発動中は,弾のリロードは両腕を広げるように回転して残像付きで行われる。Max Payneかっこよすぎ! |
乱戦時におけるSHOOTDODGING後の隙は非常に危険であることには注意したい。むやみやたらにSHOOTDODGINGを発動すると,起きあがるまでに敵の集中攻撃を受けて死亡することがあるからだ。
BTAを発動してひと通りの敵を攻撃したら,敵から身を隠せそうなオブジェクトを見つけ,その物陰にダイブするような形でSHOOTDODGINGを発動するといいだろう。
ザッピングシステムを採用,あのモナ・サックスを操作してマックスペインを守れ
ゲームは,敵を撃ち倒しつつゴールを目指す一本道なリニア進行。ステージ数は全24ステージあり,3章から構成されている。
今作では,そういった基本ステージのほかにも,迷路ステージ,護衛任務ミッション,TOMBRAIDER的なスイッチ押し下げパズルミッションといったバリエーションがつけられている。
護衛ミッションでは,自分の体力ゲージのほかに,護衛する味方の体力ゲージも表示され,その味方が死亡した時点でもゲームオーバーとなってしまう。味方の位置を常に把握して,味方に近い敵から始末していかなければならないため,通常ステージとは異なった戦略性を要求される。自分を多少犠牲にしつつ,護衛となる対象を守らなければならないため,難度はやや高めといえる。
また護衛する必要はないまでも,Maxと共に戦ってくれる相棒キャラクターが登場するのも本作ならではの要素だ。あまり賢いとはいえないが,敵の攻撃を分散することができるので,結構ありがたい。
NPCとの会話シーンも前作より増えており,場合によっては回復アイテムや武器をもらえたりするので,アドベンチャーゲーム的なマップ探索の楽しさも増している。
そして,なんといっても今作では,プレイヤーがMax Payne以外を操作することになる点に注目したい。前作で消息不明となったダーク・ヒロインのMona
Sax(モナ・サックス)が今作で再登場し,ステージによっては彼女をプレイヤーが操作することになるのだ。
操作系はMaxと同じだが,その基本アクションやBTA時のアクションが女性的になっている。傷を負ったMaxの援護射撃を行うステージなどは非常にドラマチックであり,プレイヤーキャラクターが入れ替わるという演出については賛否あるだろうが,筆者としては支持したい。
今作「Max Payne 2」のサブタイトル"The Fall of Max Payne"のFallには,刑事殺しへと"転落"したという意味合いがあると同時に,Mona
Saxとの恋に"落ちた"という意味も込められている。ストーリー全編に渡って仕掛けられた謎の答えはもちろん,MaxとMonaとの恋の行方にも目が離せない……といったところか。
英語による会話シーンなどが全編に散りばめられているため,今一つとっつきにくい感のある本作だが,アクションゲームファンが望む要素はひと通りそろった秀作であることは確か。3Dシューティング好きならば,この冬プレイして損のない作品だろう。
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廃墟の遊園地のステージ。ライド系お化け屋敷アトラクションの中を突き進むだけで敵が出てこないステージだが,そのアトラクション自体が結構面白い |
ホームレスと娼婦が,強引にMaxの戦いに参戦……とくに実害もないので快く承諾することに |
前作でお馴染みの崩れ落ちるビルからの脱出ステージは今作にも登場。爆薬を利用して壁を崩し,自ら逃げ道を作り出していかなければならない局面もあり,パズル性が向上している |
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左下の二人分の体力ゲージに注目。Mona Saxを操作し,Maxを援護するステージ。走り抜けるMaxを狙っている敵を,彼女が狙撃していくというミッション。二人のうちどちらかが死亡してもゲームオーバーに |
雨で濡れた地面に周囲が映り込んでいる。前作から比べ,グラフィックス表現もかなりパワーアップしている |
Mona SaxもBTAを使いこなす銃の名人。弾のローディングは当然のごとく(?)残像付き回転アクションだ |
■メーカー:Rockstar
Games
■価格:49.99ドル
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII・Athron/1GHz,Celeron・Duron/1.2GHz,メモリ:256MB,空きHDD容量
1.5GB,32MB以上のメモリを搭載したビデオカード,DirectX 9.0
■体験版
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