Freelancer

The Sims Online
(邦題:シムズオンライン)
 #3

Text by 川村ハルト


日進月歩どころの話じゃなく歩み続ける「シムズオンライン」

大勢でPCを操作すると作業効率が向上する。写真はforGamer編集部を模したマシンルーム

 日本でも150名のβテスターが参加している(はずの)「シムズオンライン」。プレビュー記事も第三弾となる今回は,プレイ中に気づいたことをとりとめもなく書き記してみた。雑談も多いので,ゲームに関する情報のみを求める人は軽く読み流してください。また,今回もここに書かれている内容は製品版とは大きく仕様やバランスが異なっている場合もあるので,あらかじめご了承のほどを。

 さて,前2回のプレビューから1週間以上の時を経て,かなりの頻度でパッチが当てられた。お金に関しては各ユーザーから相当な悲鳴が上がったらしく,初期資金が$6000になって土地代がなくなったり,仕事オブジェクトの収入額が上がるなど,現在ではあれこれ改善されている。おそらくクローズドβの段階からプレイしているユーザが有利になり過ぎないようにとの配慮だとは思うのだが,とりあえず徐々に豊かな世界となりつつあるようだ。
 サーバーやマップの数もここにきて一気に増え始めている。最初はCity type2 "Lots of water"のみだったが,現在は稼動していないものまで含めると20以上のサーバーとCity type1〜4までを確認することができる。プレイヤーは一つのアカウントで3人までのシム人を作成できるが,シム人はサーバー間の移動はできず,また一度作成したキャラクターは6日間も消すことができない(お金を知人に渡してキャラを消してまた作成し直して,という不正を防止するためだろう)。よって全マップを一度に楽しむのは難しそうだ。もっとも,マップによって何が変わるというわけでもなさそうではあるが……。
 「シムズオンライン」は,大規模オンラインゲームの中では珍しくAlt+Tabキーによるアプリの切り替えが可能となっている。しかし「シムズオンライン」がアクティブではない状態でのアイドルは15分が限度で,10分経つと警告が出る。5分以内に復帰しなかった場合は強制的にサーバーから切断されてしまうのだ。最初の頃はプレイヤーが放置しているらしく,垂れ流しで嘆きまくりという哀れなシム人の姿を多く見かけたものだが。もうそういった放置プレイはできないらしい。よって一つのマップには数万人のシム人が家を持てるが,実際に数万人が同時アクセスすることはなさそうだ。正直,数千人規模の今の状態でも若干重い気がするし

 検索機能に,"Map Filters"というものがあるが,これは人気の家をピックアップするための機能だ。この中の"Most Popular Places"を使用すれば,最も人の集まっている家がいくつか表示される。人の集まっている場所は,多くのユニークなオブジェクトが揃っている可能性が高い。同様に"Top Money Makers"では,最もお金を生み出している家がピックアップされる。つまり収入の得られるオブジェクトを多数設置している場所だ。仕事できる場所を探している人は,こういう場所を訪れるといいだろう。
 なお,「シムズオンライン」は,原則として"特別な場所"はない。つまりホスト(EA)のみが所有する特殊な建物やオブジェクト,誰の所有地でもない公共の場所などは,存在しないのだ。どれほど豪華絢爛な,あるいは不思議極まりない建物でも,必ず再現することができるようになっているのである。最初は貧乏でも,いつか豪邸を持つ日を夢見て頑張ろう。

ご近所のロットを表示する拡大図。明るく光っているロットが,現在オーナーがいて訪問可能なロット。ほかはお留守だ ピザマシーン。トッピングの材料の略称を声掛け合っているユニークなシーンが見られる。今のところ25000ドルと高価 いつのまにか32000ドルに値上がりしていたロデオマシン。Iwahamaのワガママで強引に購入した一品である

徐々に経済的にも潤いを見せてきている世界

シム人の衣装は基本的に後から変更できない。しかし一部の高級衣装ケースを使うと……

 「シムピープル」にも存在した,スキルを習得する学習オブジェクト。これと同じ系統のいくつかが,収入の得られる仕事オブジェクトだ。仕事オブジェクトの使用法も,基本的には学習オブジェクトとそれほど変わりない。オブジェクトを一定時間使用することで作業は完了し,完成した物を売ることで収入が得られる。また次の作業に取り掛かり……,ということを繰り返すのだ。仕事オブジェクトも,使用中は関連スキルが上昇する。ただ状態パラメータが許す限り使用を続ける学習オブジェクトとは異なり,仕事オブジェクトは作業が完了したら手を止めてしまう。まめに監視してオブジェクトを指定してやる必要がある。
 ピザマシン"Concessione DiPizza"のように,4人揃わなければ使用できない仕事オブジェクトもある。これは4人がそれぞれ自分の担当(材料)を把握し,順序よく作業を行なうことでピザを作るピザゲームだ。途中で手順を間違えると黒焦げのピザとなってしまう。複雑かつ面白いオブジェクトで,ピザマシンのある家はそれだけで人が集まるだろう。
 現在では,初めて挑戦する仕事でも$10は得られるように改善されている。スキルの上昇と共に額も上がり,仕事の種類では1回の作業で$30以上稼ぐこともできるようになったのはうれしい。なんせプレビュー第1回の時点では1回$1だったのだ。
 ちなみに現時点でもっとも高価なオブジェクトは,$32000のロデオマシン"Toro tec Mechanical Bull"だ。これは"forGamer's room"にも設置してある。$6000前後で購入したはずなのだが,いつのまにか値上がりしていたのだ。大もうけ(?)である。

ほかのシム人と同じ世界で生きていく上でのセオリー

 基本的に,ほとんどの状態パラメータの回復は1人でまかなえるようにできている。だが唯一どうにもならないのが"Social"で,これは他のシム人と交流しなければならない。最も手っ取り早く"Social"を上げる方法は,椅子に座って誰かほかのシム人に向かって"Laugh"する(笑う)ことである。
 人の多い部屋なら問題ないのだが,一人暮らしで誰も遊びに来てくれないシム人の場合,"Social"が下がったときだけは他人の家を訪れる必要がある。"Laugh"だけしまくってそそくさ立ち去るというのがラクなのだが,これはオーナーによっては不快に思うかもしれない。

 他人の家で寄生生活するときに問題となるのが"Hunger",つまり食事だ。他人の家の冷蔵庫は勝手に利用できないので,オーナーが食事を振る舞ってくれるのを待つか,あるいは"Buffet table"というバイキングテーブルか自動販売機のある家を探すしかない。"Buffet table"は裕福な家なら無料開放しているところもあるが,料金が設定されている場合もある。すべての食費はオーナーが自腹でストックしているということを考えると,無料でご馳走してくれる家では節度と感謝を持って食事に与かろう。

 かなりの余談ではあるが,筆者はこれまでさまざまな実験を試みるべくプレイをすすめてきた。たとえば,"今回のシム人は餓死するか"という調査を進めていたときのこと。我らが本拠地"forGamer's Room"のオーナーは不在,しかも筆者のシム人は作り直したばかりで,ルームメイト設定されていなかった。そのため"forGamer's Room"で1人快適に餓死を待つわけにはいかず,よその家にお邪魔して餓死させてもらうことにしたのだ。
 ところが,渡る世間は親切な人達ばかりだったのである。腹を空かせたビジターが現れるや,どこの家の人も「お入りなさい,一緒にディナーしましょう」と,ご飯を用意してくれるのだ。涙の出そうな親切に対して「迷惑です」と言うわけにもいかず,こちらが「ありがとう。でもシム人が餓死するかどうか実験中なので,そっとしといてください」という内容の英文を考えているうちに料理は出来上がってしまう。結局この時は餓死するつもりが,ただ行く先々でご馳走になっただけであった。「シムズオンライン」の世界は,優しい人ばかりだ。

お客様用のビュッフェテーブル。残念ながらforGamer's Roomのものは無料ではありません。我々も本当に貧乏なの 喧嘩の一シーン。「シムピープル」みたいに漫画チックなものではなく,技の掛け合いとなる 編集部のIwahamaは,まだ右も左も分からないほかの編集スタッフのお金を巻き上げて今の部屋を作ったのだ

日本語の通じる部屋"forGamer's Room"をよろしく

最大のCityマップでMap Filtersを使用した状態。集客率の高い家が表示される。これらの機能は今後も充実を図ってもらいたい

 初代"forGamer's Room"は,カラフルでファンキーな壁紙とカーペットを意識してデザインしてみた。ところが最初のビジターは「This room really suck!」というお褒めの言葉を吐き捨てて,すぐに出ていった。
 しょんぼり落ち込んだ筆者は,すぐさま二代目"forGamer's Room"の建築に取り掛かった。スタッフのIwahamaにもアカウントを取得させ,彼をルームメイトにすることで豊富な資金を注ぎ込めるようになった"forGamer's Room"は,なかなか見られる部屋となった。
 まだ金銭面のバランスが異常に厳しく,シム人の誰もが貧困に喘いでいた頃の話である。風呂トイレ完備,キッチンに冷蔵庫,ソファとテレビ,PCまで設置された"forGamer's Room"は,ビジター達の羨望の的となった。しかし我々は遊んでいるわけではなく,日本に「シムズオンライン」の真実を伝えるべく調査中だったのだ。扉に高額な入場料を設定してみたり,キーナンバーを仕掛けていたりと,数々の意地悪もとい試行錯誤を試みていた頃である。おかげで大勢の人が嘆きつつ立ち去っていってしまった。どうもごめんなさい。

 その後,全ロットがリセットされて家が消滅するなどのアクシデントも乗り越えつつ,Alphavilleの"forGamer's Room"は,10月25日のβテスト終了日まで持ちこたえることができた。βテスト終了を迎えた後,いったいどうなってしまうのか現時点ではまだわからない。だが,たとえ消滅してしまったとしても我々は再び"forGamer's Room"を建てるつもりでいる。できればAlphavilleの"forGamer's Room"を存続させていきたいのだが,もしかしたら別のサーバーに移るかもしれないので,あしからず(どこかのお茶目な誰かに同名のロットを取られてしまうかもしれないじゃないか)。
 一応,今のところ業界一(?)の設備とセンスの悪さを兼ね揃えていると自負している"forGamer's Room"。24時間オープンというわけにはいかないのだが,編集部そっくりにデザインしたマシンルームもあるので,もし消失していなかったらぜひ遊びに来てください。 なお,"forGamer's Room"を利用していただけるという方へのささやかなお願いです。我々スタッフのシム人(オーナーおよびルームメイト)は現実世界で多忙を極めて追い詰められている場合も多々あるので,返事がなくてもムッとしないでね。あと,くれぐれもほかのユーザーには迷惑が及ばないよう最低限のマナーを遵守してください。

 ちなみに現在,FilePlanetで「シムズオンライン」のβテスト用クライアントをダウンロードできるようだ。ただしプレミアム会員のみへのサービスとなっているようだが。

これがforGamer's Roomです。ガラーンとしてますが。内装などは日によって激しく異なるのであしからず。ぜひ遊びに来てね

※βテストが終了しているかどうかは現状不明ですが,2002年10月25日21時(日本時間)現在,サーバーに接続出来ないようです

 

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