カプコンから日本語版が発売される「ライオンハートサーガ 〜十字軍の遺産〜」(原題「Lionheart:Legacy of The Crusader」)は,今は亡きBlack
Isle Studios社の作品。"Baldur's Gateシリーズ"や"Neverwinter Nightsシリーズ"など,多くの本格派RPGを発売したブランドだが,母体のInterplayの倒産により,残念ながら解散してしまった。もっとも,同社のスタッフはのちに新会社を設立し,「Neverwinter
Nights」の新作の制作発表をしている。 虚構と現実が入り交じる魅力的なゲーム世界ゲームの舞台となるのは,実際の歴史をベースとしながら,ファンタジー要素を織り交ぜた中世ヨーロッパ。タイトルにある"ライオンハート"とは,12世紀後半に実在したイングランド王,"獅子心王"リチャード一世のことだ。ゲーム中では,彼が第3次十字軍遠征のときに側近の裏切りにあい,異界から多くの魔物を呼び込んでしまったという設定になっている。ちなみにこの事件は,"大変異"と呼ばれている。 物語が始まるのは,"大変異"からおよそ400年後のこと。世界には魔法が蔓延し,野には怪物が跋扈していた。しかし人間社会では,魔法を使う者や魔法の力を受けた人種が差別の対象となり,場合によってはあからさまな迫害を受けることもあった。 しっかりと読ませる密度の濃いストーリーは,さすがBlack
Isle Studiosといったところ。「Baldur's Gate」同様,NPCとの会話は豊富かつ軽妙で,非常に魅力的な要素である。街中や荒野でさまざまな人物と話しているうちに,自然と物語世界に引き込まれてしまうはずだ。 冒頭で主人公を助けてくれるレオナルド・ダ・ヴィンチを始め,シェイクスピアやガリレオ,ミゲル・セルバンテスやマキャベリなど,実在の歴史上の人物が多数登場するのも面白いエッセンスだ。これらの人々は,史実に近い性格を持ちながら,この魔法的世界に適応して存在している。彼らはそれぞれの立場からメインストーリーやクエストに絡んでくるわけだが,会話の内容や言動には,世界史の知識を持っているとニヤリとさせられるようなユーモアが含まれている。こういった部分を観察するのも,この作品の楽しみの一つだ。 自由なプレイスタイルで練り込まれた作品を堪能すべし ライオンハートサーガは,キャラクター作成部分がかなり凝っているのが特徴的だ。本作では基本システムとして,"Falloutシリーズ"でも評価の高かった"SPECIALシステム"を採用している。ちなみにこの名称は,キャラクターの七つの能力値の頭文字を取ると「SPECIAL」となるところからつけられたものだ。職業という概念を失くし,ステータスを自由に割り振ることで主人公の長所や短所を決定するという,リアルで柔軟なキャラクター作成を実現するシステムである。 つまり,望むプレイスタイルに応じて,いかようにもキャラクターを調整できるのだ。力押しの戦闘で進むか,魔法中心でいくか,はたまた戦闘はなるべく避ける方向で,交渉能力に重きを置くか。いずれもプレイヤーのお好み次第だ。 ひとたびキャラクターを作り上げてしまえば,あとは簡単だ。基本的にはマウス一つで直感的に操作できるし,いくつかのショートカットキーを覚えれば,より快適にプレイできる。クエストログやオートマップを活用しながらゲームを進めていけば,それほど詰まることもなく物語を堪能できるはずだ。 長々と解説してきたが,要するに本格派シングルRPGファンには無条件でお勧めできる作品であることは間違いない。じっくりと遊べるゲームを求めているなら,ぜひともこの作品を記憶にとどめておくべきだろう。 →4Gamer内の記事一覧は,「こちら」LIONHEART: Legacy of the Crusader (c) 2003 Interplay Entertainment Corp. All rights reserved. Reflexive Velocity Engine (c) 2003 Reflexive Entertainment, Inc. All rights reserved. Interplay, the Interplay logo, Black Isle Studios, the Black Isle Studios Logo, Lionheart: Legacy of the Crusader, and the Lionheart: Legacy of the Crusader logo are trademarks of Interplay Entertainment Corp. |