ドイツのデベロッパWings Simulationsが開発中のミリタリーシューティング「SOLDNER:SECRET WARS」(ゼルドナー・シークレットウォーズ)のβデモ版が登場。本作は「バトルフィールド1942」や「オペレーション フラッシュポイント」ライクに,戦車やヘリなど多くの乗り物を自在に操れるタイプのタイトルだ。
随分前になるが,本作は欧米でインゲームムービーが公開されたころからにわかに知名度と期待度が高まってきた。同一ジャンルで今一番ホットなのは間違いなくエレクトロニック・アーツの新作「バトルフィールド ベトナム」だが,SOLDNERはそういった王道タイトルの長所をふんだんに取り入れつつ,マップ全域に有効なオブジェクト破壊システムやキャラクターの個性を高めるためのスキン/ジェスチャーシステムを盛り込んで,列強に真っ向から勝負を挑んでいる作品である。
なお日本では,「CALL OF DUTY」「FarCry」といったFPSの大作リリースラッシュをかけるメディアクエストが,日本語マニュアル付き英語版を発売する予定(※2004年6月11日に発売済み)。「こちら」に第一報があるので,「こちら」のプレビュー,「こちら」のムービーと併せてチェックしてみてほしい。
さて今回リリースされたのはマルチプレイ専用の"β"デモ版。デモ版同梱のサーバーブラウザか自前のDedicatedサーバーで,インターネット/LANでのプレイが可能だ。ただし本デモ版はあくまでもβバージョンなので,まだバランス面の問題や不具合を内包している(と,Readmeに記載されている)。先にいっておくが,現時点で筆者がプレイした感想を正直にいうならば,PCゲームのシューティング作品としては若干疑問の残るクオリティとなっている。
というのも,ネットコードの問題かコアエンジンの問題なのかは不明だが,全体的にパフォーマンスが悪く,とくにネット上のインターネットサーバーでははっきりいってゲームにならない。編集部のLAN環境でDedicatedサーバーを用意して各クライアントのグラフィックスオプションを最低レベルに調整しても重いということは,本作のウリであるオブジェクトへのインタラクティビティの自由度が,物理/グラフィックス両エンジンの処理能力に影響を与えていると考えられる(使用PCのスペックは,CPU:AthlonXP/2800+,メモリ:512MB,グラフィックスチップ:GeForce FX 5700 Ultra)。未だにログイン自体も満足に行えないという忍耐力を要求する状況だが,プレイしてみれば,少なくとも本作のフィーチャーはひととおり体験できる。そういう意味では,一度遊んでみる価値は十分にある。
本デモ版に収録されているのはマルチプレイの2マップで,モードはDeathmatchやHostage Rescueというオーソドックスなものと,「バトルフィールド」同様両軍に分かれて陣地を奪い合うConquestモード。
プレイヤーのスキンは前評判通り幅の広いカスタマイズが可能で,顔,上/下半身の装備からグローブやブーツまでを,色と迷彩柄を変えながら選択できる。もちろん軍服だけでなく,カントリー風のネルシャツ&ジーパンルックや,ちょっとSFっぽい黒皮スーツ&赤外線スコープ(これはゲーム中の装備とは別)といった個性的なキャラクターが作成可能だ。
ゲームを開始すると,まずは初期資金の3500でピストルやライフル,その他グレネードや双眼鏡といった装備品を購入してゲームスタート。なお乗り物系はすべて高価,しかもマップ内に点在するショップでのみ購入が可能という仕組みなので,手っ取り早く重兵器の使用感をチェックしたい人は,自らDedicatedサーバーを立てて接続し,一人でコツコツ資金を貯めるという方法で試すといいだろう。
そんなわけでポチポチとプレイしてみたが,基本的には敵味方入り乱れて前線を押し上げていく"バトルフィールドの近代版"という印象だ。指揮用,遊び用(?)として多くのジェスチャーを収録したAGS(アドバンスド・ジェスチャー・システム)を使いこなせば,プレイヤー同士でキチンと連携を取り合いながらワイワイと楽しめそうな雰囲気。
期待していた"オブジェクトが破壊できる"という点については,最初こそ爽快感があるものの,高度な物理処理が適用されているわけでもなさそうだし,正直いってそれほどのインパクトはない。
ただプレイヤーの攻撃で倒れた木や,爆破された家の"破片"がいつまでもマップに残って新しいオブジェクトとして存在し続けるのは新鮮だ。橋を破壊すればそのゲーム中は二度と復活することはなく川越えには迂回を余儀なくされるし,屋内でロケットランチャーを炸裂させて,ドア以外の出口を強引に作り出すことも可能。爆破エフェクトやパーティクル処理などは,DirectX 9世代にしては少々チープさを感じるが,32人(16対16)でマップをガタガタに変形させていく様子は考えただけでもワクワクしてくる。
前述の通り,現状のβ版はゲームとしてのクオリティが低いといわざるを得ないデキだが,それでもパフォーマンス問題の解決によって大化けする可能性も十分にありうる。今回のβテスターによるフィードバックがすべてを決めるといっても過言ではないので,シューティングファンはぜひ一度プレイして,不具合報告なり修正案なりをフィードバックしてみてはどうだろう。(Gueed)
(C)2004 by Wings Simulations GmbH. Published by JoWooD Productions Software AG, Technologiepark 4a,A-8786 Rottenmann, Austria. All rights reserved
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