最近では意外と珍しい,正統派の箱庭シム「Medieval Lords:Build,Defend,Expand!」。戦争のために街を作るのではなく,街自体が目的という都市建設シミュレーションだ。製品版ではキャンペーンが収録されるほか,追加マップをダウンロードして楽しめるシステムとなるらしい。
中世ヨーロッパを舞台としており,欲望渦巻く時代に隣国を牽制しつつ自国を繁栄させていくのが目的となる。ときどきバイキングから強請られたりと,何かとツライことは多いが,やはり街を育てるゲームには独特の健全な喜びがある。
まずは民家を置き,井戸を作って水を確保し,畑や牧場を用意して食料を供給するといった作業を行っていく。やがて人が増え始めるので,今度は医療や治安,信仰の拠り所などを充実させて民の要望に応え,地域を発展させていくのだ。こまめに民の不満を取り除いていけば,その地域の民家はランクアップしていく。
井戸を始めとする各施設には影響範囲があり,範囲内の民家にしか効果がない。また,それぞれの建物は道で接続されていることが重要なので,街のインフラはある程度の先を見越した計画を立てなければならない。
のんびりと街を発展させていくだけならさほど難しいゲームではないのだが,問題は外敵から領土を守るという要素。デモ版では建設できる施設がかなり限られているが,兵士を雇い,橋を架けて隣国に攻め入る(あるいは侵略される)という軍事的な要素もある。
各島には国境があり(自国の国境は緑色の囲み),軍隊がこれを越えると戦争状態に突入する。デモ版は,孤島にあるLighthouseに到達するのが目的のようだが,そこまで道をつなぐには島から島へと橋を架けていくしかないように見える。
ゲーム画面が3Dベースなので一見分かりづらいが,全体的に往年の名作「ANNO1602」を思わせるゲーム内容だ。ANNO1602も相当面白いゲームだったが,本作もかなり楽しめる。しかし都市建設シミュレーションは人を選ばず多くの人が楽しめるジャンルなのに,本作はちょっと分かりづらい部分が多いのが残念。最初のとっつきにくさを乗り越えれば,繁栄の喜びを味わえるのだが。(Kawamura)
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