Evil Genius［英］（Elixir Studios）

　かつて天才少年の異名を取ったゲームクリエイター，デミス・ハサビスが目下開発中の話題作，"悪の組織運営ゲーム"のデモが登場した。本作はE3 2004出展作品の中でも異彩を放っており，また人々の心をあっさり鷲掴みにしてしまうテーマだったこともあって，見事に注目タイトルの1本となった。

　本作「Evil Genius」は，「オースティン・パワーズ」のドクター・イーヴルのような悪の総帥となり，悪の秘密基地を作って，悪の幹部達を従え，悪の戦闘員達を率いて，世界征服を夢見ながら，次々と襲い来る正義の味方をやっつけようというコミカルなゲームである。テーマは実にバカバカしいものの，ゲーム内容はしっかりとした作りで，悪の組織の悦びと苦労を味わえる。何はともあれ，No.2が美人でグラマーな点はドクター・イーヴルより幸せだ。

　本デモ版では，チュートリアルから始まる一連のミッション"Lair Training"と"Evil Initiation"をプレイできる。最初のチュートリアルは，キャラやカメラの移動方法など，初歩的なことを学ばされる。とりあえずトレーニングルームを作る"Lair Training"まで我慢して勉強したら，いよいよ"Evil Initiation"が始まり，ゲームらしいゲームを楽しめるようになる。ここから先は，敵がパラシュートでやって来るようになるので注意したい。
　まずは"Barracks"と"Armory"を作って，戦闘員（便宜上，労働者やガードなどの総称とする）の数を30人に増やすことが最初の目的。Armoryは何かと重要で，ここで戦闘員用の武器や，捕らえた敵を監禁する牢獄，尋問用の椅子などを購入する。敵が主に狙うのもArmoryで，とくに牢獄のある部屋は頻繁に爆弾を仕掛けられる。潜入した敵は見逃さないように。
　敵との戦闘は，主に画面右下の"Base Alert Settings"を操作するか，敵キャラクターに直接タグを付けることで行える。"Base Alert Settings"を黄色のアラートにすると，戦闘員達は自分のクラスに合った武器を装備し，赤のアラートにすれば敵を探して直ちに攻撃する。下っ端労働者の武器は拳銃だが，上級クラスのMercenaryは，かなり強力な火器を扱える。ほかにも"Technician"や"Valet"などのクラスもあるが，このへんの育成は"Training Room"の機材を増やすことで育成可能だ。
　戦闘が起こると，あたりは死体袋でいっぱいだ。基本的には死体は冷凍庫へ片付けられるが，冷凍庫はすぐにいっぱいになる。冷凍庫の死体をこまめに処分するか，死体袋を外へ運び出すかしないと，やがて死体が匂い始めて戦闘員達の士気が下がるのだ。この死体の処理が，悪の総帥にとって最もやっかいな問題といってもいい。
　やがて，敵（正義の味方）の中にも名のあるエージェントが現れる。こいつは倒しても死なないで気絶するだけなので，牢獄を用意して捕らえよう。こいつらとの対決には，味方のユニークキャラである"Eli Barracuda"や"Jubei"を投入するといい。とくに"Jet Chan"はデタラメに強く，戦闘員に囲まれてもバタバタ薙ぎ倒していく様子は，敵ながらかなりカッコいい。最終的に，このJet Chanを捕らえて，ボスが牢獄に赴きHAHAHAと笑えばデモ版はクリアだ。

　ゲームシステム自体は決して目新しくはないものの，テーマはユニークで，かつ実際のプレイもかなりときめくものがある。今年のE3注目作の一つとして，いつか自分が悪の組織に入ることになった日のためにも，ぜひプレイしておきたい。（Kawamura）

Game contents and software copyright (c) 2004 Elixir Studios Limited. Evil Genius and the Evil Genius logo are trademarks of Elixir Studios Limited. All Rights Reserved. Published by Vivendi Universal Games, Inc. Vivendi Universal Games and the Vivendi Universal Games logo are trademarks of Vivendi Universal Games, Inc. All other trademarks are property of their respective owners.

キー操作