[E3 2004#019]今年度のRTSの中ではNo.1の注目作?「The Lord of the Rings:The Battle for Middle-earth」 - 2004/05/13 20:19


 毎年E3にて何かしらの注目タイトルをシアター・プレゼンしているElectronic Artsだが,今年そのシアターブースにて上映されていた作品が,これから紹介するファンタジーRTS「The Lord of the Rings:The Battle for Middle-earth」(以下,The Battle for Middle-earth)である。
 実はこの作品,実際にデモンストレーションを見る前から「かなり面白そうだ」という評判だけは小耳に挟んでいた。当初は半信半疑に聞いていた筆者だったが,このデモンストレーションを見る限り,各国のメディアが騒ぐだけはあって,さすがにかなり面白そうだ,というのが正直な印象である。というより,ここ最近のRTSの中では,間違いなく最高峰にランクされる期待作だと考えて差し支えないだろう。ゲーム画面からこれほど"売れそうなオーラ"を感じさてくれる作品は,RTSとしてはかなり久しぶりなのではないかと感じてしまうほどだ。

 タイトル名からも分かるとおり,本作は,映画「ロード・オブ・ザ・リング」を題材にしたストラテジーゲーム。原作者J・R・R・トールキンが生み出した架空世界「中つ国」(ミドルアース)を背景に,プレイヤーは,"旅の仲間"などお馴染みの勇者達が登場する善の軍勢か,サウロン率いる闇の軍勢のいずれかを操り,"中つ国"の運命を賭けた戦いに身を投じることになる。
 開発は,あの「コマンド&コンカー ジェネラルズ」を手掛けたメンバー(EA Los Angels Studios)が担当。グラフィックスの描画には,コマンド&コンカー ジェネラルズで使用された"SAGE ENGINE"の改良版が使われている。ただ,シニア・プロデューサーのHarvard Bonin氏が言うには,「あまりに改良しすぎて,ほとんど新しいエンジンといっていい」というレベルのクオリティとのこと。その完成度に対する自信のほどを伺わせていた。確かに,映像面での美しさは,現在のRTSの中でも屈指のレベル。ユニットやオブジェクトの挙動の素晴らしさも相まって,画面上で展開される情景は,RTS食傷気味の筆者でさえ普通に食指を動かされてしまうクオリティである。ただそれだけに気になる必要スペックの問題だが,Bonin氏曰く「CPUは,1.6GHzから2GHzもあれば十分」だとのこと。ホントか?と思わなくもない発言だが,現在できるだけ低スペックのPCでも動くように,各所をチューンナップ中だという話だ。
 ゲームモードは,主にシングルプレイとマルチプレイモードの2種類が用意されている。シングルプレイモードでは,"中つ国"を俯瞰視点で一望しできる戦略マップモードと,通常のRTSモードを交互にプレイしていくような感覚。戦略マップモードでガンダルフやアラゴルンが指揮する軍団を操作し,戦略マップ上で自分の軍団と敵の軍団がぶつかると,通常のRTSモード,つまりは戦術的な戦いへと移行していくという流れである。軍団を各所に移動させながら敵軍を撃破していき,善悪いずれかの立場で中つ国の覇権の獲得を目指していくわけだ。




 さて,今回シアター・ブースにて公開されたデモンストレーション・バージョンは,主に演出面の巧みさとグラフィックスの美しさを見せ付けるという方向性の内容であった(ムービーだからそれしかないが)。デモンストレーションに使ったプログラム自体は完全にプレイアブルなものではなく,あくまでも"お披露目用"といった程度の状態。要するに,スクリプトを駆使した演出に次ぐ演出また演出と,見に来たお客に"魅せていく"といったスタイルでプレゼンが行われていった次第。映画のようなシチュエーションをスクリプトで用意して,凝った演出を展開させていくという手法である。担当者の説明もゲームシステムの解説というよりは,スクリプトで作り上げたシーンの解説をしているといった趣だ。
 ただ,それでもなお面白そうだと感じてしまうのは,やはり本作の最大の売りが「ロード・オブ・ザ・リング」を題材にしているから,という一点に集約されるように思える。映像と音楽の"使い方"が非常に上手く,いちいち何か演出があるたびにシアター・ルーム内から歓声が上がっていたのが印象的だし,映画のファンならば思わず唸ってしまうような演出が各所に用意されているところは,さすがの一言。これは別に大きいイベントというワケではなく,ユニットの挙動から何からすべてが非常に良く作り込まれているという意味である。混紡を振り回して人間を振り払うトロルの挙動や,矢を撃たれてのたうち回るエレファントの様子,そして適材適所で使われるBGMなど,"映画のゲームであること"を最大限に生かしきった見せ方/作り方は,紛れもないプロの仕事を感じさせる部分だといえる。このあたり,さすがにコマンド&コンカーの制作陣の熟達した技術力/実行力といったところだろう。
 ちなみにシングルモードでは,原作(映画)に沿った35以上のシナリオが用意されるほか,使用するキャラクター達が順次成長していくというRPG的な要素も付加されているなど,シングルプレイに期待感が持てるRTSとしても注目したいところである。
 それに,シングルが作り込まれているからといって,別にマルチプレイがおざなりになっているというワケではない。Bonin氏よれば,マルチプレイに関しては,「Command&Conquer Red Alert 2」やジェネラルズで用意されていたマッチングシステムを,今まさに制作中だという話。当然ランキングシステムなども搭載し,自分の戦績に合った手頃な相手を瞬時に割り振り,対戦あるいは協力プレイを手軽に楽しめるよう配慮していくつもりだという。
 そしてマルチプレイモードでは,シングルプレイでは2種類の勢力しか選択できなかったところを,ローハン,ゴンドール,アイゼンガルド,モルドールの4勢力から選択可能に。Bonin氏は,本作が,多くの映画ゲームにありがちな"ただの雰囲気浸りゲー"ではなく,マルチプレイというバランス面で絶妙のさじ加減を要求される部分に関しても死角がない作品であることを強調した。マルチプレイについては,正直遊んでみないとその真価は分からないが,本作の開発陣がマルチプレイゲームの開発経験が豊富な面々が揃っているだけに,かなり期待しても良さそうだ。

 デモンストレーションの雰囲気を見る限りでは,公式発表通りに今年の秋に発売されるかどうかは正直微妙なところではないかと思わなくもないが,一刻も早く製品版を遊びたい作品であることは間違いのない事実である。できれば予定通り発売してほしいものだ。
 ちなみに日本での発売は現在はまだ未定だとのことだが,これだけ大作感が漂うタイトルだ,恐らくは日本語版の発売も間違いないのではないかと感じる。EA Japanによれば,日本語版については詳細が決まり次第アナウンスするとのことなので,こちらの情報も期待して待ちたいところである。(TAITAI)

(c) 2004 Electronic Arts Inc. All rights reserved. All trademarks are the property of their respective owners. 4/30/04. The Lord of the Rings and the names of the characters, items, events and places therein are trademarks of The Saul Zaentz Company d/b/a Tolkien Enterprises under license to New Line Productions, Inc.

→「The Lord of the Rings:The Battle for Middle-earth」の情報は「こちら」から



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