最も身近で最も不思議な存在"人間"をシミュレートしたゲーム「The Sims」（邦題：シムピープル）は，各種拡張パックを含めて全世界で630万本以上のセールスを記録している（現在PCゲーム史上トップの記録），超が三つ付くほど人気のソフト。この作品の続編が出るというだけで世界中が大騒ぎだというのに，その続編は，ユーザーの要望にできる限りに応えたかなりの出来映えだった！
　先日「こちら」のNewsで予告したとおり，E3 2003のEAのクローズドブースで，開発途中の最新作「The Sims 2」（邦題は「シムピープル2」になる予定）を実際に見せてもらい，気になる点を根ほり葉ほり聞いてきた。

■事実上無限の姿形を作成可能！
　まずは，The Simsシリーズの主役，キャラクター（シム人）について。
　よくMMORPGなどで，キャラクターごとの個性を出すため，いかにキャラクターのグラフィックスで決められる項目（目や鼻，口など）の種類が豊富かといった話が出るが，どれもThe Sims 2の前では，五十歩百歩といえる。筆者がつい口を滑らせて，開発スタッフに「本作ではだいたいどれくらいのパターンのキャラクターが作成できるのですか？」と聞いたところ，「そんなの分かるわけないよ」と一笑に付されてしまった。
　開発中ということで具体的な数字は聞かせてもらえなかったが，髪型，肌の色，眉，目……と項目数も多ければ，それぞれの項目ごとのパターンもそれぞれ数百というから驚きだ。例えば髪型だけで100種類以上あるのだが，その1種類ごとに横バーが表示され，右や左に動かすことで，さらに微妙に髪型が変化していくのだ。これは，口や鼻といったほかの項目も同じ。つまり，顔や姿というレベルではなく，「同じ口のキャラクター」でさえ，珍しい存在になってしまうわけである。

■シム人達のDNAを受け継ぐ子供が誕生
　The Sims 2では，最初から男女二人のカップルとその子供の3人家族でゲームを開始できる。この父親と母親のグラフィックスは，前項で説明した通り自由自在に作成可能だが，子供は違う。両親の特徴を受け継いだ子供が自動的に生成されるというシステムなのだ（もちろん子供の性別はランダム。もっとも，希望する性別になるまで設定し直せばいいわけだが）。
　これはゲーム中でも同じで，シム人達が恋愛の末に結婚して子供を産むと，必ずその両親の特徴を引き継ぐ子供が産まれてくる。ちなみに子供は，夫婦間の愛情（？）次第で，何人でも産まれる。最初に作成したキャラクターの家族（子孫）が，一人でも家にいる間はゲームが続くので，幾代にも渡ってゲームを楽しむことができるのである。

■変化していく肉体
　子供が大人になっていくのだから，当然大人は老けていく。現在はバランス調整中とのことだったが，現在のバージョンでは，一人のシム人が産まれてからヨボヨボの老人になるまで現実の時間で約20時間とのこと。
　ところで，The Simsの人気の理由に「誰一人死ぬことがないゲーム」ということも挙げられるが，寿命を迎えた老シム人がどのように扱われるかは，未定とのこと。ただブース内に飾られていたイラストを見る限りでは，どうやら「骨壺」としてゲーム中に登場するようである。
　ところでシム人達の体が変化するのは，老化に限ったことではない。食べて寝てばかりいれば太るし，トレーニングに励めば筋肉ムキムキの体型にもなる。
　せっかく可愛い子供が産まれても，育て方次第では恋愛相手に恵まれない可能性もあるので，お気を付けて。

■記憶力，観察力を持ったシム人達
　The Sims 2を語るにあたって，忘れてはいけないのが第一報でも触れた"Life's Big Moments"（人生で重要な局面）における"Life Score評価システム"だ。新しいシム人達にとって，感情とは一過性のものではなく，ちゃんと記憶しているということ。幼児期の出来事を大人になっても引きずっていたり，以前に失恋した相手を見ると逃げ出してしまったり，という行動が見られるのだ。このシステムによって，プレイヤーはシム人達が"感情をもった"と感じることだろう。
　またシム人達は，ほかのシム人達の行動にも反応するようになった。例えば好きな異性が目の前で恋人といちゃついていると，嫉妬に狂ったり，あるいは自分を磨くために筋肉トレーニングを始めたりするのである。
　これらのシステムによって，今までにはない複雑な人間関係が構築されることになりそうだ。

■似ているようで，まったく違う！　完全3Dで描かれたグラフィックス
　　最後になったが，新たに開発されたエンジンで描かれるグラフィックスも，本作の大きなウリとなるだろう。静止画のScreenshotsでは分かりにくいかもしれないが，本作のグラフィックスは完全3Dで描かれており，自由な方向から，自由にズームイン/アウトしてシム人達の生活をのぞき見ることができる。これはこの時代，非常にありきたりの進化ではあるが，その効果は絶大だ。「これが同じThe Simsか？」と思えるほど，魅力的なビジュアルを実現している。これはのちほどUpするムービーでご確認いただきたい。
　またシム人達は感情によって表情を変えるようになったり，天候が変化したりといった，細かい改善点も多い。前作ですらただ見ているだけで楽しかったというのに，The Sims 2ではどんな感動を与えてくれるのか？　今から非常に楽しみである。

　The Sims 2は，米国では2003年の秋，日本では完全日本語版が2003年の冬に発売される予定。
　決して奇抜なタイトルではないものの，多くのE3出展タイトルの中で間違いなく光っていた本作を，forGamerでは今後も細かく情報を追っていくつもりである。ともあれまずは，数時間以内にEAクローズドブースでのデモンストレーションを撮影したムービーを掲載するので，期待して待っていてほしい。（Iwahama）

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