AIR COMBAT SCHOOL
LESSON 1


まずは,諸君がこれから飛ばす機体を見てもらおう。 European Air Warでは30機の航空機が登場し,そのうち20機に自ら搭乗,操縦することができる。この機体はQUICK STARTのデフォルト設定にもなっている米陸軍航空隊のP51Dマスタング,第二次大戦における最優秀戦闘機ともいわれる優れた機体だ。各部の造りは戦闘機によって多少異なるところもあるが,本フライトスクールは P51Dを教習機として使うので,十分に慣れておいてもらおう。


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Cool ScreenShots

■ここでの講義■
1. 飛行機の構造図
2. 飛行機ってどうやって飛ぶの?
3. 飛行機の曲がり方
4. 気をつけろ!飛行中の落とし穴


1. 飛行機の構造図
※下の図版は,プロペラ/エンジン/ラジエター/エルロン/フラップ/エレベーター/ラダー/燃料タンク/増槽/パイロン/パイロット/機銃/主脚/尾輪の14か所がクリックできるようになっています

※やや大きめのFlashなので,読み込みに若干時間がかかります。読み込み終了前には動作がおかしい場合もありますので,読み込み終了までお待ちください


2. 飛行機ってどうやって飛ぶの?

 戦闘機の性能を最大限に引き出すために,パイロットは飛行機がどのように飛んでいるかを熟知していなくてはならない。飛行機はどうやって飛んでいるのか? プロペラの力で飛ぶ? たしかにプロペラの力は使っているが,それでは十分な答とはいえない。グライダーはプロペラがなくてもちゃんと飛ぶぞ。
 
・・・答えは分かったか? 飛行機は,翼があるから飛ぶことができるのである。

 プロペラは回転することで空気を後に押し出す。この力が機体を前に進める。この力を推力という。しかし推力は,機体を前に進めるだけで空中に浮かすことはできない。飛行機の重量を支え,空中に浮かべているのは主翼の仕事だ。
 飛行機が前進すると主翼が空気を切り裂いて機体を上に持ち上げる力を発生させる。これを揚力という。飛行機の速度が上がると揚力も増える。揚力が機体の重量を超えたとき,初めて飛行機は空中に舞い上がることができるのだ。
 このときの揚力と機体重量が釣り合う速度を失速速度という。これ以下の低速では飛び続けられないぎりぎりの速度であり,P51Dの場合は約100mphだ。飛行機を着陸させようと思ったら,地面すれすれの高度でこの速度までスピードを落とさなくてはいけない。これは重要なことなのでよく覚えておくように。高度がまだ残ってるうちに速度を落としすぎると墜落するし,速度が落ち切っていないといったん地面に降りても機体はまた浮き上がってしまうぞ。
 大事な点を繰り返すと,飛行機は推力によって前進し,速度によって揚力を発生し,そして飛ぶ。飛行機にとって速度というのは飛ぶための最も重要な要素なのだ。十分な速度が得られるまでは,宙返りやそのほかの派手な機動(マヌーバー)もできやしない。だから諸君は,離陸したら急に高度を上げようとは考えず,まず緩やかな上昇あるいは水平飛行で速度を上げることを心がけるように。十分な速度に達して始めて安定した飛行ができるようになり,様々な戦闘機動や曲技飛行も可能になるのだ。


コクピットSS コクピットPH

左はEuropean Air WarでのP-51Dのコクピット
右は,New Zealand Fighter Pilot Museumに現存している実機のコクピットだ

Copyright © New Zealand Fighter Pilots Museum. All Rights Reserved.
本写真は,New Zealand Fighter Pilots Museumの協力により掲載しています。


3. 飛行機の曲がり方

 次は舵の使い方を説明しよう。自動車であれば走行中ハンドルを切れば切った方向に曲がっていくが,飛行機はそれよりちょっとだけ複雑だ。
 飛行機の姿勢を変えるための舵は3種類ある。エルロン,エレベーターそしてラダーだ。
 エルロンはスティックを左右に倒すことで操作し,機体は左右にバンクする。エレベーターはスティックを手前に引く,あるいは奥に倒しこむ。すると機体は機首を上げ下げ(ピッチング)する。
 最後にラダー。これは実機であればラダーペダルを右あるいは左に踏み込むことによって操作するのだが,Microsoft SideWinderならスティックを捻ることで操作する。右に捻れば機首は右に振られ,左に捻れば左に振られる。ラダーペダルなら右足を踏みこんだときに右に機首が振られ,左足を踏み込んだときに左に振られるので,感覚的には捻りラダーと向きが逆になる。
 さて話を戻して,飛行機で進行方向を変える(旋回する)にはどうしたらよいか。自動車と同じ感覚でいえばラダーを捻ればいいのではないかと思うだろう。たしかにラダーを左に捻れば機首は左に振られる。だが機首は左に振られるものの機体はそのまま横滑りするばかりで,進行方向は思ったように変わってくれないのだ。そのまま辛抱強く待っていれば横滑りしながらも少しづつ進行方向も左に逸れていくが,正しい旋回の仕方は次の通り。

1)まずスティックを倒して(エルロンを使って)機体をバンクさせる

2)次にバンク角を一定に保ったままスティックを引いて(エレベーターを使って)機首を引き起こす

 といっても機体は斜めに傾いているので,機首も傾いた方向に引っ張られる。これによって機体の進行方向が変わるのである。緩い旋回ならバンク角も浅くしてスティックを引く量も少なめに,急旋回ならバンク角を深くしてスティックも激しく引く。空中戦などで最も激しく急旋回を行う時はバンク角は90度になる。これを垂直旋回という。

 できるだけ初心者にもわかりやすく説明したつもりだが,パイロットハンドブック(European Air War完全日本語版のマニュアル)を持っている諸君は,130ページからを参照するとさらに理解の助けになるだろう。


■旋回の様子■ << Click HERE!!

※1回めは読み込みでコマ送りになりますが,ご了承ください。一度読み込みが終了すればキチンと動きます




4. 気をつけろ! 飛行中の落とし穴 (スピン/オーバーヒート)

 最後に,パイロットが空中で陥りやすい落とし穴について触れておこう。


[スピン/spin]

 失速は速度が低下すると起きることは前に述べた通りだが,これ以外にも失速する場合がある。それはスティックを急激に引きすぎて迎角(進行方向と機体の向きのズレ。Angle Of Atackともいう)が大きくなり過ぎ,主翼から気流が剥がれてしまうケースだ。
 原因はスティックを強く引きすぎるためであり,第0回で「アナログ入力デバイスが必須」といった理由もここにある。急旋回するためにはスティックを強く引かなくてはならないのだが,強く引きすぎてもダメで,失速する手前でとめておかなくてはならないのだ。
 スティックを強く引きすぎて失速してしまった場合,そのままスピンというさらに困った現象に陥ることが多い。これは左右の主翼の片側だけ気流が剥がれ,もう片方は揚力を発生しているためにいつまでも機体がくるくる回りながらコントロール不能な状態が続く現象だ。日本語では片翼失速という。スピンからの回復手順は次の通り。

1)スロットルを絞る

2)スピンを止めるために回転方向とは反対にフルラダーをあてる

3)速度を回復するためにスティックを奥に押しこむ

 スピンに陥ったらこの手順をすばやく行う。そして速度が上がってきたことを確かめつつ,ゆっくりスティックを引いて水平飛行に戻る。ここで慌ててスティックを強く引きすぎれば再びスピンに入る。十分な高度があれば慌てる必要はない。低空でスピンした場合は引き起こしが間に合わずそのまま墜落する怖れがあるので,スピンに陥らないよう失速させない操縦を心がけること。


[オーバーヒート/overheat]

 European Air Warでは,戦闘機は長時間フルスロットルで飛び続けるとエンジンがオーバーヒートする。したがって巡航中は少し絞り気味のスロットルで飛び,フルスロットルは空戦のときに備えてとっておく。また,空戦中でも余裕のあるときはマメにエンジン温度をチェックし,レッドゾーンに入りそうなときは戦場から離脱することも必要だ。
 いったん上がったエンジン温度は回転を下げて飛んでいるうちにまた下がってくるが,レッドゾーンに突入してもフルスロットルを続けているとエンジンが壊れてしまう。敵地の上空でエンジンが壊れれば帰投できなくなるので,エンジン温度は重要チェック項目だ。

 以上二つの現象は,フライトモデルの難易度設定を「リアル」にしていなければ起こらない。だが,なぜこういった現象が起こるのか,どう対処すれば良いのかが分かってしまえば怖れる必要はない。すべての設定をオンにして,ぜひリアルなフライトモデルで飛んでほしい。それでこそ,家庭用ゲーム機とは一味違う,「PCで大空を飛ぶ醍醐味」というものだ。


難易度設定画面 「EAWのフライトモデル難易度設定画面」




次回はいよいよマヌーバー(機動)を勉強するぞ。ぐっと実戦っぽい内容になるので期待していてくれたまえ。
では,今回はこれにて解散!


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