タイトル
ジャンル
開発元
販売元
実勢価格
発売日
ShellShock:Nam '67(北米版)
:アクション(FPS)
:Guerrilla
Eidos Interactive
:6800円(税込)
:2004年9月14日(PC版同時発売)
※日本国内では未発売
※日本語版Xboxで動作可


ベトナム帰還兵なみの精神的外傷を負っているGueedが今回出兵するのは,ベトナム戦争アクション「ShellShock:Nam '67」。これは昨今多数リリースされているベトナム戦争モノの中でも,ゲーム性ではなく「ベトナム戦争の悲壮さ」を一番のウリとした,かなり異色の作品である。寝ているときにAK-47の銃声を耳元で鳴らされると,狂ったような奇声を上げて跳ね起きるGueedは,果たしてこの「ShellShock:Nam '67」を無事にハンドリングすることができるのだろうか?

 冒頭からナニだが,「ShellShock」(シェルショック)などと,まったくもってけしからんタイトルのゲームである。シェルショックとは,戦闘などの極度のストレスにより,外傷性の精神神経症的や精神病的反応を起こす症状のこと。このタイトルの意味を知ってか知らずか,E3 2004で本作の記事を担当した当サイトの編集者が,記事中で「ショックショック,シェルショック!」とノリノリで書いたため,原稿が修正と血で真っ赤っ赤になったという逸話もある。世の中では,それぐらいのタブーな言葉なのである。
 しかもゲームは,エレクトロニック・アーツの「バトルフィールド ベトナム」や「ベトコン」,また「Men of Valor」(まだ出てないけど)などと同様,なぜかここ最近人気の,ベトナム戦争を題材としたもの。ちなみに筆者および本連載担当編集も大の「フルメタルジャケット」(注:ベトナム戦争映画,監督/スタンリー・キューブリック)好きで,日頃から「4Gamerのレナードはおまえだ!」「いいやアンタだ!」などと褒め称え合っている。食事の量,石鹸で叩いたときの手応え,そして腹の出具合などを考慮すると,どう見ても30前の某編集者のほうがよりレナードに近いわけだが,そんな幼児体系の某編集者が「今回はこれ書くブー」といって持ってきたのが,このベトナム戦争シューティング「ShellShock:Nam '67」だ。

ジャングルから草原までのあらゆるマップが舞台。キャラクターはスプリントが可能だが,全体的に動きにはもっさり感がある

 本作は,1967年のベトナムを舞台に,プレイヤーが新兵として戦争の真っ只中へと繰り出すアクションシューティング。1967年といえば,アメリカが50万もの追加兵士を本土へ送り込み,ベトナム戦争がゴンッと激化した年である。「フルメタルジャケット」が描いたのも,まさに'67年となっていて,人間が理性を捨てて兵器へと変貌していく様子を描くには絶好の年なのだ。
 FPSという記述を避けている通り,本作は基本的に三人称視点のみ。一応,キー操作でアイアンサイトを使う視点にもできる。
 ゲームの進行は完全なミッション遂行型となっており,銃撃戦とオブジェクティブの達成を交互に行うという,極めてオーソドックスな作りだ。オブジェクティブは敵兵士の排除から,トンネルの爆破,また細かいところでは,本作の特徴ともいえるブービートラップの解除などが挙げられる。

 ブービートラップは,とくにジャングルを始めとして,いたるところに配置されている。
 ベトナム戦争時に使用されたブービートラップは実に多彩で,スパイク・ボードやスパイク・ピット(共に鋭利なものを取り付けた板,落とし穴),ワイヤーを使った引っ掛け式の手榴弾などは有名。ベトナム上陸直後のアメリカ軍死者の6割強が,なんらかのトラップによるものというから,そのシンプルな威力は想像を絶する。
 本作でも多くのブービートラップが登場し,ルーキーである主人公(プレイヤー)は,ことあるごとに「ちょっとオマエこっちこっち」と呼ばれ,危険なトラップの解除を強制させられる。


低スペックのPCで動作させた時のように余計なジャギーがないため,全体的にボヤッと美しい本作のグラフィックス。鬱蒼としげるジャングルの描写もまずまずだ

死体多すぎ。ゴム人形みたい

 このトラップ解除,通常のゲーム(ってなんだ?)なら"アクションボタン"という,なぜか万能なボタンを長押ししていれば,プログレスバーが出てめでたく解除,という流れになるのが常道。だが本作では,トラップの解除を始めた瞬間,画面下部に→(矢印)で表された"解除方法"が表示され,パッド左側の十字キーで「上右,右上右右,あっ! いやっうそごめんっ!」と,コマンド入力をしてやる必要があるのだ。
 もちろん失敗すれば爆風などを受けるし,そもそもトラップ解除がオブジェクティブに組み込まれているため,キチンとこなさないとミッションが先へ進まない。これはなかなかに緊張感があるではないか。そういえば「Thief:Deadly Shadows」でも,鍵穴にロックピックをカチャカチャと差し込んでこねくり回すという演出があったが,このアクションはぜひほかのタイトルでも採用してほしい感じ。だって,シングルプレイのオブジェクティブって,なんかほとんど簡単過ぎるんだもの。

 さて,そんなこんなで無理矢理端的に褒めてみたが,ゲーム全体を見渡すとちょっとオーソドックス過ぎるかな? という印象。シューティングフェーズは,ひたすら敵の銃を拾いながらベトコンを倒すだけだし,ビジュアル込みで爽快感も薄め。死体の腕がことごとくもげていたり血が大量に出たり,薬や女性の裸の写真が出たりと,ゴア表現とエログロで戦争の悲惨さを垣間見せることに注力し過ぎたみたいだ。いや,でもこれだけベトコンを躊躇なく倒しまくれるゲームは稀か? ゲームでこれほど多くのベトナム兵士を倒したのは始めてかも。

 ゲーム中の音楽は,「バトルフィールド ベトナム」などと同じく,’60年代のノリノリなミュージックが使用されている。ベトナム戦争ファンとしては「べーべーべー べべーべー」(注:「Surfin' Bird」です)なんかを聞きつつプレイしたい感じだが,本作でも,ベースキャンプやミッション間にいくつか小気味良いBGMが収録されているので,ベトナム戦争初心者(?)などは,入門編として雰囲気を得るのにピッタリかもしれない。

とりあえず3パターンのブービートラップをば。真ん中の人は,先陣を切ってまず最初にトラップにひっかかり,お手本を見せてくれる。画面右の下部には,例の"トラップ解除法"が見える

ナパーム爆撃や銃撃でベトナム兵はコロコロと死んでいく。血が出ていたり出ていなかったりと,ゴア表現が中途半端なのはなぜだろう? 手や足はちゃんともげるみたいだけど

ミッション開始前のベースキャンプでは,RPGのようにNPCに話しかけたり歩き回ったりできる。……が,ほとんど意味はない様子

のどかなベトナムの農村地帯へ進軍したら,まずは村中を捜索する。藁の山を爆破してみると,跡から多数の武器が……。ロケット砲なんかもあるので,キチンと入手して自らの兵器とするべし

ネタばれになるのもアレなので,おまけ的に少しだけ挿入ムービーをば

(C)2004 Eidos. Developed by Guerrilla BV. Published by Eidos, Inc. ShellShock, ShellShock: Nam '67, the ShellShock logo, Eidos and the Eidos logo are trademarks of the Eidos Group of Companies. Guerrilla and the Guerrilla logo are trademarks of Guerrilla BV. All Rights Reserved.

■■Gueed(4Gamer編集部)■■
「プラトーン」でいうなら,ケビン・ディロンに銃のストックで頭を割られるベトナム少年のキャラに近い彼は,最近彼女にフラれたらしい。「フラれたから仕事できない」が本気で通用するものだと思っていたらしく,4GamerのプロデューサーであるKazuhisaに何度も訴え出ていた。

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