タイトル
ジャンル
開発元
販売元
標準価格
発売日
Catwoman(アジア版)
:アクション
Electronic Arts
Electronic Arts
:5800円(税込)
:2004年7月20日(PC版同時発売)
※日本国内では未発売
※日本語版Xboxで動作可


「この連載のために買ったギャグボールを,ようやく咥える日が来た」と,「Catwoman」を誰よりも待ち望んでいた男ことGueedは語る。ハリウッド一の女王様はハル・ベリーかルーシー・リュー(映画「ペイバック」参照)かと,来る日も来る日も自問自答してきた彼は,ついに今回,答えを得たようだ。試写会でいち早く「Catwoman」を観て,「それでもハル・ベリーだから許す」という結論に達した彼は,ゲーム版「Catwoman」をも許すことができるのだろうか?


 キャットウーマンといえば,皆さんご存知の通り,アメリカンコミックを原作とし,何度か映画化もされているヒーロー活劇「バットマン」のサブキャラクターだ。1992年公開の映画「バットマン リターンズ」では,猫霊に憑依されたかのようなこのキャラを,黒ボンテージのミシェル・ファイファーが見事に怪演していた。シリアスなバックグラウンドを持ちながらも,お色気とサドっ気で主人公をキリキリ舞いさせるという,峰富士子のような立ち振る舞いで,そのスジでは結構な人気のコスプレ女性である。
 そんなキャットウーマン自身の生い立ちにスポットを当てた作品が,この秋日本でも公開予定の映画「Catwoman」。主演は,「チョコレート」で黒人女性初のアカデミー最優秀主演女優賞を獲得しつつ,「X-MEN」シリーズでは白髪のカツラをかぶって白目を剥き,さらにその目から煌々とビームを照射していた,オスカー女優のハル・ベリーだ。日本だと「007/ダイ・アナザー・デイ」辺りでにわかに脚光を浴びた感じだろうか。とにかく,混血系特有のエキゾチックな美しい容姿の女優さんである。
 ハル・ベリー,猫,ボンテージと聞いて,世の男性が黙っているわけがない。もちろんハル・ベラーを自認する筆者も,ボンテージに身を包み,ギャグボールを噛み締めてヨダレをダラダラ垂らしながら試写に望んだわけだが――。
 ……さすがにこれ以上書くとネタバレも甚だしいし,文体も下品になって編集長の怒髪が天を貫く可能性が高いので,2004年7月20日に発売されたXbox用ソフト「Catwoman」を紹介しよう。すみませんでした,ここからがゲームの話です。

おお,映画の看板といっしょだハル・ベリー。三白眼に厚いクチビル……。ミシェル・ファイファーとまったく共通点がない辺りに,開き直りを感じる

 この夏,PCのほか各種コンシューマプラットフォーム向けに発売された「Catwoman」は,前述の映画を基にしたアクション作品。Electronic Artsとワーナー・ブラザーズ・インタラクティブ・エンタテインメント提携第一弾のタイトルだ。
 映画とのコラボレート作品といえば,本連載の第3回でも紹介したキルスティン・ダンスト,もとい「Spider-man 2」などが有名だが,「Catwoman」はコラボレートというより,純粋に"映画のゲーム版"といった雰囲気。主人公ペイシェンス・フィリップスの恋人トム・ローンが,黒髪から金髪へ変わったりと不思議なマイナーチェンジはあるものの,登場人物,ストーリー,さらにはカット割りまでかなり映画を意識して制作されている。
 ちなみにこのソフト,日本でもエレクトロニック・アーツより「キャットウーマン」として発売が予定されていたが,8月の初旬になって急遽発売が中止されるという残念な経歴を持つ。つい「担当の人,もしかして映画観ちゃったのかしら」なんてことが脳裏をよぎったが,そんなことは口が裂けても言えない。黙っておこう。

 さて,本作のゲームプレイは,キャットウーマンの肢体をいかに美しく見せるか? という真の目的を顕わにしつつ,「Prince of Persia - The Sands of Time」のように,マップ上のオブジェクトを駆使した爽快系のアクロバティックなアクションを楽しめる作り。
 キャラクターの移動は四つん這いの猫スタイルで,鋭い爪を使った壁昇りを基本に,大車輪を極めながら鉄棒を次々と渡っていく,またキャラクターを挟む壁を連続で蹴り上がり,より高い位置へと自らを運ぶという定番のアクションが楽しめる。
 もちろんキャットウーマンの象徴でもあり,"ムチ"も使用可能だ。使用用途は広く,敵をピシピシとぶったり,ムチ先を目標にクルっと巻きつけて,海腹川背の要領でブラーンと移動することもできる。関係ないが,彼女が駆使するのは一本ムチで,これがバラムチでない辺りが,女王様と彼女を見分けるコツとなっている(うそ)。

さすがにムービーシーンは多め。しかも画面を見て分かるとおり,映画と同じシチュエーションやカット割りが多い。上段右側は,社長に叱られている普段のペイシェンス。そ,そっくり!?

 アクロバットアクションと戦闘の比率は7:3ぐらいだろうか。プレイの大半は,Yキーで発動するCat Sense(次に向かうべき場所が,かわいい猫の足跡で示される)で昇れる壁を探したり,アスレチックライクな鉄棒や金網にコツコツと立ち向かうことになる。
 戦闘は基本的に,"攻撃を出せばとりあえずは当たる"というライトな感覚で楽しめ,敵を"倒す"というより,敵を弾き飛ばしてゴミ箱に押し込んだり,いかにも"収納してください"と待ち構えるロッカーに追いやったりするといった具合。そういえば,同じ女傑系お色気ヴァンパイアアクション「BloodRayne2」にも,似たようなアクションがあった。
 またいかに多彩なアクションを駆使したか,またどういった攻撃方法で敵を倒したかなどで,クリア後にスコアが表示され,各ミッションの終了時にムチの新たな使用方法(例:敵の首を絞める)や,遠距離攻撃,また第二のCat Senseといった特殊能力を習得することができる。攻撃はともあれゲームの難度はやや高めに設定されている点を踏まえると,割とやり込みプレイヤー好みのタイトルかもしれない。

 さて肝心なのが,ゲームの大半を占めるであろう,そのアクション部分だ。
 このアクション,確かに連続でピョンピョンとマップ上のトリックを使いこなせると爽快極まりないのだが,逆に,いつまで経っても決められないとき(これがかなり多いのだ)は不快極まりない。というか,ストレスが半端じゃない。
 一番のネックはカメラワーク。このカメラがかなりランダムに位置を変えるため,キャラクターの位置や向きが非常に分かりづらい。それだけならまだいいが,キャラクターが小さな足場にいるときなど,次にどの方向へ移動すればいいのか分からないのだ。後ろは壁? それとも落とし穴? といった具合。移動にはアナログスティックを使用するし,そもそもスティックをどちらに倒せばどちらに移動するのか分からない。これにはかなり,まいった。
 ムチでオブジェクトにタッチしなければならないマップでは,方向が定まらず,一人で壁をピシピシ叩き続けるなんてこともあった。……わしゃアホかい。買ったばかりでなければ,間違いなく我がXboxコントローラはキズものになっていたハズだ。ケチでよかった。

 そんな苦しい思いをしながらもダラダラとプレイしてしまうのは,やはりハル・ベラーの悲しさか。ゲーム中,しばらくコントローラを放すと,カメラが彼女を舐めるように映し出し,彼女自身もカメラ目線でポーズをとり始める。しかもそのパターンは数種類。不思議なこだわりだが,自分(ソフト)のウリをよく分かってらっしゃる。
 本作は映画の公開も間近。上映が終わり,筆者が「なんじゃこりゃあ!」と松田優作ばりに叫んだという記憶も無きにしもあらずだが,とにかく過剰な期待をせずに軽い気持ちで観てみてはいかがだろうか。って,なんの紹介記事なんだろう。

Prince of Persiaライクなアクロバットが本作のウリ。壁をよじ登る時には,誰も見てないのにおしりをふりふりしてくれる。動画で見せられないのが残念

戦闘が割と淡白なのが,ちょっと残念なところではある。ちなみにキャットウーマンが使う体術は,ブラジルのカポエイラをベースとしている。非常に足クセが悪い

クリア後には,オブジェクティブの達成状況に応じて,新たなスキルが習得可能だ。画面右は,Yキーで発動するCat Sense。次に行くべき場所や触れるべきオブジェクトを教えてくれる

しばらくなにもボタンを押さないと,キャラクターの肢体をべろりと舐め回すカメラアングルに移行する。ほ,ほかに作り込むところがあるんじゃないでしょうかと真顔になって思った

ストーリーを進めつつ,キチンとキーアイテムを獲得していくと,徐々に映画のコンセプトアートなどの特典がアンロックされる。最近お馴染みの手法だが,映画好きは結構嬉しいかも

CATWOMAN Interactive Game (c)2004 Electronic Arts Inc. All rights reserved. Certain audio visual images (c)2004 DC Comics. Electronic Arts, EA, EA GAMES and the EA GAMES logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc.in the U.S. and/or other countries.

■■Gueed(4Gamer編集部)■■
FilePlanetにて公開中の「Tribes:Vengeance」β版をダウンロードして編集部のTAITAI達と遊んでみたところ,大ハマリ。「こりゃあ面白い」ということになって,さっそくTRIBEを結成することに。タレットなどをせっせと設置する作業が気に入ったらしい。

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