ラスベガスに世界一のカジノリゾートを作れ！ ベガス タイクーン 日本語版 Text by UHAUHA 7th Jul. 2004

エンターテイメント王国ラスベガスに殴り込みだ！

メインとなるホテルとカジノのほかにも，絶叫マシンなどのアトラクション，映画館やプールなど娯楽施設，そしてショッピングモールなどを用意して世界一のカジノリゾートを作るのだ

　砂漠のど真ん中にありながら，世界中から多くの観光客が訪れる街「ラスベガス」。ラスベガスと聞くと真っ先にギャンブルを連想するが，実際はカジノを中心にさまざまな娯楽が集結した，総合エンターテイメントの街なのだ。そのラスベガスで，経営側としてさまざまなアトラクションを盛り込んだ"世界最高のカジノリゾートを作る"ことに挑戦するのが，メディアクエストが放つ箱庭系経営シム「ベガス タイクーン 日本語版」だ。
　タイトル通りラスベガスが舞台となり，実在するホテルやカジノこそ登場しないものの，ラスベガス・ブルーバード（中央通り）を中心にデザートイン・ロード，サーカス・サーカス・ドライブ，フラミンゴ・ロードなど，実際の通りや地区が登場する。

　メインのゲームモードが"キャンペーンモード"で，ライバルを相手に10種類のシナリオに挑戦し，世界中が度肝を抜くカジノリゾートを築き上げる。最初の二つはチュートリアルとなっており，順番にクリアしていくことで次のシナリオへと進む。シナリオごとに"ホテル（大）を建てろ" "3日以内にライバルより先に＄4000を稼げ"などの目標があり，一つの目標を達成すると新たな目標が提示され，クリア条件となる目標をすべて達成すればクリアとなる。クリア条件以外にも"VIPを満足させろ" "カジノ調査員が来る"といったイベント的な目標も発生するため，ライバルの動向を気にしつつ，目標達成に向けてカジノリゾート経営に励むのだ。
　または12マップの中から好きなものを選び，資金，登場客数，イベント，災害などの条件を細かく調節して，自由気ままにカジノリゾート経営を楽める"フリープレイ"もある。こちらはノンビリとプレイするには最適だ。

スロットマシンとは違い，ポーカーやバックギャモンで確実な利益を出すには腕の立つディーラーを雇うことも大切だ	娯楽はカジノだけではない。ディスコや絶叫マシンなどを設置すれば，外を歩く通行人の注目を集められるだろう	客層によって多数のキャラクターが用意されているが，遊技台の設定次第でこんな偏った光景も。ちょっと気味が悪い

キャンペーンモードでは1シナリオ内に複数の目標が設定される。すべて日本語化されており，英語が苦手な人も安心だ	イベント的に発生する目標は，失敗してもゲーム進行に影響はない。目標画面では各目標の達成進行度が把握できる	好きな地区を選んでプレイできるフリープレイ。地区によって特徴があるので，それを考慮しつつ進めていきたい

限られたスペースに娯楽施設をどう詰め込むかがカギ

ライバルのカジノに入ることもできる。レイアウトなど参考にしよう。お客の視点での移動も可能だ

　ゲーム内のラスベガスでは，リッチな時間を満喫しようと5000人以上ものお客が街の中をウロウロしている。この手のゲームではお馴染みとなった，要望や満足度を示すバブルアイコンを一人一人が頭上に乗せて行き来している。街の様子を見ているだけでも圧巻だが，この連中をいかに自分のカジノリゾートへ引き込むかが本作のポイントだ。
　それぞれに観光客，家族連れ，ビジネスマン，ギャンブラー，VIPなど"客層"という属性が設定されており，客層ごとに欲求や楽しみ方，懐具合などに違いがある。家族連れで子供がいればアトラクションに惹かれるし，また気軽に入れそうな小さいカジノを好む。逆にVIPであれば値段の高いホテルに泊まり，大きなカジノで掛け金の高い遊技台を好む。こんな具合に，客層により嗜好は千差万別，どの客層を狙ったカジノリゾートにするかで，経営方針も変わってくるのだ。

　カジノリゾートとカジノ内部は，ミニチュアをレイアウトしていく感覚で簡単に設計できる。配置自体は簡単だが，お客の流れを考慮しつつ，限られたスペースにさまざまなアイテムを設置しなければならないため，レイアウトは意外と奥が深い。
　カジノリゾートを作るには，開発区画となるロット（土地）を購入し，その中にホテル，カジノ，ショップ，アトラクションなどを建てていく。ロットごとに10種類の"テーマ"を選択可能で，テーマによって建物のデザインなどが変わる。ロットを購入したら建物を建てていくわけだが，最初からすべての建物が建てられるわけではなく，あらかじめ別の建物やアップグレードなどの条件を揃える必要があるものも多い。例えば土産物を取り扱うスーベニア・ショップは，先にヘッドオフィスを建ててリテール（販売）部門のアップグレードを行わないと建てられない。
　また建物は時間とともに損傷してくるため，ビル保守スタッフ詰所や電気保安技師詰所を設置し，スタッフを雇ってメンテナンスしなければ機能が停止してしまう。ほかにも悪臭や騒音の出る建物などは，芝生や池，銅像など美観を高めるアイテムでごまかしたり，ほかの建物とは離れた位置に建てるなど，客が気持ち良く滞在できるよう気を遣わねばならないのだ。

　売り上げのメインとなるカジノは，遊技台の設置以外にも内装，フロアレイアウト，照明などまでプレイヤーが手がける。カジノには大中小の建物があり，その中にさまざまなアイテムを配置していく。フロアには段差をつけられるので，騒音や悪臭を遮断するのに利用するだけでなく，コンパートメントとして使うのもいいだろう。また遊技台はコインがいっぱいになると停止してしまうため，コインを回収するキャッシャー・アシスタント，不正行為で稼ごうという不届き者を取り締まるための警備員，カジノを清潔に保つ清掃員を雇うことも必要だろう。休みたい，何か食べたい，飲みたいというお客のためにベンチを置いたり，ビュッフェやバーを設置して，多くのお客が楽しめるカジノに仕上げたいところだ。

打ち上げられる花火は大人の時間の合図？　夕暮れ時になると人の流れも一段と激しさを増す。ここからが稼ぎ時だ	大勢の人が行き来するため，どの客層がどれだけいるのか判断し難い。そんなときはフィルター機能を使うと便利	白い枠で囲まれている土地が購入可能なロット。限られたスペースを駆使して充実したカジノリゾートを作り上げるのだ

チュートリアルで何も考えずに作った，ひっそり閑散としたカジノ。……これでは儲けられるはずもない	同じスペース（左側参照）でも，作り方次第ではまったく違った内容のカジノになる。センスが問われるところ	来客数が増えると，不正行為を行うヤカラも出てくる。不正を取り締まるためには警備員の雇用も欠かせない

楽しめないカジノリゾートの評判は口コミで広がる

お客に気持ち良く遊んでもらうためには，飲み物を運ぶウエイトレスや清掃員なども必要不可欠だ

　お客にしてみれば，一攫千金を夢見てカジノを訪れるわけだ。しかし金を吸い取られるだけで一銭も戻ってこない（勝てない）カジノはどうだろうか？　お客に金を注ぎ込んでもらうには，ある程度は勝たせて楽しませることも必要だ。遊技台ごとにベットレート（賭け金）とハウスエッジ（控除率）を設定できるので，単純に掛け金を上げることで稼ぐか，お客の儲け率を上げて（つまり控除率を下げて）長時間カジノで遊んでもらうなどのバランスを取る。お客にディナーや宿泊券を配るなどの優待サービスや，ホスト/ホステスを雇って特別なサービスをすれば，カジノ側の儲けが大きくても遊んでくれるだろう。

　とにかく，お客が不満を持ったままカジノリゾートを後にするのは最小限にしたい。というのも，カジノリゾートには"評判"というパラメータがあり，最初は大繁盛に見えるカジノでも，評判が悪いと目に見えて来場者数が減ってくるのだ。評判は「あそこは面白くない」など口コミで広がってゆき，その影響で客足はどんどん鈍る。評判を落とすのは簡単だが，上げるのは難しいのは現実と同様。そうならないためには，お客のバブルマークを見るだけでなく，情報ウィンドウを開いてお客の気持ちを詳細にチェックし，不満な部分を解消していかなければならない。経営者としての力量が試されるところだ。

　実際にプレイしてみると，最初は失敗ばかりで難度が高く感じられるが，コツをつかむと"一応"軌道に乗せることができるはずだ。そこから先は試行錯誤の連続になるが，簡単に事が進んでも面白くない。正直，良かれと思って設計したカジノリゾートなのにお客がパラパラとしか入ってこないうえに不満ばかりだったりするとヘコむのだが，何度も失敗して「次はこうしてみよう」なんてのを繰り返す，思惑通りにはいかないアンバランスさも面白みの一つだろう。思惑通りに事が進み，お客たちがゾロゾロと自分のカジノリゾートに足を踏み入れて楽しんでいる姿を見たときには，経営者として大きな喜びを味わえるはずだ。経営シムの腕に自信のある人は，ぜひプレイしてみてほしい。

遊技台の設定次第で，どの客層を引き寄せるかが分かれる。どうやらこのルーレットは女性に人気があるらしい	フロアに段差をつけて，賑やかなスロットマシンと静かに遊びたいテーブルゲームを分けるのも効果がある	フィルター機能を使って評判を確認する。こうして見るとカジノ（大）とショップの評判が悪い。すぐに対処しよう

ライバルはカジノで稼がずにアトラクションで収益を得ているようだ。自分でもフリープレイで挑戦してみたい	財務情報を見ると金の動きがよく分かる……大赤字。電気と水道は私設でまかなえば少しだけ浮くかもしれない	突発的に発生するイベント的な目標は，成功すれば報酬を得られることが多い。余裕があれば挑戦してみるといいだろう

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