ミニスケープ 4Gamer.net Review
 
一風変わった箱庭シミュレーション"スペースコロニー"
スペースコロニー 日本語版
Text by UHAUHA
18th Jun. 2004


豊富なシナリオがやる気にさせる惑星開拓RTS

大中小のバイオドームをつなげてコロニーを広げ,コロニストの生活/仕事環境を向上すべくアイテムを置いていく。コロニーが小さいうちは簡単だが,拡張していくにつれプレイヤーの仕事量は増えていくのだ

 22世紀半ば,人類は資源の渇枯した地球を離れ,ほかの惑星への移住を進めていた……。メディアクエストから発売中の「スペースコロニー 日本語版」は,個性豊かなキャラクター(コロニスト)達を操り,惑星の開拓などを行っていくRTS風箱庭ゲーム。プレイヤーはわがままなコロニスト達の要求に応えつつ,彼らの生活スペースであるコロニーを拡張し,そのコロニー内に数々のアイテム(設備)を設置して生活環境を整えていく。さらには資源の採掘や観光客の集客も行って利益を上げつつ,ときに襲来するエイリアンを相手に戦う……。
 これらすべてがリアルタイムで進行するスペースコロニーは,よく言われるように「スタートピア」と「シムピープル」を融合させたという表現がピッタリのゲームだ。

 収録されたゲームモードは,ブラックウォーターインダストリーズ社で働く主人公ヴィーナスと仲間のコロニスト達の惑星開拓物語"スペースコロニーキャンペーン",惑星ごとに用意されたシナリオ(スペースコロニーキャンペーンとは異なる)を選択してプレイする"ギャラクシーモード",更地から惑星を開拓して自由気ままにコロニー建設を楽しめる"サンドボックスモード"の三つ。またエディット機能もあり,オリジナルの惑星(マップ)を作ってプレイできる。
 スペースコロニーキャンペーンとギャラクシーモードには「コロニー内の環境を向上させよ」「特定のコロニスト達を親友にせよ」「精密電子部品を作り販売せよ」など,数多くのシナリオが用意されている。ただしゲームオーバーになる条件はどのシナリオもほぼ同じで,"制限時間を超える" "主人公のヴィーナスが死亡する" "コロニスト全員が死亡する" "基地のメインブリッジが破壊される"などすれば,そのシナリオは強制終了となる。

 さてプレイヤーが行うべきことは先述した通りたくさんあるが,まぁ突き詰めていえば,常に"良いコロニーを作る"ことが大目的といえる
 具体的には,最低限必要な設備である酸素,電気,医療のコントロール装置がある"ブリッジ"と,出入り口となる"シャトルポッド"を中心に,"バイオドーム"と呼ばれる生活スペースをつないでコロニーを拡張させ,中にはベッド,キャッシュディスペンサー,レストラン,シャワールーム,ディスコなど約30種類のアイテムを購入して設置していく。
 またゆくゆくは,観光客を呼び込むためのホテルや遊園地,ゴルフコースなどや,攻撃性のあるエイリアン対策のための自動レーザーや防御フィールドなどの設置も必要になってくる。資金内でさまざまなアイテムを組み合わせていくわけだが,途中で「失敗した!」と気づいても大丈夫。等価で"売却"できるので,自由に再配置できるのが嬉しいところ。

スペースコロニーキャンペーンでは,前ミッションの状態が引き継がれてゲームがスタートする 自由にコロニー建設を楽しめるサンドボックスモードは,ブリッジのみの状態からコロニーを作り上げる メインパネルでは酸素と電力供給量,収支,資源量,コロニスト情報などを一括して見ることが可能


一筋縄にはいかない惑星開拓:コロニストをいかに操るかがポイント

アイテムや施設は分類されたアイコンより選択する。説明や効果なども表示されて非常に分かりやすい

 惑星には鉱物などから専用プラントを使って抽出できる基本食糧,シリコン,鉄,チタニウムなど10種類の資源があり,これらから食料や電力などコロニスト達の生活に必要なものを作り出せる。この資源は外部に売却して資金の足しにできるが,全部売っちゃうと生活できなくなるので,どの程度売却するかで頭を悩ませることになるだろう。
 また専用プラントでシリコン鉱石からシリコンを抽出し,さらにエレクトロニクス工場で精密電子部品に加工,それを電脳工学研究施設でイリジウム結晶と組み合わればアンドロイドになり,軍事工場でチタニウムと組み合わせれば軍事兵器になるなど,資源の抽出,加工,製造といったステップを踏んで新たなアイテムが生産される流れができているところも面白さの一つだ。

 資源を集め,コロニーを正常に機能させるには,惑星の開拓屋であるコロニスト達の力が必要だ。彼らをいかに上手に使えるかが大きなポイントとなる。オールマイティに仕事をこなすヴィーナス,情緒不安定でケンカの種のおばちゃんタミー,宇宙医療に長けているディーン,とある企業の女副社長で金にうるさいバーバラ,気が難しいデイジーなどなど,総勢20人のコロニストが登場する。
 酸素や電力の供給装置,コロニー内の清掃,資源の抽出装置など,"コロニーの機能"と呼べるものはコロニストによる操作が必要なものがほとんど。一人のコロニストには主任務と副任務の二つの仕事を割り振ることができ,主任務の仕事をほかのコロニストが行っている場合は,自動的に副任務の仕事を始める。なお彼らには電力供給,清掃,修理,鉱物資源の採掘,スペースチキンの飼育技術など19種類のスキルがあり,どのスキルを所持しているかにより担当できる仕事が決まってくる。スキルごとにランクがあり,ランクが高いほど効率良く仕事ができるわけだ(トレーニングによる強化が可能)。

 本作がユニークなのは,コロニスト間での親友(恋愛),友人,敵対といった人間関係が再現されていること。敵対している者同士が出会えば喧嘩になるし,近くにいるだけでも気分が悪化する。ただそんな二人も,会話させることで関係を改善できる。また「ディスコで踊ろう」「一緒にジャグジーに行こう」などとデートに誘えば,友人関係以上の仲にもなれる。
 ところで,何をするにも"タイミングが重要"というのも,ちょっと面白い。仕事でくたびれているときに会話をさせても面白い話ができなかったり,女性のほうから男性をデートに誘うとスンナリOKだったりと,このへんは実生活に似ているかも。

 コロニストがどういい状態にあるのかは,彼らの"幸福度"メーターを見れば把握できる。幸福度が高ければ彼らは一所懸命に仕事に励み,長時間働いてくれるのだ。幸福度は所得,娯楽,会話,食事,睡眠,環境衛生,医療のパラメータにより決定されるが,重視されるパラメータはコロニストごとに異なり,それが低いと幸福度は著しく下がってしまう。
 ゲーム中には「誰だい? こんなところに木を置いたのは……」「がんばろう!」など独り言や文句,友人同士の話し声などのさまざまな会話が日本語音声で聞こえてくるので,"彼らの声"にも耳を傾け,幸福度を高く維持するようにプレイヤーが気を遣ってやらなければコロニー拡張はままならないのだ。

コロニー内での人間関係には常に気を配り,幸福度を高く維持することがゲームのポイントだ

スキルは星の数が多いほど長けていることを表す。トレーニングにより取得したり,強化したりできる


独特の面白さがハマれる本作,やらなきゃ絶対に損だ

コロニー内にエイリアンが進入し,コロニストが格闘中。すでに施設の一部が破壊され空間ができている

 本作では,さまざまなアイテムを設置するだけでなく,それを操作するコロニスト達の人間関係や"やる気"さえも気にする必要があり,それが独特の面白さを醸し出している。コロニー内で活動するコロニストや機器などが細かくアニメーション処理されているので,それを眺めているだけでも楽しめるだろう。
 シナリオも豊富に揃っており,コロニストの相手をしつつ惑星開拓&コロニー建設をしていく本作は,箱庭ゲーム好きなら時間を忘れてプレイしてしまうことを約束しよう。

 


ライトにより照らし出した場所のみアイテムを設置可能。エイリアンの攻撃を受けてライトが破損することも 仕事中にキャンディーと会話を楽しむディーン(中央)。サボっているため医療関係の設備が機能していない

攻撃ロボット"ケルベロス"を使い宇宙蜂の巣を攻撃。大群で襲ってくる宇宙蜂は巣を叩くのが先決 テキスト,音声のすべてが日本語化されているため,英語が苦手でも安心してプレイできるのが嬉しい

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■メーカー:メディアクエスト
■問い合わせ先:ユーザーサポート TEL 0570-040-401(祝祭日を除く月〜金 10〜18時)
■価格:8379円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(PentiumIII/1.2GHz以上推奨),メモリ 128MB以上(Windows 2000/XPは256MB以上),空きHDD容量 850MB以上,メモリ16MB以上搭載したビデオカード(32MB以上推奨),DirectX 8.1以降
Screenshots集
ムービー(36秒:4.83MB)
体験版
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