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固有名詞を除いて,ほぼ完全に日本語化されているのはやはりプレイしやすさが違う |
前作「レイルロードタイクーンII」から待つこと5年,ついに「レイルロードタイクーンIII」(以下,RT3)が日本に上陸する。「II」は私も夢中でプレイした一人で,多種多様な貨物を運ぶパズル的な面白さと,需要/供給の仕組みや株式市場にみられる高度な経済シミュレーションとしての面白さに魅せられたものだった(ただ,一番印象深いのは,富田耕生氏のナレーションと,キャンペーン選択画面で背景のガラスを割って富田氏に「こら,やめろ!」と言わせる裏仕掛けだったりする)。
RT3は,19〜20世紀が舞台の鉄道会社経営シミュレーションだ。前作の魅力や雰囲気をそのまま残したうえで,グレードアップが図られているのが嬉しい。プレイヤーは鉄道会社の経営者となり,線路の敷設,列車の運行はもちろん,子会社の建設/買収などを行って利益をあげていく。
目的はミッションごとにさまざまなものが用意されていて,会社の利益や資本を一定の額までもっていくもの,個人資産を蓄積するもの,一定時間内に決まった貨物を目的地まで運搬するもの,などがある。マップは,キャンペーンと個別のシナリオを合わせて28個用意されており,マップに設定された目的を達成することを目指してプレイする通常のゲームモードに加えて,経済的な要素をすべて排除し,自由に線路を引き列車を走らせて遊ぶことのできる「サンドボックス」モードの2種類のモードでプレイすることが可能だ。ほかに,マップエディタとシナリオエディタが付属している。これらは直感的なインタフェースになっており,とても使いやすい。
GameSpyを利用した公式ロビーで最大4人でのマルチプレイも可能。だがマルチプレイは線路の引きなおしや建物の撤去がいっさいできないという制約がある。現状ではロビーのプレイヤー数も少ないので,おまけ程度に考えておいたほうがいいだろう。
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すべての物資の動きを視覚的に表示してみたもの。黒い長方形が物資を示す。かなりの物資が河川に沿って移動しているのが確認できる |
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フィールドが赤→緑の順に価格が高くなっていく。物資を安く買えるところで積み,高く売れるところで降ろすというのが基本的な戦略となる | 乗客は目的地へ向かう列車にしか乗らない。この画面を使えば,乗客をどこにどれだけ輸送できるのかが一目で分かる | こうして見ると,いかにロッキー山脈が難物かというのがよく分かる。この手強い山脈をどうやって越えるかは,プレイヤー次第だ |
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ライバル会社の動向にも注意。株式市場では熾烈な競争が繰り広げられる。隙あらば吸収合併もできる | 1865年に登場するコンソリデーション2-8-0。さまざまな用途に幅広く使える,実に頼れる機関車だ | 1962年登場の0系新幹線。日本の列車で唯一登場するので,こればかり使いたくなってしまう |
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マップエディタはとても使いやすく,思いのままにオリジナルのマップを作ることができるだろう |
グラフィックスは完全3Dになり,視覚的な楽しみは増した。マップを真上からも水平からも自由に眺められるし,ズームイン/アウトも自由でなめらかだ。指定した列車をカメラが追いかける視点があるのもいい。グラフィックスのクオリティは必ずしも最高レベルとはいえず,テクスチャも若干粗めだが,その代わりにゲームの動作は(フル3Dにしては)軽めで,操作感は快適なので個人的にはむしろ良しとしたい。
RT3を全体としてみると,完成度の高かった前作を基本として,グラフィックスを一新し,新要素をいくつか追加した作品という印象だ。新要素はすでに挙げたもののほかに,トンネルや立体交差が敷設可能になったことや,工場をプレイヤーが建設できるようになったこと,駅で列車に載せる貨物を自動で選ぶ(一番儲けが大きいものが選ばれる)機能が追加されたことなどがある。これらは無条件に素晴らしい。
気になる点を挙げるとすれば,物資をプレイヤーの思い通りに扱いづらい,という点。これは自動輸送システムによって物資が勝手に移動してしまうからというのがまず一つ。また,自動輸送のルートは,新しい駅や工場,都市の発展によりリアルタイムで変化していくので,よく観察していないと効果的な輸送は難しい。また,前作にあった貨物を駅で単に降ろすか/売却するかの区別がなくなってしまっているし,利益を生めない貨物は載せることができなくなってしまった。
ただし,これはゲームの力点が,輸送自体から経済シム的な観点へとシフトしている結果といえる。前作を知っている筆者としては歯がゆい思いもある一方,評価もしたい。
タイクーンと名のつくシミュレーションゲームの中で,レイルロードタイクーンシリーズは元祖であると同時に最高峰の地位にある。IIIがリリースされてもその地位にいささかの揺るぎはないと感じた。経営シムファンなら絶対にプレイすべき作品だ。
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