ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド

Text by UHAUHA
3rd Feb. 2004

 

■あの映画ワイルドスピードの世界を味わえるNFS最新作

夜の市街地で繰り広げられる熱いバトル。流れ去る夜の街並みの美しさは実写と見間違えんばかりだ
 PCドライブゲームを代表するソフトの一つ「ニード・フォー・スピード」(以下,NFS)。普通の生活をしていてはとても買えないポルシェ,ディアブロ,フェラーリなどスーパーカーもモデリングから挙動までリアルに再現し,溜息の出るグラフィックスの中,レースだけでなくパトカーとのカーチェイスまで楽しめる,ゲーム性を持った人気のドライブゲームだ。
 その最新作が,「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」(以下,NFS-UG)である。

 市街地の公道を我が物顔でぶっ飛ばす,単に速いだけじゃダメなのがNFS-UGの世界。車は派手にクールに決め,そのマシンを思い切り振り回す腕が必要。そのうえで速いヤツがもてはやされる世界なのだ。
 NFS-UGでクールなのは,最近日本でもはやっている"スポコンスタイル"(スポコン仕様)。スポコンといえば,国内外のスポコンスタイル火付け役でもある大ヒット映画「ワイルドスピード」「ワイルドスピードX2」があるが,NFS-UGのノリはワイスピそのものなのだ!



スタイルポイントが低いとロックされて使えないパーツが多い。右下にある星が評判で,下にある数字がスタイルポイントだ カスタマイズパーツはパーツごとに分類され,複数の中から選択する。装着状態が確認できるのが便利だ バイナルなど重ねて貼ることも可能。色を変えることもできるので,いろいろ試してみよう

■夜の市街地コースを舞台に繰り広げられるすべてのレースを制せ

ゲームモード"ドリフト"ではドリフトごとにポイントで評価され,総合得点の多いものが勝つ
 ゲームモードはメインの"アンダーグラウンド",レースを個別に楽しめる"クイックレース",ネット上で遊ぶ"プレイオンライン"の三つが用意されている。

 アンダーグラウンドはいわゆるキャリアモードで,市街地で開催される数多くのイベントに参加し,勝ち抜きながらカリスマレーサーのトップを目指す。最初はノーマルの小排気量の車でレースに参加し,レースに勝つことで手に入れた賞金"Bank"で愛車をカスタマイズしていくのだ。
 レースはすべて夜間の市街地コースで行われ,レースイベントごとにサーキット,スプリント,ラップノックアウト,ドラッグ,ドリフト,トーナメントで行われる。全部で111レースにもなるので,すべてのレースを制するには相当な努力が必要だ。とはいえ,各レース開始前にEasy,Normal,Hardと難度を選べるので,腕に自信のない人も安心。
 それでは,各レースがどんなものか簡単に列挙しておく。





サーキット
市街地に作られた周回コースで競う。レースイベントによってコースや周回数が違い,一般車も走っているため,敵車とのバトルに気を取られていると事故になることもシバシバ

スプリント
市街地の中を決められた順路でスタート地点からゴール地点までを走り抜く。単独走行で制限時間内に走破するタイムアタックレースもある。イベントによりコースは異なり,一般車は走っていないため自由なライン取りで攻められる

ラップノックアウト
サーキットと同様の周回コースで競うが,各ラップごとに最後尾が脱落していく。レース自体はサーキットと同様なのだが,最後尾は脱落というだけでプレッシャーが高い

ドラッグ
ストレートの一定区間をいかに速く走るかを競う。いわゆるゼロヨン。ただし一般車が走っているうえに分離帯などもあるので,ステアリング操作も必要だ。オートマチックを選択していても,ここでは必ずマニュアルシフトとなる。いかにパワーバンドでシフトアップできるかがキモ

ドリフト
狭い特設コースの中をドリフトさせて走り回る。ドリフトの出来映えでスタイルポイントが加算され,速度の乗った派手なドリフトほど多くのスタイルポイントが得られる。ドリフト中に壁に当ててしまうと,そのドリフトのスタイルポイントは加算されない

トーナメント
評判が上がってくると,たびたびトーナメントへの誘いを受ける。当然,すべてのレースで優勝すれば多くの賞金を得ることができ,特別なカスタマイズパーツをもらえることもある

フリー走行(クイックレースのみ)
バトルもタイムリミットもないドライブモード。ノンビリと市街地を流すもよし,ショートカットできる場所やライン取りの研究に使うもよし,一般車がいるので"かわす"練習に使うもよし,遊び方は自由だ

 クイックレースは,各レースモードを選択してプレイできるので,練習に最適だ。バトルもタイムリミットもないフリー走行もあるので,ノンビリと市街地を流したり,ショートカットやライン取りの練習をすることも可能だ。

 プレイオンラインは,EA GAMESオンラインサービスに接続して(EAのアカウントが必要),2〜4人でのマルチプレイが楽しめるモード(1.4.0パッチ「こちら」が必要)。
 ロビーサーバーでは,普通のチャットはもちろん,対戦相手を探して挑戦状を叩きつけることも可能だ。
 アンダーグラウンドモードで作り上げた車は持ち込めず,オンラインカーメニューから車を選んでプレイできる(カスタマイズは可能)。
 プレイヤーを熱くさせるのが,評価ポイント(REP)のトップ100のランキングと,今週のベストタイムが掲示されているところだろう。レースに勝つと評価ポイント(REP)が増え,負けると減る。これがランキングされ,単純だけど熱くなれるシステムとなっている。対戦相手のデータを見つつ,勝てそうな相手がいれば挑戦を申し込んでみよう。逆に挑戦を申し込まれることもあり,承諾すればレーススタートだ! またランキングに関係なくマルチプレイを楽しめるモードも用意されているので,気軽に遊びたいときも安心だ。

現在自分がどのくらいの位置にいるのか,ランキング画面で分かる。すべてのレースでトップを目指せ レース前にはどんなレースになるのか確認できる。設定した難易度によって賞金に違いがある

レース終了後にスタイルポイントの溜まり具合を確認できる。納得のいかない結果であれば,リトライするべし 所有できる車は1台のみ。ほかの車に乗り換えたい場合には,下取りに出して買い換える必要がある

■"魅せる車"にカスタマイズし,ギャラリーたちを唸らせるべし

工事中の橋をジャンプで通過したり,勾配によって跳ねてしまうことがある。着地に注意しよう
 NFS-UGに必要なのは,"速く" "美しく",そして"華麗な"ドライビング。それを満たすために愛車をカスタマイズする必要がある。

 ベースとなる車は国内外の実在する20台。車ごとに,駆動輪による挙動の違いや加速性,最高速,操作性に違いがある。
 チューニングパーツを使ってのパワーアップは可能だが,車高やギア比の調整など細かいセッティングはいっさいなく,上記三つの要素に影響が出るだけだ。
 カスタマイズパーツはボディを着飾るエアロパーツ,マフラーエンド形状,ボディとエンジンルーム内の塗装の選択,ネオン管,ヘッドライトやテールランプ形状,パーツメーカーのステッカー,バイナル,車をチューニングする足回りやECU(コンピュータ),軽量化,ニトロ搭載などなど多種多様。半端じゃない数のカスタマイズパーツが用意されている。
 それらを組み合わせて愛車をカスタマイズしていくのだが,選択したパーツは画面上で即座に装着状態を確認できるのも嬉しい。とくにスポコンスタイルの特徴でもあるバイナルは,サイドに貼る場合,4枚のレイヤーを使って重ねて貼ることや,1枚ごとに色を変えることもできるため,いろいろな組み合わせを試して悩んでいるだけで時間がどんどん過ぎてゆく。

 とはいっても,最初からすべてのパーツが使えるほど甘くない。最初は各パーツはロック状態にあり使用できないのだ。
 愛車のカスタマイズには,お金が必要なのはもちろんのこと,レースイベントに参加して"スタイルポイント"(Style Points)を溜めていく必要もある。ある程度のスタイルポイントが溜まるとロックが外れて,新しいパーツが使用できるのだ。
 スタイルポイントは,敵車の背後に付いたり(ドラフティング),ジャンプしたり,一般車をギリギリで交わしたり,派手にドリフトさせたりなど,いろいろなところで加算され,逆に壁や一般車に激突したりすると減点されていく。簡単にいえば,ギャラリーが沸くような熱い走りをすればいいわけだ。
 カスタマイズが進むと,「アイツの車はイカしてる」と"評判"(Reputation)が上がる。評判は5段階で星の数で表されて,その星の数はスタイルポイントのボーナス倍率になっている。つまり星が二つなら2倍,星が三つなら3倍と,より多くのスタイルポイントを稼げるのだ。

 レースの勝敗がゲームの流れに影響を与えるのが常だが,レース以前に車の見た目がゲームの流れに影響を及ぼすというドライブゲームがほかにあっただろうか。このあたりはNFS-UGにしかない大きな特徴だといえる。

スターターのお姉さんの一人。スタートラインへの誘導やスタートの合図など自然な動きが良い 同じホンダS2000だが,ボディ色のほかにリアウィングやテールランプなど違うカスタマイズが施されている 使用中のパーツメーカーのステッカーを並べることもできる。ちなみに誘導中のお姉さんは双子だ

■圧倒的なスピード感,非リアル上等,敵車とのバトルに酔いしれよ

ちょっと恥ずかしいバイナルで飾られているお姉さんのシビック。レースに勝てば使えるようになる……
 NFS-UGの最大の魅力は,今までのドライブゲームにはないほどの圧倒的なスピード感にある。これまでも200km/hや300km/hという異次元の速度を再現していたゲームはあったが,実際にその"スピード感を味わえる"ものは少なかったと思う。
 NFS-UGでは,モーション・ブラー表現により200km/hくらいになると遠方の風景がブレ出し,速度が上がるに連れてブレる範囲が広がってくる。さらにニトロを使って爆発的な加速状態になると画面一面が一気にブレて,従来のゲーム以上のスピード感を存分に味わうことができるのだ。
 普段運転している人なら経験しているであろう,目の前に車が飛び出してきたときに思わずフルブレーキしながら「ひぃ〜」とのけぞってしまう状況を,ゲームで味わうことになるとは想像できるだろうか……。
 ほかにも二つの柱の間を抜けるときなど,モーション・ブラーに加え周りを一瞬暗くするなど,さまざまな試みでスピード感を再現している。

 NFS-UGにはマシンダメージがないのも特徴的だ。どんな速度で壁に激突しようが,何もなかったようにレースに復帰できてしまう。
 また順位が上位の敵車は遅くなり,下位の敵車は速くなるというキャッチアップ機能があるため,大クラッシュしても諦める必要はない。あまり大きな差でなければ,頑張って走れば追いつく可能性が残されているのだ。
 逆に大きな差を付けてトップに立っていても,あっという間に追いつかれて後ろに張り付かれたなんてこともしばしば起こるので,常に真剣に走らなければならない。
 つまり,NFS-UGはリアルシミュレータではなく,いわゆるアーケードゲームとして作られているのだ。もしリアルシミュレータとして作っていたら,NFS-UGの面白さは半減……それ以下になっていたと筆者は感じた。なぜなら,NFS-UGの魅力である強烈なスピード感ゆえに大小問わずクラッシュは日常茶飯事。そのつど車が壊れ,その影響で加速しなかったり,曲がらなかったりしたら,上位を狙うのは不可能だ。敵車とのバトルなく最下位をトロトロ走るハメになる。
 しかし,ガツンとぶつけても,気合一発で再び追い抜き,「よっしゃ〜」とか思っていたら,次のコーナーで対向車とぶつかって天国から地獄……これはこれで楽しい。アーケードならではの気軽さで抜きつ抜かれつの熱いバトルが楽しめるのがNFS-UGなのだ。

 意外と知られていないバックミラーについても触れておこう。実は日本語マニュアルにも記述がなく,ゲーム中のメインオプションにも設定がないため,筆者も知人に教えてもらうまで気づかなかったのだが,バンパー視点でプレイする場合にバックミラーを表示させることができるのだ。
 常時後ろにいる敵車の動きを把握できるため,追い抜こうとしているところをブロックするということも可能になる。とくにラップノックアウトやドラッグでは勝率アップにつながるだろう。
 バックミラーは,ゲーム開始後にメニューを出し,グラフィックスオプションの中の設定で表示させられるので,ぜひ試してみてほしい。

ジャンプやクラッシュをするとゲーム中にも関わらずリプレイされる。オフにすることも可能だ 一般車も走っているため,真横から飛び出されることもある。スピード感が凄いので現実のような恐怖感がある 自分だけでなく敵車も一般車とぶつかったり,クラッシュしたりするため,諦めずに走ることが大事

ニトロを使って300km/hオーバーの世界。視界に入ったものは,あっという間に目の前に……すでに時遅し 壁にこするのは日常茶飯事だ。急な角度で当てると,スピンしたり弾かれて一般車にぶつかったりするので注意 チューニングパーツでエンジン強化中。Brand Packageが3種類用意されているが,メーカー名が違うだけで性能差はない

■悲嘆リプレイなし……その鬱憤はアドレナリン流出のレースで爆発させろ

<<登場車種一覧>>

Toyota Supra 1998Acura RSX Type-S 2003Honda S2000 2003Nissan Skyline R34 GT-R 1999Nissan Sentra SE-R Spec V 2004Dodge Neon 2-door 1999Peugeot 206 GTi/S16 2003Nissan 240SX SE 1992Nissan 350Z 2003Toyota Celica GT-S 2002Honda Civic Si Coupe 2000Mitsubishi Eclipse GSX 1999Ford Focus ZX3 2003Mazda RX-7 1995Volkswagen Golf GTI 2.0 2003Subaru Impreza 2.5 RS 2003Acura Integra Type-R 2001Mitsubishi Lancer 2.5 RS 2003Mazda Miata MX5 1999Hyundai Tiburon GT 2003

 個人的にどうしても許せないところが一つある。それは,自分の走りを振り返られるリプレイ機能がないことだ。ジャンプしたり,一般車と衝突したりすると,そのシーンが短いながらもリプレイのように再現されるのだが,求めているのはそんなんじゃない! 観たいのはレース終了後に再現される己の熱き走りなのだ。映画顔負けに高架の柱の間を縫って敵車とバトルしようが,スタイルポイントを上げるために対向車のギリギリを通り抜けたり,派手なドリフトを繰り返えそうが,その走りをプレイ後に楽しむことができないのは悲しすぎる。リプレイで観たらカッコ良いだろうなというシーンが多いゲームだけに,リプレイがないのは,ただただ残念。

 その一点さえ除けば,派手でカッコ良いマシンを作り上げる楽しさ,今までのドライブゲームでは味わうことのできなかったスピード感と恐怖感。突然現れる一般車を華麗にかわしたり,最後の最後でニトロを噴射させ相手の前に出てレースを制する爽快感,ドライブゲーム初心者にも分かりやすいゲームシステムなど,文句なしに筆者一押しのドライブゲームだ。
 セクシーな女性の合図でスタートし,ロック,ヒップホップ系のイカしたBGMをバックにマシンが加速していけばアドレナリン出まくり,誰でも一瞬でNFS-UGの世界に突入するだろう。
 一人でアンダーグラウンドモードを制するもよし,マルチプレイで世界中にいるストリートレーサーたちを相手にするもよし,自分の愛車をスポコンスタイルにしている人は当然のこと,車に興味のある人/ない人,ドライブゲームに興味のある人/ない人,……とにかく多くの人に一風変わったド派手,ド迫力,熱くなれるドライブゲームをプレイしてほしい。NFS-UGの虜になること間違いなしだ!

 実際,NFS-UGの面白さを言葉に表すのは難しい。これはもう,体験版「こちら」で味わってもらったほうが早いだろう。また「こちら」にゲームからの撮り下ろしムービーがあるので,興味のある人はぜひ観てほしい。少しでも惹かれるものがあれば,NFS-UGをプレイする価値はあると思う。


スポコン豆知識
スポコン
 スポコンとはアメリカで盛んに行われたスポーツコンパクトの略称で,シビックやインテグラなどホンダ車(Acura)を中心に,動力性能の強化,内外装のドレスアップなど,車をトータルカスタマイズすることを指す。
 派手なエアロに原色に近いボディ色,ネオン管を取り付けたり,バイナルで派手なパターンを貼り付けたりと見せ方はさまざま。見せる/魅せるという観点から,あえて遅いとされる車や不人気車を使ってカッコ良い化け物マシンに仕上げ,注目を浴びることもある。日本でもスポコン仕様がはやっており,専門誌まで出ている。
バイナル
 バイナルグラフィックスの略称。剥がしやすいビニール素材のシートでデザインを表す手法で,日本ではビニールグラフィックスとも呼ばれている。さまざまな基本デザインとなるものが存在するが,やはり個性的なオリジナルパターンが注目される。無地のシートにエアーブラシでデザインしたものを貼り付けたり,直接,ボディに塗装してしまう場合もある。
ネオン管
 スポコンでは定番のアンダーネオン。ボディ下部(前後左右)にネオン管を取り付け,車が浮き立つように光らせること。ネオン管を見えないように取り付けて光らせるのがポイントだ。STREET GLOW,EUROLITEのネオン管が定番。
ニトロ NOS - Nitrous Oxide System
 ニトロといってもニトログリセリンではなく,ナイトラス・オキサイド・ガス(N2O 亜酸化窒素)をインテークマニホールドに噴射し,ガソリンと燃焼させることにより,酸素を作り出して急激に燃焼させて馬力アップ(30〜50psほどアップとか)を図るシステム。NOS,NXシステムと呼ばれている。ボタンを押して必要なときのみ使用することができ,フルスロットル時に噴射させるのが基本。280km/hから300km/hオーバーを狙いたいときなどにポチッとする。
おんな(お姉ちゃん)
 スポコンの主役はド派手な車だが,セクシーなお姉ちゃんは必要不可欠。お姉ちゃんがいないとスポコンじゃない。NFS-UGでもセクシーなお姉ちゃんが多数登場する。無論,スターターもセクシーなお姉ちゃんだ(野郎も一人いるが……)。

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