ニード・フォー・スピード アンダーグラウンドText by UHAUHA
■あの映画ワイルドスピードの世界を味わえるNFS最新作
その最新作が,「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」(以下,NFS-UG)である。 市街地の公道を我が物顔でぶっ飛ばす,単に速いだけじゃダメなのがNFS-UGの世界。車は派手にクールに決め,そのマシンを思い切り振り回す腕が必要。そのうえで速いヤツがもてはやされる世界なのだ。 NFS-UGでクールなのは,最近日本でもはやっている"スポコンスタイル"(スポコン仕様)。スポコンといえば,国内外のスポコンスタイル火付け役でもある大ヒット映画「ワイルドスピード」「ワイルドスピードX2」があるが,NFS-UGのノリはワイスピそのものなのだ!
■夜の市街地コースを舞台に繰り広げられるすべてのレースを制せ
アンダーグラウンドはいわゆるキャリアモードで,市街地で開催される数多くのイベントに参加し,勝ち抜きながらカリスマレーサーのトップを目指す。最初はノーマルの小排気量の車でレースに参加し,レースに勝つことで手に入れた賞金"Bank"で愛車をカスタマイズしていくのだ。 レースはすべて夜間の市街地コースで行われ,レースイベントごとにサーキット,スプリント,ラップノックアウト,ドラッグ,ドリフト,トーナメントで行われる。全部で111レースにもなるので,すべてのレースを制するには相当な努力が必要だ。とはいえ,各レース開始前にEasy,Normal,Hardと難度を選べるので,腕に自信のない人も安心。 それでは,各レースがどんなものか簡単に列挙しておく。
クイックレースは,各レースモードを選択してプレイできるので,練習に最適だ。バトルもタイムリミットもないフリー走行もあるので,ノンビリと市街地を流したり,ショートカットやライン取りの練習をすることも可能だ。 プレイオンラインは,EA GAMESオンラインサービスに接続して(EAのアカウントが必要),2〜4人でのマルチプレイが楽しめるモード(1.4.0パッチ「こちら」が必要)。 ロビーサーバーでは,普通のチャットはもちろん,対戦相手を探して挑戦状を叩きつけることも可能だ。 アンダーグラウンドモードで作り上げた車は持ち込めず,オンラインカーメニューから車を選んでプレイできる(カスタマイズは可能)。 プレイヤーを熱くさせるのが,評価ポイント(REP)のトップ100のランキングと,今週のベストタイムが掲示されているところだろう。レースに勝つと評価ポイント(REP)が増え,負けると減る。これがランキングされ,単純だけど熱くなれるシステムとなっている。対戦相手のデータを見つつ,勝てそうな相手がいれば挑戦を申し込んでみよう。逆に挑戦を申し込まれることもあり,承諾すればレーススタートだ! またランキングに関係なくマルチプレイを楽しめるモードも用意されているので,気軽に遊びたいときも安心だ。
■"魅せる車"にカスタマイズし,ギャラリーたちを唸らせるべし
ベースとなる車は国内外の実在する20台。車ごとに,駆動輪による挙動の違いや加速性,最高速,操作性に違いがある。 チューニングパーツを使ってのパワーアップは可能だが,車高やギア比の調整など細かいセッティングはいっさいなく,上記三つの要素に影響が出るだけだ。 カスタマイズパーツはボディを着飾るエアロパーツ,マフラーエンド形状,ボディとエンジンルーム内の塗装の選択,ネオン管,ヘッドライトやテールランプ形状,パーツメーカーのステッカー,バイナル,車をチューニングする足回りやECU(コンピュータ),軽量化,ニトロ搭載などなど多種多様。半端じゃない数のカスタマイズパーツが用意されている。 それらを組み合わせて愛車をカスタマイズしていくのだが,選択したパーツは画面上で即座に装着状態を確認できるのも嬉しい。とくにスポコンスタイルの特徴でもあるバイナルは,サイドに貼る場合,4枚のレイヤーを使って重ねて貼ることや,1枚ごとに色を変えることもできるため,いろいろな組み合わせを試して悩んでいるだけで時間がどんどん過ぎてゆく。 とはいっても,最初からすべてのパーツが使えるほど甘くない。最初は各パーツはロック状態にあり使用できないのだ。 愛車のカスタマイズには,お金が必要なのはもちろんのこと,レースイベントに参加して"スタイルポイント"(Style Points)を溜めていく必要もある。ある程度のスタイルポイントが溜まるとロックが外れて,新しいパーツが使用できるのだ。 スタイルポイントは,敵車の背後に付いたり(ドラフティング),ジャンプしたり,一般車をギリギリで交わしたり,派手にドリフトさせたりなど,いろいろなところで加算され,逆に壁や一般車に激突したりすると減点されていく。簡単にいえば,ギャラリーが沸くような熱い走りをすればいいわけだ。 カスタマイズが進むと,「アイツの車はイカしてる」と"評判"(Reputation)が上がる。評判は5段階で星の数で表されて,その星の数はスタイルポイントのボーナス倍率になっている。つまり星が二つなら2倍,星が三つなら3倍と,より多くのスタイルポイントを稼げるのだ。 レースの勝敗がゲームの流れに影響を与えるのが常だが,レース以前に車の見た目がゲームの流れに影響を及ぼすというドライブゲームがほかにあっただろうか。このあたりはNFS-UGにしかない大きな特徴だといえる。
■圧倒的なスピード感,非リアル上等,敵車とのバトルに酔いしれよ
NFS-UGでは,モーション・ブラー表現により200km/hくらいになると遠方の風景がブレ出し,速度が上がるに連れてブレる範囲が広がってくる。さらにニトロを使って爆発的な加速状態になると画面一面が一気にブレて,従来のゲーム以上のスピード感を存分に味わうことができるのだ。 普段運転している人なら経験しているであろう,目の前に車が飛び出してきたときに思わずフルブレーキしながら「ひぃ〜」とのけぞってしまう状況を,ゲームで味わうことになるとは想像できるだろうか……。 ほかにも二つの柱の間を抜けるときなど,モーション・ブラーに加え周りを一瞬暗くするなど,さまざまな試みでスピード感を再現している。 NFS-UGにはマシンダメージがないのも特徴的だ。どんな速度で壁に激突しようが,何もなかったようにレースに復帰できてしまう。 また順位が上位の敵車は遅くなり,下位の敵車は速くなるというキャッチアップ機能があるため,大クラッシュしても諦める必要はない。あまり大きな差でなければ,頑張って走れば追いつく可能性が残されているのだ。 逆に大きな差を付けてトップに立っていても,あっという間に追いつかれて後ろに張り付かれたなんてこともしばしば起こるので,常に真剣に走らなければならない。 つまり,NFS-UGはリアルシミュレータではなく,いわゆるアーケードゲームとして作られているのだ。もしリアルシミュレータとして作っていたら,NFS-UGの面白さは半減……それ以下になっていたと筆者は感じた。なぜなら,NFS-UGの魅力である強烈なスピード感ゆえに大小問わずクラッシュは日常茶飯事。そのつど車が壊れ,その影響で加速しなかったり,曲がらなかったりしたら,上位を狙うのは不可能だ。敵車とのバトルなく最下位をトロトロ走るハメになる。 しかし,ガツンとぶつけても,気合一発で再び追い抜き,「よっしゃ〜」とか思っていたら,次のコーナーで対向車とぶつかって天国から地獄……これはこれで楽しい。アーケードならではの気軽さで抜きつ抜かれつの熱いバトルが楽しめるのがNFS-UGなのだ。
■悲嘆リプレイなし……その鬱憤はアドレナリン流出のレースで爆発させろ
個人的にどうしても許せないところが一つある。それは,自分の走りを振り返られるリプレイ機能がないことだ。ジャンプしたり,一般車と衝突したりすると,そのシーンが短いながらもリプレイのように再現されるのだが,求めているのはそんなんじゃない! 観たいのはレース終了後に再現される己の熱き走りなのだ。映画顔負けに高架の柱の間を縫って敵車とバトルしようが,スタイルポイントを上げるために対向車のギリギリを通り抜けたり,派手なドリフトを繰り返えそうが,その走りをプレイ後に楽しむことができないのは悲しすぎる。リプレイで観たらカッコ良いだろうなというシーンが多いゲームだけに,リプレイがないのは,ただただ残念。 その一点さえ除けば,派手でカッコ良いマシンを作り上げる楽しさ,今までのドライブゲームでは味わうことのできなかったスピード感と恐怖感。突然現れる一般車を華麗にかわしたり,最後の最後でニトロを噴射させ相手の前に出てレースを制する爽快感,ドライブゲーム初心者にも分かりやすいゲームシステムなど,文句なしに筆者一押しのドライブゲームだ。 セクシーな女性の合図でスタートし,ロック,ヒップホップ系のイカしたBGMをバックにマシンが加速していけばアドレナリン出まくり,誰でも一瞬でNFS-UGの世界に突入するだろう。 一人でアンダーグラウンドモードを制するもよし,マルチプレイで世界中にいるストリートレーサーたちを相手にするもよし,自分の愛車をスポコンスタイルにしている人は当然のこと,車に興味のある人/ない人,ドライブゲームに興味のある人/ない人,……とにかく多くの人に一風変わったド派手,ド迫力,熱くなれるドライブゲームをプレイしてほしい。NFS-UGの虜になること間違いなしだ! 実際,NFS-UGの面白さを言葉に表すのは難しい。これはもう,体験版「こちら」で味わってもらったほうが早いだろう。また「こちら」にゲームからの撮り下ろしムービーがあるので,興味のある人はぜひ観てほしい。少しでも惹かれるものがあれば,NFS-UGをプレイする価値はあると思う。
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