アクション 4Gamer.net Review
 

週末ゲーマーでも十分楽しめる,PvPが魅力的なMMORPG

Knight Online
Text by 大路政志
30th Apr. 2004
※本作品はオンラインゲームという性質上,大きくその内容を変えることもあります。ご了承ください(本記事は2004年4月30日時点のものです)。


さほど「ストレスなく」遊べる,希有なMMORPG

開拓地帯の中央部では,日々激しいPvPが繰り広げられている。敵も味方もおおむねパーティ単位で行動しているので,単独での冒険は危険かも……

 「Knight Online」は,テラ・コーポレーションが運営する韓国産の3D MMORPG。人間族の国家・エルモラドと,魔族の国家・カルスとが果てなき闘争を繰り広げるファンタジー世界で,プレイヤーは一人の戦士や魔法使いになり,己の成長や国家繁栄のために戦うこととなる。韓国では比較的メジャーなタイトルといえる本作だが,日本ではやや知名度が低いような印象を受ける。「リネージュII」「JUNKMETAL」「World of Warcraft」など,大作・注目作ひしめく状況下では仕方のないことかもしれないが,本作の秘める「楽しさ」の可能性は,決してほかのMMORPGに引けを取るものではない。
 ゲーム世界は3Dで描画され,MMORPGでは定番ともいえるクラスチェンジやクエスト,スキルシステムなどもしっかりと搭載されているし,生産スキルこそはないもののアイテムのアップグレードといった,それらしいこともできる。もちろんテーマであるPvPでは,プレイヤー同士の駆け引きが楽しめ,将来的には攻城戦なども実装予定だ。当レビューでは,筆者が感じた「楽しさ」をありのままに伝えるとともに,今後実装されるであろう,多くの新要素の魅力について考えてみたい。
 まず,筆者が最も強く魅力を感じたのは,本作がサクサクとストレスなく遊べるゲームである点。モンスターのポップ数・リポップ頻度が高いので,多くのプレイヤーで少数のモンスターを奪い合わねばならないような状況は,ほとんど発生しない。また,モンスターを倒したときに得られるドロップ品も,ノア(お金),武具,高価な宝石類などが頻繁に入手できるから,一部のMMORPGでは「苦痛」以外のなにものでもないお金稼ぎも,素直に楽しめる。そんな調子でモンスターハントをこなしていれば,一次転職条件であるLV10まで,あっという間に成長できるのだ。もちろん高レベルになるにつれ,レベルアップまでに必要な労力は増加するものの,低〜中レベルキャラの成長は,従来のMMORPGに比べてかなりラクな印象を受けた。
 マップ間の移動がワープゲートを利用することで瞬時に行えたり(移動の際のストレスがない),パーティを組んだときに得られる経験値ボーナスが魅力的(パーティプレイが楽しい)だったりと,単に「簡単に強くなれる」というわけではなく,「気軽に,そして深く楽しめる」というゲームバランスは,総プレイ時間が長くなりがちなMMORPGにとって,実に希有で貴重なものだと思う。俗にいう「廃人」にとってはやや物足りないバランスかもしれないが,大多数の一般ユーザーにとっては,非常に有り難いバランス取りといえるだろう。

すべてのマップが地続きではないため,エリア間の移動にはワープゲートを利用する。「歩かされる」辛さはほとんどない パーティ編制時のほうが,ソロよりも取得経験値の効率がいい。パーティを組んで楽しくレベル上げをしよう


PvPの必然性を演出するスマートなゲーム性

開拓地帯の中央部では,日々激しいPvPが繰り広げられている。敵も味方もおおむねパーティ単位で行動しているので,単独での冒険は危険かも……

 次は,本作最大の魅力であるPvPについて。本作では,プレイヤーは人間族のエルモラド,魔族のカルスいずれかの国家に属し,ゲームを楽しむことになる。つまり,自らの所属する国家のため,同種族と協力しつつ,敵国プレイヤーと争うのだ。PvPが可能なエリアは,レベル30以上のキャラが移動できる「開拓地帯」,レベル30以上のキャラが国家戦争を行なう「ルナ」,そして四等クラン以上のクランが攻城戦を行なう「デロス城」が,現段階では用意されている。その中でも開拓地帯は,常時解放されているのでPvPが活発に行なわれており,個人でもパーティでもレベル30に達してさえいればPvPを楽しめる。
 PvPの相手は,ゲームシステムが容認する純粋な「敵(敵国の戦力)」なので,勝っても負けても恨みっこなし。ある意味,実に清々しいPvPを楽しめるだろう。PvP可能なMMORPGは多いが,PKという行為に付随するネガティブなイメージや,PKしたときのペナルティーなどを考えると,純粋にPvPを楽しむことは難しい。その点本作では「人間族と魔族の闘争」がテーマであり,同種族間のPvPは不可能なので,心情的にもシステム的にも,PvPを楽しむうえでの弊害が少ない。結果,同種族間の仲間意識やPvPの競技性が高まり,ゲーム世界に心地いい活気を生み出している。「Dark Age of Camelot」や「JUNKMETAL」などと同様,PvPに関しては「Knight Online」もかなりの熱さを秘めているのだ。
 ルナでの国家戦争,デロスでの攻城戦に関しては,実際に経験していない筆者が無責任なことをいうわけにはいかない。しかし,ファンサイトや公式ページのリポートを見る限り,個人単位・パーティ単位以上の集団戦闘も,とても魅力的に思える。敵国プレイヤーを倒したときに得られる「国家貢献度」も,クランの成長に欠かせないポイントなので,お気に入りのクランにジョインさせてもらえば(あるいはクランを立ち上げれば),「敵国プレイヤーを倒す=国家貢献度を稼いでクランを成長させる」という明確な目的が生まれるため,プレイヤー間の結束もより強くなるだろう。今後のアップデートで,クランクエストやクランダンジョンなども実装される模様なので,本作をプレイしてみようと思っている人は,ぜひクラン加入(あるいは設立)を視野に入れておこう。

クランを結成するには,キャラクターレベル20以上,50万ノア以上の所持金が必要となる 所属クラン名は,キャラネームの上に赤字で表示される。個性的なクラン名は,やはり目立つ チャットウィンドウに黄色時で表示されるPvP結果。有力プレイヤーの名は,覚えておいたほうがよさそうだ



一次転職(レベル10)をすると,職業ごとの専門スキルを習得できる。スキルポイントの割り振り方によって,キャラの活躍度は大きく変化する

大味だが素直に楽しめる秀作。PvP好きなMMORPGファンなら課金の価値あり!

 筆者もさまざまなMMORPGをプレイしてきたが,「Knight Online」は,ゲームから受けるストレスが最も少なかった作品といえる。そのビジネススキーム上,プレイヤーを長い期間遊ばせようとするためだろうが,多くのMMORPGが「マゾく」「廃人仕様」なゲームになっているように思える。もちろん本作にも,そういった「ダルい」部分や時期は存在するが,軽快なプレイ感覚や,気軽に気持ちよくPvPを楽しめるゲームバランスは,非常に魅力的だと感じる。グラフィックや操作面,戦闘システムなどに「大味」なところもあるが,MMORPG最高の魅力である「プレイヤー同士の関わり合い」には,なんら悪影響はない。
 2004年5月1日から正式サービスが開始される「Knight Online」だが,レベル20以上のキャラクター1体以上を所有していなければ,課金対象にはならないらしい。もし本作に興味がわいたなら,ぜひ一度「Knight Online」をプレイしてみよう。MMORPGファンならば,そのゲーム展開の軽快さに心地よさを覚え,MMORPG初体験の人なら,ほかのプレイヤーと協力・対立する楽しさや,キャラクターがスクスクと成長していく喜びに熱中するだろう。月額利用料金1500円が高いか安いか? その問いには,キャラクターレベル20になる頃には,プレイヤー各々が答えられるはずである。

モンスターからのドロップ品収集,アップグレードアイテムの作成,イベントでのアイテム入手や露店での買い物など,アイテム集めの楽しさもたっぷりと用意されている

序盤から巨大なモンスターが登場するので迫力満点。アングル変更の自由度も高いので,ダイナミックな戦闘が楽しめるはずだ

このページを印刷する

▲上に戻る

■メーカー:テラ・コーポレーション
■問い合わせ先:公式サイト「こちら」のフォームにてサポート
■価格:月額1500円
■動作環境:Windows Me/2000/XP,Celeron/500MHz以上(Pentium III/800MHz以上推奨),メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量 1GB以上,メモリ32MB以上搭載したビデオカード(64MB以上推奨),DirectX 8.1以降
Screenshots集
ムービー
forGamer内記事一覧

Copyright(c) 2004 TERRA Corporation All rights reserved.

http://www.4gamer.net/