シミュレーション 4Gamer.net Review
 
高校野球SLGの代表格シリーズ最新作がついに登場
高校野球道3
Text by キーオ林
14nd Aug. 2004


高校野球シーズンに待望の新作

野球道シリーズではおなじみともいえる試合画面。選手はデフォルメされてるが,本格的な野球SLGなのである。状況を考えつつ,選手の力量も頭に置いて的確な指示を送ろう。監督の判断がチームの勝敗を決める

 夏といえば高校野球の季節である。
 そりゃ春にも選抜大会があるし,秋にだって国体とかあるんだろうが,「全国で勝ち抜き戦やって,1回負けたら即脱落ー」という,トーナメント制の「あとのない感じ」が,高校野球には一番合っている気がする(というか,春の大会の21世紀枠ってのに未だに馴染めずにいるんですが……)。なんのかんので高校野球が一番盛り上がるのは,夏の大会だということに異論のある人は少ないであろう。
 そんな高校野球シーズンに,日本クリエイトから「高校野球道3」が発売された。以前はアートディンクの「栄冠は君に」シリーズなどもあったが,現状では唯一のメジャーリリースの高校野球SLGシリーズである今作を,楽しみにしていた人も少なくないはずだ。
 ゲームの目的は,プレイヤーが高校の野球部の監督となって部員達を鍛えつつ,試合でも采配を振るい,甲子園で日本一に導くこと。まさに育成系野球SLGの王道といっていい内容である。
 任期は最初10年間と設定されているが,条件を満たせば,期間を延長させられる。
 いかに凄い選手を育てようが,当たり前ながら部員は3年間で卒業していってしまうので,勝てるチームを作りつつ,次の世代も見据えての育成が必要となる。基本的には年数を経るほど練習用の機材は充実していくし,チームが勝てば勝つだけ部の評価が上がり,有望な新入生が入ってくるようになるが,そのときのレギュラーメンバーにばかりかまけていると,あとで苦しむことになるだろう。
 基本的には選手個々のパラメータを睨みつつ,練習メニューを決めて選手を育て,試合になったらスタメンを決めて,状況に応じてサインを出したり選手を交代したり,といった流れが主となる。流れが単調にならないよう,途中でイベントが挿入されたりもする。このイベントはコミカルなものが多く,部員たちが部活だけでなく,学校生活を謳歌していることを教えてくれるのである。

ホームランが出れば嬉しいが,やはり長打ばかりに頼っていては,接戦はモノにはできない。繋ぎの野球が王道なのだ。バント,盗塁,エンドランなどを駆使してしぶとく点を取っていけば,きっと勝機も見い出せるだろう 女子マネージャーもおります。男子校だと男子マネージャーになるが。単なる飾りではなく,役に立ってくれます

50名近い部員のパラメータをしっかりチェックしていかないと,強豪チームはなかなか作れない 練習メニューの中には,備品を購入しないと選択できないものも。序盤は若干のガマンが必要となる ベンチ入りメンバーを決めるのも監督の仕事。手を抜いてオートだけで選択すると,意外な逸材を逃すことも


細かだが確実に進化の跡がうかがえる

新しく増えた備品の"移動バス"は,700万円と高価。序盤では遠征の必要もないし,いきなり購入する必要はない。まずは監督のパラメータを上昇させるものや練習効率を上げるものなど,安価な備品を購入していこう

 シリーズの前作にあたる「高校野球道2EX」が発売されたのは,2002年の7月のこと。つまり今作は2年ぶりのシリーズ最新作となる。
 では前作に比べて「高校野球道3」はどこが変わったかというと……実はゲーム内容自体は,あまり変わっていなかったりして。何せ,ゲームスタート時に起こるイベント(野球嫌いの教頭先生が主人公に突っかかってくる)からして同じなのだ。大きな新要素といえば,機材購入のときに移動用バスを購入できるようになり,同じ都道府県内の学校としかできなかった練習試合が,隣接している都道府県の学校でも行えるようになったこと,購入した機材が壊れるようになったこと,新スキルとして「威圧感」が増えたことぐらいなのである。
 しかし,この点だけで「高校野球道3」がまったく進化していないと断じるのは早計である。実は細かいながらも,ものすごく重要な点に変化があるのだ。
 なんといっても肝心な,試合中の動作に修正が加えられている。例えば「高校野球道2EX」(Ver1.05dのパッチをあてた状態)と比較すると,ボールの飛び方やランナーの動きに変化が見られる。
 ボールの飛び方は,フライが少なくなり,ゴロが多くなった印象。打球の飛距離が出なくなり,ホームランも減少しているように感じられるので,バントやエンドランなどの繋ぎの野球がより重要になったといっていいだろう。ここらへん,かなり"高校野球らしさ"が高まった感。また,内野手の走力や肩力も充分に鍛えないと,かなりの確率で内野安打を許してしまうことにもなる。
 ランナーに関していえば,かなり慎重な動きをするようになった。オーバーランしても先の塁に進むのは危ないと判断すると,すぐさま帰塁する。この修正により,ランナーが暴走死することはほとんどなくなったといってもいい。代わりに野球の醍醐味の一つであるクロスプレーがあまり見られなくなったり,右方向の内野ゴロでも2塁ランナーがサードへ進まず,しかもセカンドにボールを送られてタッチアウトになるというようなプレイが,割と頻繁に見られたりするなどのマイナス点も若干あるように思える。
 だが,こうした試合中の動作などに関しては,日々細かな修正が加えられ,パッチが出来上がっている。「高校野球道3」はゲームを立ち上げると同時にネットに接続し,新パッチを自動的にダウンロードしてくれるようになっている。
 現段階では,公式戦での引き分けの試合の勝敗がくじ引きによって決められたり,甲子園でもコールド試合があったりなど,前作までの多くのプレイヤーが不満を感じていた仕様が改善されていないが,このような点もパッチによって修正が加えられることを期待したい。

コミカルなイベントが笑いを誘う。選手のパラメータに影響するイベントもあるので,あなどれないのだが…… ケガをした部員を放っておくと取り返しのつかない事態になりかねない。病院コマンドは重要なのである 甲子園に出場すると,地区大会とは比べものにならない強豪がうじゃうじゃ。序盤で勝ち抜くのはかなり困難

甲子園出場時に見られるようになる大会ガイドでは,出場校のデータをチェックできる。きちんと目を通しておこう 甲子園に出場するような強豪チームとなると,他校からライバル扱いされたりもする。なかなか燃える展開である 手早く甲子園に出場したいなら,高校が少ない都道府県を狙うのも手だろう。地域によって学校の数はかなり違う


ネット対戦は強豪揃い。キミは勝ち抜けるか?

前作に比べてゴロが増えたため,内野安打は意外なほど多い。走力は攻守に渡って重要なパラメータとなる。バッターランナーとしても足が速い方が当然有利だが,守備のとき打球に追いつくにも走力は必要なのである

 さて本作の大きなウリの一つに,ゲームサーバーの充実がある。インターネットによる対戦は前作でも可能だったのだが,プレイヤーがチャットルームを作成できたり,チャットルームに入ったままでの対戦ができたりと,グレードアップしているのである。
 現状ではネット対戦しているプレイヤーはさほど多くはない印象だが,これはまだチームを育てている途中のプレイヤーが多いからではないかと思われる。ちなみに現段階で対戦を楽しんでいるプレイヤーは,すでに相当やり込んでいる人が多い模様。筆者などは無謀にも3年め途中のデータで入り込んで対戦をしてみたが,見事にパーフェクト負けを食らってしまった。むぅ。
 またサーバー上に対戦者がいなくても,ほかのプレイヤーがアップしたチームデータをダウンロードすれば,いつでも自分のチームと戦わせられる。これはチームの力量を測るにはもってこいの機能といえるだろう。試合は録画してあとからも観戦できるようになっているので,これらの機能をフルに活かして最強のチームを作ってみよう。

 現段階では,まだまだ発展途上という感が漂う「高校野球道3」。だが,もともとの完成度が高い高校野球SLGとして評判のシリーズであるからして,現状でも十分に楽しめる。パッチによるさらなる進化も期待できるし,野球SLGファンならぜひ押さえておきたいゲームである。

毎日講習を行うのも,強くなるための近道だ。グラウンドだけでは教えきれないことだって多いのである ネット対戦は投手戦になることが多くなりそうな感触。きっちり鍛えていかないと,猛者たちに太刀打ちできない サーバーにアップされている強豪のデータをダウンロードして戦ってみよう。自分のチームのレベルがよく分かる

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■メーカー名:日本クリエイト
■問い合せ先:ユーザーサポート TEL 0729-90-2525(祝祭日を除く月〜金 15時〜17時)
■価格:9240円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/400MHz以上,メモリ 64MB以上(Windows 2000/XPは128MB以上),HDD空き容量 500MB以上,16MB以上のビデオメモリを搭載したビデオカード(32MB以上推奨),DirectX 7.0以降
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