RPG 4Gamer.net Review
 
個性豊かなキャラクター達が派手に大暴れ!
2D格闘アクションの王道を継承するゲーム
ギルティギア イグゼクス
#RELOAD THE MIDNIGHT CARNIVAL
Text by 三須隆弘
26th Jul. 2004

最近はめっきり寂しい2D格闘ゲームだが……

女侍と銀髪の外国忍者という,SNK黄金期を彷彿とさせる戦い。女侍の胸がはだけすぎて集中できない

 その昔ゲームセンターの花形といえば,なんといっても対戦格闘ゲームだった。人気作品の対戦台には行列ができ,猛者同士の戦いになると,ギャラリーはプロレスや格闘技の観客のように興奮して見守ったりした。しかし,そんな格闘ゲームブームもひと昔前の話。今ではほとんど新作も見かけず,対戦台も対戦相手の乱入待ちでシングルプレイをしている割合が多かったり……。かつてカプコン,SNKの作品が隆盛を誇った黄金期に寝食を忘れて格闘ゲームにハマった世代としては,シューティングゲームがたどった道と同じ道をたどっているなぁ,なんて若干寂しくなったりする。
 そんな中,ゲームセンターで唯一頑張っている,というか元気がある2D格闘が,ギルティギアゼクスシリーズだ。これから紹介する本作「ギルティギア イグゼクス #RELOAD THE MIDNIGHT CARNIVAL」は,シリーズの中でも一つ前の作品となり,アーケード版やPS2版から約1年ちょっと遅れてのPC移植となる。ただ,アーケードのシリーズ最新作「ギルティギア イスカ」は2対2の4人対戦システムとなり,対戦格闘というより大混戦的パーティ系アクションっぽくなっているので,今でも1対1の王道2D格闘である本作のほうが好き,という人も多いようだ。
 ……なんて,最初に格闘ゲームを憂えた文章なんか書いちゃっておきながら,実は筆者自身,格闘ゲームはとーんとごぶさただったのである。そんな筆者が,超ひさびさに2D格闘ゲームに興味を持ち,うわ! これ楽しいかも! と,昔の情熱を再燃させた作品が本作だったりする。

まるでアニメのような,イカすオープニング。ギャラリーモードで,こういった絵やアニメをいつでも閲覧可能だ ガード中,ダスト以外のボタン二つ同時押しで,緑のオーラが出るフォルトレスディフェンス。必殺技も完全防御 キャラクターは,初期状態で21人。写真のザッパは筆者お気に入りキャラで,S子に取り憑かれた青年だ

ゲーム中,スタートボタン(デフォルトではスペースバー)を押すと,各キャラの必殺技コマンドが表示される 左のザッパは,剣や犬,幽霊を憑依させて戦う。右のブリジットは,ヨーヨー使いで仕草がプリティ。……でも男だ ブリジットは「これ難しいんですよ」とか「いきますよ」とか,超可愛い声で攻撃。ああ,もっと。……でも男だ


できることイッパイ! 最初はちんぷんかんぷん?

技によっては,相手をよろめかせるものもある。よろめいたら,レバーをガチャガチャ動かして回復させよう

 最初はその見た目から,SNKの「月華の剣士」っぽい感じかと思っていたが,中身はスピーディでデフォルメされまくったド派手な演出てんこもり。遊んだ感覚はカプコンのヴァンパイアシリーズのほうが近いと感じた。使用するボタンはパンチ,キック,斬り,大斬り,ダストの五つ。"ダスト"とは相手を空中に叩き上げる,しゃがみガードできない技で,ヒットすればジャンプによる追い打ちが可能となる。
 基本ルールは昔ながらのオーソドックスな2D格闘だが,システム自体はかなり細かく,悪くいえば煩雑で覚えることが多い。ゲージにしても体力ゲージ(これがゼロになると負け)のほかに三つもゲージが表示されており,格闘ゲームリハビリ中の筆者は,まずここで面くらってしまった。
 まず,体力ゲージのすぐ下にある"BURST"と書かれたゲージ。実はこれが結構重要で,このBURSTゲージが溜まって点滅しているときにダストボタンとほかのボタンの同時押しで,"サイクバースト"という無敵攻撃が発動する。相手から攻撃を食らっている最中でも出せるため,うまく使えば連続技のピンチも跳ね返せる。
 BURSTゲージの隣にある,赤い小さなゲージが"ガードゲージ"。相手の攻撃をガードするごとにどんどんゲージが溜まり,相手の攻撃がヒットすると,このゲージの分だけダメージがアップしてしまう。つまりガードばかりしてても危険,ということ。
 画面の一番下スミにあるのは"テンションゲージ"で,前進したり攻撃したりと,積極的な行動をとればアップ。逆に守りに入ったり後退したりすると警告を受け,最後にはテンションゲージがゼロに下がるなどのペナルティを被ってしまう。このテンションゲージが多い場合,威力の高い覚醒必殺技や特殊技などが出せる仕組みだ。これは待ち戦法ぎみに戦えばどんどん不利になり,逆にガンガン攻めまくればそれだけ有利になっていくシステムといえよう。
 まぁ最初はよく分からず体力ゲージだけ理解してプレイしてもなんとかなるし,それなりに楽しかったりする。実際,技もシステムも何も知らない筆者が初プレイ時,見た目だけで選んだキャラのガチャプレイ(レバーをガチャガチャ適当プレイ)でも結構必殺技出しまくりで,楽しく遊べた。
 ちなみにほかにも,基本技を特定の順番で出していけば連続技としてつながる"ガトリングコンビネーション"。テンションゲージを消費して必殺技すらノーダメージで防御する"フォルトレスディフェンス"(ガード中,ダスト以外のボタン二つ同時押し)。ガード硬直をキャンセルして反撃する"デッドアングルアタック"(ガード中,前+ダスト以外のボタン二つ同時押し),一撃必殺技モードといったテクニカルな要素もあるが,はっきりいって筆者はアップアップ。遊びながら覚えてけばいいや,ってことで……。

よろけた相手に中国娘ジャムの必殺技がヒット。格闘といえば外せないのが中国娘。可愛い声でアチョー! 中国娘は適当ガチャプレイでバリバリ連続技が出る。覚醒必殺技で巨大な気を出せば,こんなに派手に! ウンディーネとネクロという,天使と悪魔の翼(?)を持ったディズィー。挑発ボタンを押すと双方がケンカを始め,少女が困る

ディズィーのダスト攻撃は,天使の翼が少女の気を引き,そのスキに悪魔の翼が敵をカチ上げアッパー! 羽の天使対,憑依幽霊の戦い! まるでジョジョのスタンド同士の対戦。ジャンプ世代にはたまらん内容かも 各キャラ,対戦相手に応じて違った勝ちセリフを持っている。これがそのキャラの個性を表していて面白い

コートを両手で広げ「いいものを見せてあげよう」と言って登場するのが,お笑い系変態キャラ,ファウスト 風呂敷で体を隠し,相手の背後から,突然ドアを開けて出現したりするファウスト。奇抜な技のオンパレード ファウストの覚醒必殺技は,相手に宝箱を選ばせる。箱によってはファウストがダメージ! もう何がなんだか


変態,色物大好き筆者も思わず感激の充実のキャラクター達

PS2版では入っていなかった,ストーリーモード。各キャラごとに,違ったストーリーが進行していく

 登場キャラクターは続編が出るたびに増えてきただけあって,初期状態で21人もの大所帯。さらに条件(ミッションモードやサバイバルモードをクリアするなど)を満たすと,見た目は同じでも技の能力が違う"EXキャラクター"も出現する。さらにはお約束の隠しキャラもいたりするので,最終的にはかなりのバリエーションとなる。各キャラの必殺技は,有名な波動拳コマンド,昇龍拳コマンドなどのシンプルなタイプが多いので,格闘ゲームの経験者ならすぐに楽しめるはず。
 この手の格闘ゲームの最大のウリとは,やはりキャラクターのインパクト,というか個性と魅力だと思う。ゲームバランスやシステムといった部分も,継続して遊ばせるには大事な要素だとは思うが,まずは一目で「うわ,このゲーム遊びてぇ!」と思わせる強烈なキャラがいることが重要だ。その点で本作は,ダントツのぶっちぎり。野性的イケメン,知的クールガイ,アニメ声萌えッコ,女の子みたいな美少年,中華娘,エロい姉さん,渋いオッサン,ロボ,変態,お笑い系まで,とにかくあらゆる方面の嗜好に合わせた"魅力的"な奴らが,超個性的な動きで画面を縦横無尽に動きまくる。これについては今すぐ実際に動いてる画面を見てもらいたいほどで,色物キャラ大好きな筆者も頭に紙袋をかぶった変態医者がコートを両手で広げて登場する場面や,怨霊(S子)に取り憑かれた青年が,ブツブツ意味不明な独り言を言いながらブリッジ走行するのを見て,めちゃめちゃ心を奪われた。なんというか,2D格闘ゲーム全盛期のカプコン,SNKのような匂いを放ちつつ,今風ナイズされた内容,ぶっ飛んだキャラ。格闘ゲームをひさびさに遊びたい! と思わせるには十分だったわけだ。

 このPC版のおおまかな内容は,4月に発売されているXbox版にほぼ準じており,勝ち抜き戦のサバイバルモード,与えられた条件をクリアするミッションモード,CGやムービーが見られるギャラリーモード。そしてPS2版にはなかったストーリーモードも入っている。ただ唯一残念なのが,Xbox版にはあったオンライン対戦が入っていない点だ。ロビーサーバーの設置や管理,モデム設定等のサポートが大変そうではあるが,だったらオンライン対戦は完全サポート外にして,ロビーサーバーなしの相手IPアドレス直打ち込みでいいから,なんとしても入れてほしかったなぁ,というのが正直なところ。やはり人間相手に対戦してこその格闘ゲームなんだから。
 本作は最低スペックがCeleron/450MHz,32MBメモリ搭載のビデオカードで動作するので,ちょっと古めのPCやノートPCでも十分動作する。今なら実売価格がメディアカイトのオンライン販売で4千円を切ってたりするのも,何気に嬉しい。個性的なキャラを見て,ちょっと興味が湧いた人はぜひ遊んでみると良いかも。複雑っぽいシステムに尻込みしなくても大丈夫。ガチャプレイでも結構楽しいし!

外人忍者チップは,必殺技の発動時にスシとかサシミとかフジヤマとか叫んでいる。SNK的な乱舞系の必殺技も 左が居合いの達人ジョニー,声は若本規夫。素敵! 右の少女は"にょ"を付けて話しそうなアニメ声。素敵! 各キャラ,一発で相手を倒せる"一撃必殺技"というのも持っている。イノの一撃必殺技は,いきなりライブ!

アーケードモードでボスとして登場するイノは,セリフがSMの女王様のように攻撃的。ああ,もっと言って! ミッションモード。ミッションは全部で100もある。クリア条件のBEAT ENEMYとは,敵を時間内に倒せということ ミッションをクリアすると,ご褒美のCGがもらえる。獲得したCGは,ギャラリーモードで好きなときに見られる

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■メーカー:メディアカイト
■問い合わせ先:support@media-kite.co.jp
■価格:4935円(税込)
■発売日:2004年7月23日
■動作環境:Windows 98SE/Me/2000/XP,Celeron/450MHz以上(PentiumIII/700MHz以上推奨),メモリ 64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量 900MB以上(インストール時に2.1GB以上必要),Direct3Dに対応したVRAM32MB以上のビデオカード(64MB以上推奨) ,Direct X8.1以降に対応したサウンドカード,DirectX 8.1以
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