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新世代FPSの旗手,待望の日本語版登場 |
ファークライ 日本語版 |
Text by 虎武須(Kobs) |
28th Apr. 2004 |
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超美麗グラフィックスに酔え
「ファークライ」は,Ubi Soft傘下にあるドイツのCrytekが開発した,CRYエンジンを使った初めてのゲームだ。既に2004年3月に海外では発売されているが,このたびメディアクエストからCD-ROM6枚組となって日本語版が発売された。なぜCD-ROM6枚もの量になったかというと,インストール時に日本語と英語を選択できるようにしたためだ。会話などの情報が必要なキャンペーンゲームは日本語でプレイし,パッチや対戦,MODなどの面で不安でも英語版なら大丈夫ということだろうか。
ファークライが新世代とよばれる所以は,ゲームを立ち上げた瞬間から思い知らされることとなる。「ちょっと待て,何よコレ!」と叫ばずにいられないくらいほどの超美麗グラフィックスが展開されるのだ。海の透明感や遠景の深度,さらに風になびく草木一つとってみても,これまでゲームでお目にかかったことがないほどの描写がなされている。
スクリーンショットの静止画だけで確認できる描画ばかりでなく,物理エンジンも非常に発達したものとなっている。砲撃などの爆発によるエネルギーが周囲へ波及して木々が大きく揺れ,近くにいたキャラクターが吹き飛ばされたりといった物理エネルギーの波及や,衝突の際に生じるエネルギーの吸収度合いが材質ごとに異なったり,水に浮かぶボートや死体なども流体力学に沿った運動をしたりと,これまでのゲームに比べてはるかに自然な動きをするようになっている。
完全と呼ぶにはまだまだ改良の余地があるのは確かだが,現存する3Dゲームエンジンとしては最高レベルの一つとして数えられるだろう。描画エンジンや物理エンジンなど,ここでは説明しきれない最新技術を駆使したCryエンジンによる3D表現により,「動き」という部分も含めてこれまでのFPSのグラフィックスとは明らかに格が違うのだ。
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途方に暮れるジャックを手助けしてくれる人物が現れる |
まさに南国の楽園。草木が風になびく様子も見とれてしまう |
はるか彼方に見える小島も一枚絵ではなくレンダリングされたものだ |
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この海の透明感は,さまざまな最新レンダリング技術の結晶なのだ |
銃撃戦の楽しさ,というか敵を撃つ気持ち良さにも独特の手ごたえと魅力がある |
なぜか一人で運転も機銃掃射もできる。ここではタイヤの質感に注目 |
ゲームとしての完成度も◎
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接近戦になることもしばしば。敵の展開が非常に早いのだ |
グラフィックスにばかり目を向けられがちなファークライだが,もちろんゲームとしての完成度にも手を抜いていない。サバイバルアドベンチャー型のFPSだが,とくに難解な謎解きや意地悪な仕掛けがあるわけではなく,ストーリー性の高いFPSやスニークアクションに慣れているプレイヤーならさほど悩むことはないだろう。むしろ戦闘やアクションといったFPS本来の爽快感を,思いきり楽しめる作品に仕上がっている。
南太平洋でチャーターボートの船長として,のんびり暮らしていた主人公ジャック。ある日ヴァレリーという謎の女性にチャーターされ,ミクロネシアのかつて日本軍が軍港として使用していたという,海図にも載っていない島へと向かう。ところがその場で突然何者かに攻撃され,船は破壊されヴァレリーともはぐれてしまう。この島の秘密を解き明かし,ヴァレリーと合流してなんとか脱出を計るというのが,このゲームの設定だ。
ゲームの舞台がミクロネシアの孤島ということもあって,ダークな雰囲気の多いFPSとしては異質の爽やかさを感じることができる。敵さえいなければ,まさに南国の楽園といった感じなのだが,そこはやはりFPSだ。わらわらと敵が現れ,自分の身に何が起きたのかすら判らない主人公を始末しようと容赦なく襲い掛かってくる。
武器の種類は豊富で,ナタや拳銃といった御馴染みの武器から,地上最強の歩兵武器と呼ばれるOICWまで揃っている。さらに乗り物もハンビーやガンシップ(ヘリ)から哨戒艇,ゴムボート,ハンググライダーなど,FPSとしてはかなり珍しい乗り物も用意されている。こうしたアイテム類がさまざまな場所で効果的に配置されているため,プレイヤーは飽きることなくゲームを進行させられる。
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レーダーマップの横に配置されている,ステルスメーターの要素も面白い。ステルス状態を維持しているかどうかの判断は,このメーターで確認できる。敵から注意を引くと徐々に上昇を始め,発見されるとメーターが振り切ってしまう。こうなるともはや戦闘は避けられない。
そして地味ながら特筆すべきは,敵AIの挙動だ。Crytecが"システマティックAI"と呼ぶAIシステムによって,敵は自らの置かれている状況を独自に判断し,周囲の環境に応じた行動を起こす。ただひたすらに襲ってくるだけでなく,攻撃と防御のバランスを考え,場合によっては一時退却したり,仲間に援護を求めたりもする。さらに特徴的なことに,敵キャラクターそれぞれに階級設定ができるため,敵キャラ同士が意思の疎通を図り,組織的な行動をするのだから驚きだ。たとえば階級が上の者が下級キャラクターに対し,状況に応じた命令を与え,グループが連携して攻撃してくるというわけだ。敵を一人倒せば,周囲にいた仲間がこれに気付き,一斉にプレイヤーに対する展開を開始する。気がつけばあっという間に包囲されていることも多く,ゲームでありながら恐怖すら感じる。このシステマティックAIによって,プレイヤーは初めて意思を持った有機的な敵を撃つFPSを得たのではないだろうか。これまでに味わったことの無い,手ごたえのある銃撃戦を楽しめるはずだ。
当然ながらファークライでもマルチプレイが用意されていて,LAN対戦のほか,Ubi.comを通じて世界中のプレイヤーとの対戦が楽しめるようになっている。インターネット対戦を選択すれば自動的にUbi.comのロビーサーバーへ繋がる(アカウント登録が必要)ので,別途に外部クライアントを起動する煩わしさを感じることはない。
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双眼鏡を覗いてみる。驚いたことに音声ズーム機能付き |
ハンググライダーで移動……ダイナミックさを見せつけられる |
機銃でガンシップを撃破! これぞFPSの爽快感! |
ファークライに死角なし!
最新技術の見本市かと思わせるようなグラフィックスと,有機的思考を持った敵AIなど,とにかく驚きの連続。しかしこうした複雑な処理をおこなっているため,必要とされるマシンスペックも半端ではない。筆者のごく標準的な構成のマシンでは,ビデオオプションを最高にすると動作に少なからずもたつきが見られた。ファークライを最高のクオリティで快適にプレイしたいがために,最高スペックのPCを新調するプランが頭を駆け巡る点も,このゲームの凄いところである。「DOOMIII」や「Half-Life
2」らとともに新世代FPSと呼ばれるているが,実際にプレイできるのは今のところこのファークライだけという状況ということもあり,FPSファンならずとも絶対に見逃せない作品だ。今後のゲームの動向を占うという観点からも,ぜひともプレイして欲しい。
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邪魔なガンシップをロケットランチャーで狙う…… |
少しずつ島に隠された秘密の片鱗が見えてくる。手がかりを見逃すな |
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敵の奇襲に気をつけよう。この兵士はロープを降りてきたのだ |
死ぬとこんな感じに。静止画では判りにくいが,とても凝った演出が見られる |
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■メーカー:メディアクエスト
■問い合わせ先:ユーザーサポート TEL 0570-040-401(祝祭日を除く月〜金 10〜18時)
■価格:7,329円
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/1GHz以上(Pentium 4/2GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),空きHDD容量
4GB以上,メモリ64MB以上搭載したビデオカード(128MB以上推奨),DirectX 9.0b以降
■Screenshots集
■ムービー(1分52秒:35.7MB)
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