アクション 4Gamer.net Review
 
スピーディで緊張感あふれる中毒性の高いシューティング
カウンターストライク:コンディションゼロ
Counter-Strike:Condition Zero
Text by 三須隆弘
7th May. 2004


世界中で一番遊ばれているゲームがどう進化したのか?

開発会社が何度も変わり,発売日は延期につぐ延期。そしてついにリリースされたCounter-Strikeの新作は果たして?

 世界中で最も遊ばれているオンライン対戦ゲーム,「Counter-Strike」。FPS(First Person−view Shooting)や3Dシューティングなどと呼ばれ,日本ではいまいちウケが悪いものの,諸外国ではバリバリ人気ジャンルのゲームである。そんな人気ジャンルの中で最も愛され,何年ものあいだ改良やバージョンアップを繰り返しプレイされてきたゲームの最新作が,この「Counter-Strike:Condition Zero」だ。かなり有名な作品なので,名前くらいは聞いたこともある人を含めれば,相当な知名度だろう。かいつまんで説明すると,特殊部隊チームとテロリストチームに分かれて,爆弾の設置や解除,人質の救出などを行う"主観視点でバンバン撃ちまくるゲーム"である(かいつまみ過ぎ?)。
 もともと「Counter-Strike」とは,往年の名作FPS「Half-life」のMODの一つであり,Half-life本体さえ持っていれば無料で遊べるゲームだ。本作に注目している人が一番気になるのが,この無料版の「Counter-Strike」との違いではないだろうか。ズバリ,本作はマルチプレイ専用だった「Counter-Strike」にBOT(コンピュータが操作する人工知能キャラ)機能やシングルプレイ用キャンペーンゲームを付け足し,グラフィックスやマップ構成を"若干"強化したものである。ちなみにゲームとしては別モノ扱いなので,「Counter-Strike」のサーバーに「Counter-Strike:Condition Zero」でJOINできないし,その逆もできない。開発のValveは「そのうちこの二つは統合する」みたいなことをいってるらしいが,今のところは膨大な数の「Counter-Strike」サーバーは利用できないのが痛い(2004年5月6日現在)。

キャラクタのモデルなどは,最初のCDからインストールした段階では,無料版Counter-Strikeとほぼ同じだ つい先日,大規模なアップデートがあり,グラフィックスとサウンドが大幅にパワーアップした。こんなにかっこ良く!

テロリストが落としたC4爆弾を見つけると,無線で報告したあと,近場に隠れて待ち伏せしたりする。BOTのくせに! BOTはかなり賢く,グレネードや閃光弾といった投げモノも扱ってくる。不自然なインチキっぽい動きもあまりない


追加されたシングルプレイはBOT戦とシナリオモードの2種類

「Tour of Duty」では,3マップクリアすると次の3マップが遊べるようになる。右には英語でクリア条件が

 ゲームモードは三つあるが,その中でメインとなるのが,"Tour of Duty"と呼ばれるBOT(CPUが操作する擬似プレイヤー)と模擬マルチプレイをしつつ指定ミッションをクリアしていくモードだ。各マップにはそれぞれ"ピストルで敵を一人倒す"や"人質をすべて救出"といった,クリア条件がいくつか設定されており,スキルや性格,所持武器の異なる味方チームメイトを手持ちのポイント内で選び,18マップ×4難度の全72マップを攻略していく。難度が低いうちは敵BOTの能力も低く,初心者には良い練習相手といったレベルなのだが,難度が高くなると敵BOTが強くなるばかりか,クリア条件も"フラッシュで怯んでいる敵を倒す"とか"スナイパーライフルで7人倒す"など,どんどん厳しくなってくる。ひたすら戦い続けるだけのゲーム展開が続くので飽きるのも早いかなと思っていたのだが,このクリア条件の設定と良くできたBOTの動きで,実際にプレイしてみると結構飽きずに長期間楽しめた。

 さて,本作が気になる人にとって最も知りたい点が,このBOTの挙動だろう。これまでも「Counter-Strike」用にフリーのBOTプログラムはいくつも公開されてきたが,今回はさすがValveが公式に出したBOTだけあって,ほかとはレベルが違うなぁと感心するシーンが多かった。マルチで定番の狙撃ポイントに潜んでみたり,暗がりで待ち伏せしてみたり,足音や銃撃音にちゃんと反応して行動したりと,実に人間くさく,賢く動く。しかも本作のBOTは学習機能も持ち,何度も繰り返しプレイすることで,そのマップの戦い方をより細かく覚えていくらしい。作戦パターンも,スタートラッシュで失敗したら今度は待ち伏せ気味に変えてみたりと,試行錯誤してくる。なかなかナマイキだ。ただ,極々たまにまぬけな動作,たとえば木箱に乗って2階の窓へ飛び移ろうとして失敗,延々その動作を繰り返して時間切れ,なども見せたりする。だが,そういった点を考えても今回のBOTは良くできており,ビギナーが背後からBOTの動きをチェックしているだけでも,かなり勉強になるだろう。

無線での連携を覚えないと,クリア条件である人質救出の前に,味方が勝手に動き回って敵を殲滅したり……

 そしてもう一つのシングルプレイが"Deleted Scenes"という,いわゆるストーリーモード。これは開発中にボツになったゲームを,オマケとして遊べるようにしたものだ。中身は「Half-life」のシングルプレイを「Counter-Strike」の設定でプレイしてるような感じで,従来の「Counter-Strike」的ゲームモードである"Tour of Duty"と比べると,グラフィックスもプレイ感覚もまったく異なる。何十発撃たれても死なない自分や敵ボス,スクリプト配置され突然出現する敵,大ざっぱなバランスに過剰演出気味なゲーム展開など,ぶっちゃけていえば"良くできたHalf-lifeのシナリオMOD"といったプレイ感だった
 このモードでは世界各国の特殊部隊となり,全11ミッションをクリアしていくわけだが,舞台は南アフリカやフィリピン,ロシアに日本なども登場する。日本ステージなんかはよくある"外人から見たヘンテコ勘違い日本"といった趣で,敵キャラが日本語喋ったり女子高生が人質になったりと,なかなか突っ込み所満載でバカゲーっぽくて楽しい。筆者の場合,この手のシングルプレイは大好きなので結構喜んでプレイできたが,硬派でストイックな「Counter-Strike」を期待して遊ぶと,違和感というか期待外れなものになるだろう。

クリア条件はさまざま。ショットガンやスナイパーライフルなど,あらゆる武器の使い方を覚えながら進んでいく 「Deleted Scenes」は,一方通行のマップを撃ちまくりで進む。盛り上がらない「Half-life」を遊んでいるような感覚?

ヘリに追われてダクトに逃げて,映画のような過剰な演出てんこもり。ラストのボスが戦闘機なんてステージもある 日本ステージ,敵ボスは可憐な女子高生を人質に! でもなんか声がオバサンっぽい女子高生だ。騙されないぞ


Counter-Strikeといえばインターネットでのマルチプレイ!

爆弾を仕掛け,音が聞こえた方を向いて待ち伏せをするテロリスト。この芸が細かいBOTに金が払えるなら買いだっ!

 ところで(買ってない人には余り知られていないが),本作でインターネットのマルチプレイをするには,「Steam」の導入が必須である。Steamとは対戦サーバーの検索やゲーム管理などを行うプログラムで,導入すると自分が購入,登録したゲームはネットから自動でダウンロードされる。英語が苦手な筆者には,これが結構ややこしかった。いまだによく分からない点もあるのだが,どうやらSteamでインターネット対戦可能なSteam版「Counter-Strike:Condition Zero」と,CDからインストールするパッケージ版「Counter-Strike:Condition Zero」は別モノ扱いで,一時はSteam版とパッケージ版の二つをHDDの別フォルダにインストールして,HDD容量をかなり無駄に使ったりしていた(後で無駄に気づいてパッケージ版を削除したが)。
 ちなみにSteam版だと,CDなしでも起動できる代わりにインターネットに接続している環境でないとシングルプレイすら遊べない(Steamが認証しなければゲームが立ち上がらない)。パッケージ版はSteamの認証が不要なのでインターネットに繋がっていない環境でも遊べるが,ゲームの起動にはCDが必要になる。Steamは今でこそだいぶ安定してきたものの,以前はかなり不安定で悪評もよく聞いた。またSteamサーバーそのものがメンテナンスなどでダウンしていると,ゲームができなくなってしまう。以前,世界的なゲーム大会でSteamがうまく稼働せずゲームが中止になった例もあり,Steamをイマイチ信用していない筆者はこのあたりがちょっと心配だ。せっかくパッケージ版を買ったのだから,Valveの目指すところがどこにあるにせよ,「Counter-Strike 1.5」みたいな形でSteamなしで対戦する方法も残して欲しかった気はする。

 で,結局このゲームは"買い"なのか? はっきりいうと,今まで「Counter-Strike」に興味があったけど,ハードルが高くて手が出せなかった初心者から中級者なら,かなりオススメ。買いである。「Counter-Strike」を遊んだことがあるけど,ネットでボコボコにされてすぐ辞めた,なんて人(実は筆者)もぜひ本作でBOT相手に練習して,対戦再デビューをしてほしい。もし「Counter-Strike」をすでにバリバリ遊び込んでいるコアゲーマーなら,良くできた公式BOTにお金が払えるなら買いだろう。でもまぁ,それだけを考えるとコアゲーマーには高い買い物かもしれない。個人的には,アメリカで38ドルくらいで買えるゲームなので,日本でももう少し定価が安かったら嬉しかったなぁとか思ったり,思わなかったり。でもValve/Vivendiだし,ロイヤリティとかもハチャメチャに高いんだろうなぁ……。

Steamは,サーバーの検索やゲームの管理,自動アップデートのほかに,メッセンジャーのような機能もある マルチプレイは,要するに昔ながらのCounter-Strikeだ。全部BOTを設定して,一人で遊ぶこともできる BOTは,落ちている武器への持ち替えや,状況に応じて武器の使い分けもしてくる。かなり芸が細かい

このページを印刷する

▲上に戻る

■発売元:カプコン
■価格:7140円
■問い合わせ先:052-760-0335(平日13:00〜21:00)
■動作環境:Windows 98SE/Me/2000/XP,PentiumIII/500MHz以上(800MHz以上推奨),メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量 730MB以上(フルインストール時は4GB以上),メモリ32MB以上搭載したビデオカード(64MB以上推奨),DirectX 9以降
■Screenshots集(#1#2
forGamer内記事一覧

(C) 2004 Valve Corporation. All rights reserved. Valve, the Valve logo, Half-Life, Counter-Strike, the Counter-Strike logo and Counter-Strike: Condition Zero are trademarks and/or registered trademarks of Valve Corporation. The Turtle Rock logo and "Turtle Rock Studios" are trademarks of Turtle Rock Studios, Inc. Sierra and the Sierra logo are registered trademarks or trademarks of Sierra Entertainment Inc., in the U.S and/or other countries. Vivendi Universal Games and the Vivendi Universal Games logo are trademarks of Vivendi Universal Games Inc. All other trademarks are the property of their respective owners. L.L.C

http://www.4gamer.net/

>http://www.4gamer.net/