アクション 4Gamer.net Review
 

ほぼすべてのメルセデス・ベンツが登場するドライブゲーム

メルセデス・ベンツ ワールドレーシング
Text by UHAUHA
26th May. 2004

リアルに再現された29モデル127車種のベンツを乗り回せ

ダイムラー・クライスラー社からデータ提供を受けて再現された車は,モデリングから挙動まで完璧だ。買うとなるとちょっと手を出しにくい高級車のベンツを乗り回せるのが本作の魅力

 一般的に"ドライブゲーム"というと,F1やラリーなどが真っ先に思い浮かぶだろう。しかしちまたでは「Need for Speed」シリーズのように,市販車をモデリングし,挙動などをリアルに再現したものも非常に人気が高い。オーバーランドが日本国内で発売する「メルセデス・ベンツ ワールドレーシング」(以下,ワールドレーシング)は,街でも多く見かける"メルセデス・ベンツ"を題材とした,いわゆる市販車をモデリングしたタイプのドライブゲームだ。
 一般に街中を走っているAクラスからSクラスはもちろん,普通ではドライブすることすら難しいレーシングモデル,ビンテージモデル,プロトタイプカーまで,メルセデス・ベンツの新旧29モデル127車種(ほぼ全車種)が登場する。モデリングや挙動特性などはダイムラー・クライスラー社からデータ提供を受けて再現されているため,まさにメーカーお墨付きのタイトルだ。

 実際にプレイしてみると,同じモデルの車でも排気量や駆動輪の違いなどによって微妙に挙動が異なり,ちょっと走れば「お,さっきのと違うぞ」と気づくはずだ。路面コンディションや天候の違いも挙動変化として現れるので,プレイしてみると実に自然な挙動と感じられる。市販車ということもあり全体的に穏やかな挙動なので,ドライブゲームをあまりプレイしない人でも簡単に走らせることができるだろう。
 車のダメージの再現については,ボディが視覚的に破損していくのは当たり前として,ダメージが蓄積してくるとエンジンが吹けなくなる,一方にハンドルが取られるといったことも再現されている。挙動についてはシミュレーション寄りにするか,アーケード寄りにするか,オプション設定により1〜100%の範囲で細かく調整可能なので,リアルな挙動で楽しみたい人にも,ゲームチックに振り回して乗りたい人にも幅広く対応できるのはポイントが高い。キーボードやゲームパッドでも十分楽しめるが,ステアリングを使ってプレイすれば,実際にベンツを運転しているかのような感覚でプレイできるのでお勧めだ。

 ゲーム中には車の色を変更できたり,細かいスペックが確認できたりと,ベンツファンがニンマリしそうな機能もある。いろいろな車を使ってプレイしたいところだが,最初から全車種やコースが使えるわけでなく,レースに参加して経験を積み,ロックを解除していくことで使用可能になる車種やコースもある。

レースで使用する車は自由に選択できるので,コースに合わせてチョイスしたいところだ 車ごとのハンドリング,最高速,エンジンレスポンスの違い以外に,パワーや駆動輪の違いも再現されている 車体へのダメージは画面左下のメーターで確認できる。崖下に転落すれば大きなダメージは避けられない

前輪駆動のAクラスでも,アーケード寄りの挙動にすれば簡単にリアを流して楽しむこともできる 故石原裕次郎氏も所有していた"300 SL Gullwing"を駆り,白銀の世界で熱いバトルを楽しめる ジャンプ時にサスが伸び切ってタイヤが逆ハの字状態になるところまで,リアルに再現されている


レースに勝つだけではNo.1ドライバーになれない

中身はレーシングカーのCLK GTR 1998 Road-Going Version。強烈な加速やクイックな挙動を楽しめる

 ゲームモードは,ライバルとなるドライバー達を相手にNo.1ドライバーを目指す"キャリア"(Career)と,分割画面で二人対戦が楽しめる"マルチプレイ"(Multiplay)の二つ。マルチプレイはオンラインプレイに対応しておらず画面分割対戦のみとなるため,遊べるのは事実上キャリアモードのみといってもいいだろう。
 キャリアモードのメインとなるのがチャンピオンシップだ。日本,メキシコ,オーストリア,アルプス,アメリカ,テストコース,ホッケンハイムサーキットの7ステージ計117コースで繰り広げられるチャンピオンシップ(16種類)を戦う。1レースでは1周2〜3分のコースを3〜5周することになるので,全レースを走破するには相当な時間がかかる。

 チャンピオンシップというと,レースに勝ってポイントを取り,総ポイントで競い合うというイメージがあるが,ワールドレーシングでは"評価"(Status)というものがあり,この評価によりドライバーズランキングが決まる。評価は順位(Placements),経験(Experience),功績(Performance),技術(Skill),公正さ(Fair Play),規律(Discipline)の項目により算出される。
 経験を上げるには多くのレースをこなし,技術を上げるにはライバルを追い抜いたりドリフト走行をすればよい。逆にコースをショートカットすれば規律が下がり,ライバルに接触すれば公正さが下がる。レースに勝つだけではなく運転技術も評価され,ランキングに影響を与えるのが特徴だ。

 AIカーを相手にプレイすると,どうしても追突して押し出したり,大きくコースをショートカットしたりとアンフェアなプレイスタイルになりがちだが,グッと我慢してフェアなレースを心がける必要がある。ちょっと大げさだが,今までのプレイスタイルをあらためる必要が出てくるかもしれない。

 チャンピオンシップのほかに,ミッションと呼ばれる制限時間内に決められた課題をクリアするモードがあり,これは「A 210を使ってライバルに勝つ」「G 500を使って制限時間内にアルプスの山頂に到着する」「制限時間内に決められた順番でゲートを通過する」など48種類の課題に挑戦する。またレースコースのライン取りを学べるトレーニング,好きなコースを使ってレースを楽しめるシングルレース,自由気ままにドライブを楽しめるフリー走行なども用意されている。

評価詳細を見て,評価の問題点を確認する。ドライバーの頂点に立つためには把握しておきたいところだ オフロードコースでは傾斜やバンプで挙動の乱れが大きく,ライバルとの接触に注意したい 水しぶきが上がる雨のレースでは,先頭以外の視界は最悪。路面も滑りやすいため,コースアウトに注意したい

時間内にすべてのゲートを通過するミッション。傾斜のキツいところを通ると車速が落ちてロスタイムとなる トレーニングでは走行ラインが表示される。レースとなると思い通りのラインを走れないが,参考にはなるだろう レースは周回コースだけでなく,ラリーのように決められたルートを走破するというレースもある


純粋にドライブを楽しみたくなる広大なステージは必見

夕焼けに浮かび上がる富士山。日本というと鳥居のイメージなのか,鳥居が随所に見られた

 本作でとくに感動したのが,実はステージとコースだ。ワールドレーシングでは,日本やアルプスなどのステージは各地の特色を生かした広大な箱庭で再現されていて,その箱庭の中に張り巡らされた道路網を使い,すべてのコースが作られている。
 この箱庭はフル3Dで処理されており,遠方に霞んで見える山も道路を辿りつつ車を走らせれば,しっかりそこまで辿り着けるところが凄い。高低差の表現も,山頂から見おろす下界の風景の美しさに思わず息を飲んでしまうくらいリアルだ。見えるところはすべて行けるといっても過言ではなく,道のないところを突っ走り,日本では富士山に登る……なんてこともできてしまうのだ。
 日本には富士山のほかにもロケット発射台,厳島神社の鳥居と若宮大路の三つの鳥居,東大寺 大仏殿などもあり,レースに疲れたらフリープレイで好きな車をチョイスし,自由気ままにドライブを楽しめば新しい発見があるかも知れない。とにかく実在する街を再現してしまったと錯覚させられるほど素晴らしい出来映えで,このステージを見るだけでもプレイする価値はあるだろう。

 F1やラリーのようにギンギンにかっ飛ばすゲームも楽しいけれど,たまにはワールドレーシングのようなゲームをノンビリとプレイするのも悪くない。全車種に乗るためには相当な時間と労力が必要になるが,美しい風景の中に作られたバリエーション豊かなコースがあるので,それも苦痛ではないだろう。
 シミュレーション派からアーケード派まで楽しむことができ,さらにオートブレーキやコーナーの進入速度を示す矢印などアシスト機能も手伝って,チビッコから重度のドライブゲームファンまで幅広い層で受け入れられるワールドレーシングは,ベンツオーナー&ファンならずとも多くの人にチャレンジしてもらいたい作品だ。

打ち上げを待つH-IIAロケット。種子島宇宙センターがモチーフになっているのは間違いないだろう 高い位置を飛んでいた飛行船も,山に登れば手が届きそう。細かい部分だが高低差を感じられるシーンだ ヘリ,戦闘機,UFOが飛び交うエリア51でのレース。レース中はUFOの動きに驚かされることも……

コクピットビューでプレイすれば一段とリアリティが増す。この視点では両サイドを見ることも可能だ 穀物畑に浮かび上がるミステリーサークル。レース中には気づかなくてもリプレイを見ると気づくことも多い 高層ビルが建ち並び,人々が溢れる市街地コース。建物の陰影処理などによりリアリティが増している

すべてのコースで天候の変化が再現されている。ランダム以外に晴れ,曇り,濃霧,雨に固定することも可能だ

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■メーカー:オーバーランド
■問い合わせ先:support@overland.co.jp
■発売日:2004年5月28日
■価格:9240円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(Pentium 4/1.6GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),空きHDD容量 1.6GHz以上,メモリ32MB以上搭載したビデオカード(GeForce4 Ti 4200/4600以上またはRadeon9600以上推奨),DirectX 8.1以降
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