Enlight Software社から2004年冬の発売が予定されている「Scrapland」は,あのアメリカン・マギー(American
McGee)氏が手がける最新作。暗さとコミカルさの同居する未来世界で,"Grand Theft Autoシリーズ"よろしく自由にアドベンチャーが楽しめるのである。 ロボットばかりの未来世界を飛び回る,
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Scraplandは,ロボットばかりが登場するコミカルなSFアクションだが,'40年代からハリウッドで主力を担っていたノワール映画風の探偵モノの要素も加えられている。「ブレードランナー」や「フィフス・エレメント」のような殺伐としながらもネオンサインで溢れた未来型の都市空間を動き回り,ほかのロボット達と会話したり戦闘したりして楽しんでいく。このあたりの作風は,Aliceにもつながるマギー氏らしさといえるだろう。
ゲームシステムはGrand Theft Autoシリーズを思わせるような自由度の高さで,レポーターとして情報を嗅ぎ回り,新しい情報や捜査の進展を求めて街中を移動する。警官やロボットギャングなど職業によってファクション(いわば派閥)が分かれており,ミッションによっては一方に味方したり,裏切ったりという行動も必要となる。ただし,メインストーリーが進んでいくにつれて,すべてのファクションを敵に回すことになりそうだ。
プレイヤーに与えられた特殊能力は,ほかのロボットの人工知能に侵入して,リモートコントロールすることだ。これによって,プレイヤーのミッションパターンが増える。自分で事件解明の糸口を探し回らなくても,警官ロボットに乗り移って本部の情報を得られるし,犯罪組織の一員になってメインストーリーにはまったく関係のないミッションで小遣い稼ぎをしてもいい。本当にお金が欲しければ,銀行ファクションの徴収ロボットになって集金し,そのまま自分のものにしてしまうという手段もあり得るのだ。
Scraplandには15種類のロボットが登場する予定で,プレイヤーはどのロボットの人工知能にも侵入できる。ステルスに向いているものとか,攻撃や相手の懐柔に向いているものなどさまざまなので,その日の気分によって好きなミッションを選択していけば良いのである。
人工知能プログラムを書き換えは至って簡単で,好みのロボットのそばによってインタフェースのアイコンで指示すればいい。とはいえ,人工知能の書き換えはスクラップランドでは犯罪行為にあたるため,付近に警官ロボットがいないように注意しなければならない。ビホールダ(beholder)と呼ばれる特攻警察のような戦士系もいるが,ディトリタスがレベルを上げれば,リモートコントロール可能だろう。ビホールダで闘技場へ乗り込めば,かなりの賞金を得られるに違いない。
金銭を貯めることで,ディトリタスは小型のスペースシップを購入できる。このスペースシップはさまざまな種類が用意されており,武器やエンジンなどアップグレード用のスロットも備わっている。
スペースシップは,巨大な都市空間の移動用として使えるのはもちろんのこと,レースに出場することもできれば,海賊行為を働いて"乗っ取る"ことも可能だ。レーザーガンからレイルガン,ロケットランチャーなどを搭載でき,ドッグファイトができるのは魅力的。とくに,スペースシップによるレースや対戦は,PCやXbox
Live!のオンラインモードでいかんなく実力を発揮できるものと予想される。
グラフィックスはMercury Steam社独自のゲームエンジンで描かれており,現時点の画面写真を見るだけでも,かなりハデめの効果も期待できそう。MODコミュニティへのアプローチも行われる予定で,新しいシナリオやミッションを制作できるエディタも公開されることになりそうだ。
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Scraplandはすでに2年余りの開発期間を経ており,Enlight Software社は北米で2004年第4四半期にリリースすると発表している。最近はやりのGTA風味のあるアクションアドベンチャーが,ロボットの動き回る未来世界で,どこまで表現されるのか。ダークながらもコミカルな演出も満載で,「American McGee's Alice」がツボにはまったプレイヤーなら,遊んで間違いない一本になるはずだ。
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