第壱話 ヤンキー,大地に立つ 世界は,剣と魔法に満ち溢れ過ぎてしまった。そこかしこで極めて日常的に冒険者は死から蘇り,ドラゴンは起き上がっては倒される。存在したはずの異世界感はすっかりと影を潜め,まるでお茶の間のシーンのように冒険活劇が展開される。 しかし,その風潮に甘んじないMMOが登場した。肩で風切るRPG。それがこの「疾走、ヤンキー魂。」だ。この世界にはスライムもゴブリンも魔法もない。あるのは,学ランと裏地の刺繍とチョーパンと箱乗りだ(多分)。 早速バリバリ全開に遊んでみよう。
その壱 インストール夜露死苦 まずは,インストールから始めてみないことには何も始まらない。ヤンキー的には天に唾しながらくだを巻きたいところだけど,それだと脳内プレイしか出来ないので,面倒な作業から頑張ってみよう。 まずは公式サイトからクライアントをダウンロードだ。いや待て。よくみると公式サイトも妙に凝ってて,公式祭斗と書いてあったりする。なるほど,ヤンキーといえば変な漢字。徐々にこのゲームの目差すところを理解しながらインストールを開始する。 インストールが終了してからすかさず実行,"アップデート"を押すと,次々とバージョンアップファイルが読み込まれていく。つまり,これまでにそれだけ多くの友の血が流れパチキが叩きこまれたってことだ。軽く先達の死に黙祷を捧げつつ時を待つ。待つ。待つ。……おい,なげーぞ,これ。バージョン00140から開始された履歴は,既に00180を通過。なるほど,分かった。これはこの時間を利用してヤンキーイメージを膨らませとけっていう親心に違いない。特攻の拓でも読みながら,ヤンキー言語センスを磨いておけ,と。
おいおい。この原稿書いてる今は10月末ですよ。"大花火大会"ってなんだろう。ヤンキーの脳内は年中夏,ということだろうか。あとなんだかよく分からないけど,この記述を見る限り,これまでのヤンキーはバイクをわざわざ降りて礼儀正しく神妙にガソリンスタンドに入っていたらしい。 なんて弱気なヤンキーだこれなら日本制覇もそう遠くないな。などと考えながら待ちぼうけるとようやくアップデートが終了。次は,華麗な分身であるヤンキーを誕生させる番だ。
その弐 アカウント作成! 公式祭斗の左側にあるID取得をばりっと押すと,画面はID取得サイトへと移る。と,何やらむやみやたらにずらずらと長い利用規約が書かれている。どうせならここも 第1条 むやみにパンピーを殴らない としてくれると,よりヤンキー感が高まって良かったのに。企業的にはどうかと思うけど。などと考えながらざっくり中味に眼を飛ばしてからボタンを押す。と,今度はBB-IDとパスワードなるものが要求される。ちょっと面倒くさいぞ。世の道を踏み外してヤンキるのも結構大変だ。 指定されたリンク先に飛び,BB Games の会員登録を行う。またもや似たような会員規約が表示されたりするが,飽きたからポチ。だんだんとヤンキーが板についてきたようだ。尋問に答え登録すると,指定したアドレスにメールが飛んでくる。 この作業が終わると,ようやくゲームIDの登録が可能。これが実際に「疾走,ヤンキー魂。」で使用するIDとなる。あとはゲーム開始ボタンを押せば準備完了! 待ちに待ったヤンキーライフの始まりだ!
その参 ツッパリデビュー 15個あるワールド(ゲームサーバー)から適当に選んで決定すると,ヤンキーメイキング画面に進む。ここで指定出来るのは,性別・名前・チーム名・特攻服・チャリ・髪型・服・靴の七点。勢いのままに適当かますのもオッケーだが,一応オンラインマニュアルに目を通して,不良のしきたりを確認しておこう。この世界に生きる以上,仁義は重要だ。 ふむふむ。伝承称号ってのは,ここでは指定できなくて最初は「かけだし」のまま。ヤンキーライフをより満喫すると変わっていくものらしい。ほかの外見部分は見映え以外にとくに影響がなさそうだ。思うがままにかっちょいい分身を作ってやろう。 ふう,やっと来週から,ヤンキーライフのスタート。
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