第弐話 誰これ? 前回無事に大地に降り立った魔鬼憎が見た光景は……, 十二畳の部屋に立ちつくした自分と変なおばさん。誰も話し相手がいないにも関わらず,三途の川の石積み並みに,延々とただひたすらに謎の身振りを続けている。 誰これ? ひょっとすると,これは母親なんだろうか。うん,そうだな。そういう設定なのかもしれない。そういえば,前に一度試しログインしたときに何か喋っていたような気がしないでもないが,余裕で会話を飛ばしまくったので何一つ覚えちゃいない。しかし,相手もいないのに喋っている様はマジで怖い。早く正気に返ってほしい。なにより,こっちより先にラリられてはヤンキーの立場がない。とりあえず,愛情でできたガンをおざなり気味に飛ばしながら,画面構成をチェックすることにしよう。
試しにこの中から「ガレージ」を押すとこんな画面が表示された。 チャリかよ!胸の奥から,己のヤンキーライフに対する不安がビッグウェーブ気味に押し寄せてくる。ヤンキーだよ? オレ。しかも赤いママチャリだ。特攻服でこのチャリに乗るのは,雪国ゆえにバイクに乗れないという北海道の徒歩暴走族並に嫌すぎる。しかし,この辱めに耐えてこそ立つ瀬があるかもしれないので,ここはじっと我慢することにしよう。 画面右下には残りXXX日という表示が。某宇宙戦艦がなんちゃらクリーナーを持ってくる期限を表してるわけでもなさそうなので,きっと何か別の意味があるのだろう。まぁ地球滅亡の日まではかなり時間があるようなので,しばらくはほったらかしておくことにしよう。 次週は,「魔鬼憎,街デビュー!」 (C)2003 ATELIER DOUBLE Inc./Community Engine Inc. /SQUARE ENIX CO., LTD.All Rights Reserved. |