ウルティマX オデッセイ プレスカンファレンス

 

1 / 2

 2003年11月18日,エレクトロニック・アーツ社内にあるビデオ会議システムを使って「ウルティマX オデッセイ」(以下,UXO)のプレスカンファレンスが行われた。
 ビデオ会議システムとは,遠隔地の2か所を高速回線を使って結び,映像と音声をやり取りするというもの。今回は,同社の会議室に日本のメディア陣,向こう側には同作の開発を行うオリジン・システムズの開発陣という構図となった。同作のシニア・プロデューサーのリック・ホール氏と,リード・デザイナーのジョナサン・ハンナ氏から現在の開発状況などを聞くことができた。

 

 UXOは,コンピュータRPG界に大きな影響を与え続けてきたウルティマシリーズの最新作。シリーズ10作めを表すXがタイトルに付けられていることからも分かるように,シリーズの番外編的扱いの「ウルティマ オンライン」とは一線を画すMMORPGだ
 UXOが正当なシリーズ後継であるのは,本作が"徳"の概念を持ったゲームシステムとなっていることからもうかがえる。プレイヤーは,徳の具現者アバタールを目指すというのが目的となる
 今回のプレスカンファレンスは,2003年8月にサンフランシスコで行われたイベントから変更された部分の発表という意味合いが強く,UXOの基本的な概要説明等はなかった。この変更点は,イベントでのプレイヤーや内部テスターから出された問題点とプレイアビリティの改善といったものが多くなっているようだ。
 開発はかなり進んでいるようで,現在はβテストに向けての作業中とのこと。種族もフォーダとピクシー以外はすでにテスト中で,近いうちにこれらの2種族のテストに入るらしい。全体的なバランス調整も同時に進んでいるらしいので,そろそろ仕上げの時期というところだろうか。

 

より戦略的となった戦闘システム

 UXOでの戦闘は,モンスターをターゲットしてから戦闘開始を明示的に指示するというような,半自動で行われるのではなく,アクションゲームのように1クリックで1回の攻撃というタイプを採用している。ただし,UXO独特のシステムとしてマウスボタンを連打していればよいというものではなく,時間によって回復するモメンタム(勢いとか運動量とか訳される)によって攻撃時の命中率が変わるので,タイミングよくポンポンとクリックする必要があるのだ
 いままでは,攻撃モメンタムと防御モメンタムの2種類があったが,「あまり防御をしている感覚がない」という意見から防御モメンタムは廃止となった。つまり,タイミング良くクリックするのは攻撃時のみで,防御は右ボタンをクリックし続けるという形式となったというわけだ
 この変更に伴って,モメンタムの使い方に面白いアイデアが投入された。それは,魔法の詠唱モメンタムを蓄積しておき,そのあとで発動することによってダメージなどの効果がアップするというもの。カンファレンスでは"F1"キーにライトニングの魔法(アビリティ)を割り当てた場合を例に挙げて説明していたが,簡単にいえばシューティングゲームの"タメ撃ち"に似ていて,F1キーを押し続けてモメンタムが溜まったときにキーを離せば,通常よりも攻撃力の高いライトニングが発動するのだ。

 また,コンビネーションという連携技システムも発表された。これは,格闘ゲームの"キャンセル技"に似ていて,Aというコンビネーション可能な魔法を発動後,一定時間内にBという魔法の詠唱を開始すると,詠唱モーションの一部がカットされて素早く発動するということらしい
 惜しむべくは,これが多人数での"協力"では発動できず,一人のプレイヤーの"個人技"に留まってしまっていることだ。パーティ内でコンビネーションを出せるようにすれば,戦闘がより楽しいものになるのではないだろうか。
 また,マウスを重視した"アクティブな戦闘システム"なので,チャットでのコミュニケーションが取りづらいという印象もある。戦闘中に不利な状況になったときに「逃げよう」とチャットをしていると,その間は攻撃や防御ができないからだ。マクロにセリフが登録できるかもしれないが,それはそれでちょっと味気ないといえるかもしれない。

 戦闘面のバランスにも手が加えられた。これまでのα版ではSTR(体力),DEX(敏捷性),INT(知力),CON(統率力)の各ステータスを使って,戦闘時のダメージ,命中率,回避率などを算出していたが,その計算式が変更されたのだ。これに伴い,ハイペースで行われていた戦闘が,モンスターを倒すのに以前よりも時間がかかるようになり,より戦略的になるとのこと

ユニークなクエストシステム

 UXOのクエストシステムは,かなりユニークなものとなっている。これはオデッセイ・アドベンチャー・システムと名付けられていて,プレイヤーが積極的に探して見つけるクエストだけでなく,NPCが近寄ってきて"頼まれる"ことで自動的に発生するクエストもあるのだ
 これもα版から変更点があり,これまではプレイヤーの徳に対応したクエストをランダムに選ばれたNPCが運んでくるという感じだったが,NPCではなくアバタールに変更された。このクエストはパブリックエリアでのみ発生するとのことだ。
 クエストで訪れるダンジョンは,すべてプライベートエリア扱いとなり,パーティを組んでいるプレイヤーたち以外の影響は受けなくなる。またダンジョン内で得られるのは徳のポイントのみで,キャラクターのレベルアップに必要となる経験値は得られないとのこと。おそらく,プレイスタイルとしては,通常のレベリングでの募集ではなく,同じクエストを受けた人を限定してパーティを組んでいくというものになりそうだ。
 なおこのクエストには時間制限があり,クエスト遂行中にはタイマーが表示されるとのこと。クエストを受けると,30分〜1時間のタイマーがカウントダウンを始めるので,時間切れになる前に急いでクリアしなければならない。
 時間切れやパーティが全滅してしまうとクエストは失敗となるが,街にいるジプシーから,失敗したクエストや以前クリアしたクエストを"お金で買う"ことで,再挑戦できる機能も追加された。クエストでしか徳を上げられないようにシステムを変更したことへの対応策だろう。

(C) 2003 Electronic Arts Inc. All rights reserved.

次のページへ