ネヴァーウィンター ナイツ日本語版

ネヴァーウィンター・ナイツ日本語版
「オーロラ・ツールセット」入門講座
第1回:オーロラ・ツールセット入門編

Text by 大路政志

 さて,連載1回めとなる今回は,オーロラ・ツールセットのインタフェース・メニュー説明と,お手軽ダンジョン作成法を紹介する。NWNを購入したら,まっさきにモジュール作成に取りかかりたいという人は,この記事で予習しておこう。

※今回の記事はNWNver0.6を用いて作成しているため,製品版とは仕様が異なる場合があることをご了承ください。

オーロラ・ツールセットの画面の見方

  オーロラ・ツールセットは,基本的に以下の四つの画面で構成されている。パレットで選択したパーツをエリアディスプレイに配置すると,そのパーツがモジュールコンテンツに追加されていく。なお,各種オプションや基本メニューは,一般的なアプリケーションと同様にツールバーやアイコンで選択可能だ。

1:ツールバー
各種コマンドが表示される

2:パレット
モジュールに配置できるパーツが表示される

3:モジュールコンテンツ
作成中のモジュールに配置されたパーツやエリアが表示される

4:エリアディスプレイ
作成中のモジュールがビジュアルとして表示される

←画面をクリックすると説明が表示されます

 

ペイントアイコンの説明

 パレットの上部には,モジュールにさまざまなパーツを配置するためのアイコンが並んでいる。これらのアイコンを左クリックすることで,パレットに各種パーツを表示させるわけだ。各アイコンの意味については,下の解説を参照してほしい。<ph6使用。写真上段左が地形アイコン(1),上部右がスタート地点アイコン(2)。下段左がクリーチャー(3)で,以下は順に並んでいます。できれば乗せ文字お願いします>

1:地形アイコン
壁や床,門といった地形タイルを配置するためのアイコン。まずはこのアイコンを選択して,エリアの大ざっぱなデザインをする

2:スタート地点アイコン
モジュールを開始したときにプレイヤーキャラクターが出現するポイントを設定するためのアイコン

3:クリーチャーアイコン
NWNに登場するすべてのモンスター(NPC含む)リストを表示するためのアイコン。多種多様なクリーチャーが用意されているが,NPCなら種族ごとに,モンスターなら「アンデッド」や「人型生物」といった具合にカテゴライズされているので,検索性は良好。プロパティから,オリジナルクリーチャーの作成もできるぞ

4:ドアアイコン
マップ上にドアを設置するためのアイコン。ドアのプロパティで,ドアの耐久力や錠/罠の有無,エリア間移動などを設定可能

5:エンカウンターアイコン
マップ上の任意の場所にエンカウントの設定を行うためのアイコン。遭遇するクリーチャーのグループ,強さ,再出現の有無,再出現の間隔などを設定可能。クリーチャーアイコンで固定モンスターだけの配置もできるが,モジュール作成の手間を省くためや,ゲーム展開のアクセントとして,ワンダリングモンスターを出現させたい

6:アイテムアイコン
武器や防具,消費アイテムやシナリオアイテムなどを配置するためのアイコン。プロパティから,オリジナルアイテムを作成することも可能だ

7:商人/商店アイコン
商店(商人)を作成,配置するためのアイコン。闇市,武具店,魔術用品店といったジャンルを変更すると品揃えを変更でき,また売り物の内容を自分で決めることもできる

8:配置用オブジェクトアイコン
木,頭蓋骨の山,宝箱などを配置し,マップの細部をデザインするためのアイコン。モジュールに生活感や臨場感を付与するために不可欠

9:サウンドオブジェクトアイコン
マップ上に音源を配置するためのアイコン。人の笑い声や悲鳴,茂みをかき分ける音などを効果的に配置すれば,シーンに臨場感を与えられる

10:トリガーアイコン
罠やエリア・トランジション(エリア間移動)などを配置,編集するためのアイコン。今回の記事では使用しない

11:ウェイポイントアイコン
ウェイポイント,マップノート,持ち場などを配置,編集するためのアイコン。こちらも今回の記事では使用しない

 

超お手軽ダンジョン作成法

【1】まずは冒険の舞台となるエリアを作成しよう

1:モジュール名の決定
オーロラ・ツールセットを起動し,ツールバーの「ファイル」から「新規」を選択すると,新しいモジュールを作成するためのモジュールウィザードが表示される。モジュールの名前を入力して次へ進もう

 

2:エリアの名称/タイルセットの決定
モジュール名を決定すると,続いてエリア・ウィザードが表示される。ここではモジュールの舞台となるエリアの名称と,タイルセットを選択可能。タイルセットには「ダンジョン」や「森林地帯」「炭坑/洞窟」といったジャンルが用意されており,それらのジャンルを選ぶことによって,モジュールに配置できるタイル(地形やオブジェパーツ)が変化するようになっている。自分が作りたいエリアの雰囲気に近い項目を選んで,次へ進もう(ここでは「ダンジョン」を使用)

 

3:エリアサイズの確定
エリアのサイズは,極小(2×2)から大きい(16×16)までの4段階が用意されているが,奥行き/横サイズに直接数値を入力しての作成も可能。宿屋や商店などの屋内マップを作りたいのなら極小サイズで構わないが,ある程度の冒険(戦闘と宝探し)を行う場所なら,普通(8×8)サイズがちょうどいいだろう。

以上で,モジュール作成の第一段階は終了。続いて「エリア・プロパティ」を起動して照明効果やサウンドなども設定できるが,今回は割愛する。

 

【2】エリアの形を整え,パーツを配置していこう

1:エリア・ウィザードで基本的な設定を済ませたら,いよいよ本格的なデザインを開始。まずは地形アイコンを選択し,「廊下」や「床」を使ってダンジョンのマップを作ってみよう。デフォルトだとエリアの中央に小さな部屋があるだけの状態だが,今回はそれを活かし,東西南北に通路と部屋を作ってみた。写真を見れば分かるように,「廊下」と「床」を用いるだけで,簡単にダンジョンの下地を作ることができるのだ。

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2:ダンジョンの下地ができたらモンスターの配置に移ろう。モンスターを配置するには「クリーチャーアイコン」か「エンカウンターアイコン」を使うのだが,簡便さを考えるなら「エンカウンターアイコン」がオススメ。パレットからモンスターの強さと出現グループのタイプを選択し,モンスターを出現させたいエリアを範囲選択すればOKだ。その後,確定したエンカウンターエリア上で右クリックしてプロパティを開けば,モンスターの出現数や出現回数,再出現の周期などを設定できる。今回のようなお手軽ダンジョン作成時ならば,「出現設定」を連続,「再出現待ち時間」を300〜600秒,「無制限に再出現」をオンに設定しておくといいだろう。

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3:モンスターが出現する部屋に財宝を配置したいなら,「配置用オブジェクトアイコン」→「入れ物・スイッチ」→「宝箱」を選択し,好きな場所に置こう。配置した宝箱を右クリックしてプロパティを開けば,錠や罠の有無,宝箱の耐久性,中に入っている財宝のタイプなどを設定できる。また,「所持品編集」というボタンを左クリックすれば箱の中身を直接設定できるので,「お金が欲しい」「魔法の武具が欲しい」など,目的がハッキリしている場合にうまく利用したい。

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【3】超お手軽ダンジョン完成! 実際にプレイしてみよう

 たったこれだけの作業で,冒険の舞台となるダンジョン,障害となるモンスター,目的となる財宝を作成できる。もっとも,今回サンプルとして作成したダンジョンは「モジュール」などと呼べないほど簡素なものだが,トレジャーハントやキャラクターの鍛錬,仲間内でのマルチプレイ目的ならば,この程度のダンジョンにちょっと手を加えるだけで,十分遊べる「世界」に仕上がる。
 ゲームの遊び方は人それぞれ。困難を前提とした勝利を好むプレイヤーもいれば,「ゲームなんだからストレスは感じたくない」というプレイヤーだっている。NWNもオーロラ・ツールセットも,決してマニアだけのものではないのだから,「ゲームバランスうんぬん」に頭を悩ませるよりも,まずは自分や仲間が「純粋に楽しめる」世界を作ることが大切なのではないだろうか。もしキミがファンタジーRPGが好きならば,同じく一人のファンタジーRPGファンとして,NWN日本語版とオーロラ・ツールセットを激しくオススメしておく。

ごくごく簡単な作業で,戦闘と財宝集めを目的とするモジュールが作成できてしまう。マップの構成や出現モンスターのバランスを変更したり,鍵のかかった扉や罠の仕掛けられた宝箱を設置すれば,飽きのこないダンジョンを作成可能だ

 というわけで,今回はこのへんでお開き。次回以降は,引き続きダンジョン作成法を紹介しつつ,オリジナルアイテム・モンスターの作り方やポートレートの自作法,プレイヤーキャラクター作成(育成)のポイントなどを解説していこうと思う。オーロラ・ツールセットを軸にさまざまな楽しみをお伝えしようと思っているので,興味のある人は,発売日を街ながらぜひチェックしてみてほしい。

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