forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<4> 1/6

Galleon:Island of Mystery with Toby Gard

Text&Photo by 奥谷海人 

 イギリスを訪問し,注目の作品を開発するクリエイター達にインタビューするにあたって,どうしても会ってみたい男がいた。トビー・ガード(Toby Gard)氏は,Confounding Factors社の設立者にして,現在開発中の3Dアドベンチャーゲーム「Galleon:Island of Mystery」のリードデザイナーでもある。しかし,少なくとも日本のゲームシーンにおいては,決してよく知られた名前ではない。それもそのはず。彼は,過去に手がけた作品は1作しかないのだ。
 しかし,その"過去の1作"の名を聞けば,PCゲーマーでなくとも十分に納得できるに違いない。1996年に発売されると同時に大きなファン層を獲得し,世界中でシリーズの総計が2000万本という大ヒットになったばかりでなく,去年はアンジェリーナ・ジョリー主演でハリウッド映画にもなったあの作品。そう,あのイギリス産ゲームのデザイナーなのだ。
 日本でも知名度の高いゲームであるため,いまさら細かに説明することもないだろうが,権威ある考古学者の娘にしてモデルもこなすという主人公ララ・クロフトが,インディ・ジョーンズばりに世界中を旅して財宝を見つけだすというゲームである。本国の人気は驚くばかりのもので,ランドローバー社が「ララ・クロフト エディション」という限定モデルのジープを市場に投入したり,あのU2がコンサートツアーのマスコットキャラとして使用するなど,一世風靡を巻き起こしていた。もっとも,ただ人気だけで引っ張っていったゲームではなく,パズルを解いて進めていくという一般的なアドベンチャーゲームにシューティングゲームの要素も積め込むことで,「アクションアドベンチャー」というジャンルを打ち立てたのもトゥームレイダーなのである。

 さて,トゥームレイダーとララ・クロフトの生みの親でもあったトビー・ガード氏は,1作めが発売されてしばらく後に,Core Design社から離れ,同作品のリードプログラマーと共にConfounding Factors社を創設。その理由は後々書くことになるのだが,筆者は以前から,彼の新作である「Galleon:Island of Mystery」のことが非常に気になっていた。実はこのゲームはGamecubeとXbox市場への投入を念頭に企画が進められており,PC版は「その後にリリースされる」ということだけしか決まっていない。それでもなお,トゥームレイダーの作者が何を考え,どんなゲームを作っているのだろうかということには,目を向ける必要があるといえるだろう。とくに,あの人気作を手掛けたデザイナー自身が広く認知されていない分だけ,どんな次の手を打ってくるかが見どころでもある。

Core Design社在籍時代に「トゥームレイダー」とララ・クロフトを世に送り出した張本人。現在は,彼の考える3Dアクションアドベンチャーを究極的に進化させた「Galleon:Islands of Mystery」を制作している。彼自身にとっても,大きなチャレンジとなっているはずだ ララ・クロフト追撃なるか? Galleonは,大海を住処にするキャプテン・ラマが主人公の3Dアクションアドベンチャー。トゥームレイダー以上にゲーム世界の独特の雰囲気を演出することに気を配っており,手足の長いキャラクターと少し歪んだような建物が印象的だ

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