ほかのゲームジャンルと同様に,シューティングにも愛好者特有の共通認識があり,それを踏まえて作られるコテコテの作品もある。「RADIO ZONDE」はその好例といえるかもしれない。場数を踏んだ人が見せる理解と対応の妙を,プレイヤーにはっきりと要求する作品だ。 画面は縦長の平面に全てが収まり,地上物や地形といった概念もないシンプルな作りである。しかしそれに対して,自機の設定はやや複雑だ。2種類のショットを使い分けながら,近接攻撃と各ステージ1回のボムを有効に利用する。パワーアップはない。こう書くと簡単に見えるが,ゲームの展開が極めてスピーディなため,その場で考えて使い分ける余裕など,とてもない。 選べる機体が多いのも,最初は少々ややこしい。標準2機体に追加4機体の計6機体。標準機体と追加機体では,攻撃システムやゲーム設定の制限が異なるなど,プレイ内容に影響する。まずは基礎練習として演習ステージで全ての機体を試し,自分に合う機体を探して操作に慣れておくことが重要だ。 敵の攻撃は典型的なばらまきの弾幕系で,どのステージでもザコ・ボス問わずプレッシャーを感じられる。このゲームの「らしさ」を痛感できる部分だ。その場で対処を考える余地などなく,プレイヤーが次の展開を知っていることを前提に難度がチューニングされている。 ゲームの展開は道中と最後のボスで1ステージの,全8ステージ。ステージを順番に巡るだけでなく,ステージ個別のプレイも可能だ。練習を繰り返して対処を最適化していけば自力での攻略も夢ではないが,正直なところ苛烈な難易度であり,苦難は避けがたい。それなりに人気があることの証か,インターネット上にはリプレイデータを公開している攻略サイトなどもあるので,そうした情報を利用して,敵の攻撃パターンを整理したり,操作の方針を決めたりするのがいいだろう。 システム周りの設定は起動時のチェックボックス,プレイ内容に関する設定はメインメニューの[SWITCH]項目で行う。難易度設定は基本的に固定だが,上級者向けの設定が2種類隠されている。あとは機体の設定に関する項目と,スコアの表示オプションがあるだけだ。操作系については,武器チェンジと近接攻撃のボタンを起動時に入れ換え可能なのが特筆すべきところか。このあたりはできればもっと柔軟性が欲しかった。 自機の選択と使いこなしの複雑さ,熾烈な敵の攻撃に圧倒されてしまいがちだが,弾幕の外見的な美しさとスピード感には魅力がある。動揺や焦りを抑え,少しずつ積み重ねたテクニックを冷静に駆使する。そんなCOOLなプレイを望むプレイヤーにお勧めしたい。 (八重垣那智)
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