●AquaMark AquaNoxというゲームを基にしたベンチマーク。Shaderの多用,ツボを押さえたテスト項目など,見るべき点は多い。 海中の様子を泡や靄(藻?)で表現しているので,表示オブジェクト数は極端に多い。その結果,DrawPrimitiveが非常に多くなってしまっている。使用ポリゴン数は通常10万から20万程度で,重くなって50万程度という感じ。とくに重いジオメトリをテストする場合のみ,最大150万ポリゴンくらいまで描画している。最初のテストでは積極的にOcclusion Cullingしているので,使用ポリゴン数はほかの半分くらいで済んでいる感じだ。Occlusion Cullingというのは,見えないポリゴンは描かないように処理する技術。ほかのシーンよりフレームレートは高めなのでかなり効果は出ているようだ。 全体は細かいテストに分かれているのだが,複雑なシーンに目的とする要素を組み込んでいる感じなので,目的とする部分単体の評価結果として用をなしているのかいま一つ不明。それぞれのテスト項目は最近の流行を押さえており,トピックごとに数値化されるのはうれしいところだ。 NVPerfHUDで見ると妙にギザギザしたラインになっており,GPUがかなり遊んでいる感じ。使用マシンのCPU性能を上げたほうがよいということか。
●N-Bench3 AMD制作のこのベンチマークソフトも,ちょっと変わった一品だ。基本的に3D表示のデモ系ソフトなのだが,初期のN-Benchはジオメトリ演算をすべてCPU側で行っていた。現実的な3Dゲームだと,もはやありえない設定だが,高負荷の浮動小数点演算処理という意味でCPUでのジオメトリ処理を性能指標とするのも悪くはないだろう。3DMarkでのCPUテストもそんな感じだ。ただし,最近のN-Benchからはそういったことを明言している文章が見受けられないので,ジオメトリはビデオチップに任せるようになっているのかもしれず,いま一つ不明確だ。 実際にベンチを動作させて見てみると,CPUメーカーのベンチだけあって,ある程度のビデオカードならGPUの待ち時間は比較的多く,CPUの処理能力を評価するにはよい指標かもしれない。ただし,インテルプロセッサの固有機能を使った場合の処理については疑問視されている。日本AMDのスタッフが作成したものなので露骨にアンフェアなことはしてないとは思う。ver.1の頃はマルチメディア命令系の処理はソースコードが公開されていたような記憶もあるのだが。なお,NはNinjaのNだ。
●ゆめりあベンチマーク ナムコのいわゆる萌え系ゲーム「ゆめりあ」のベンチマークプログラム。基本的にアドベンチャー式のギャルゲーなので動作自体に高いスペックを要求されるゲームではないのだが,キャラクターを3Dモデリングしているので,それなりのクオリティで楽しみたい場合にはそれなりのビデオカードが必要。 気づいたときには思わず「無駄!」と叫んでしまったのだが,最高画質モードではキャラクターに全面Shader2.xと背景にShader1.x,綺麗画質モードではキャラクターにShader1.xと背景に固定機能,それなり画質モードでは全面固定機能というシェーディングがされている。意外にも,ビデオチップの酷使具合は相当なものだ。 AthronXP/2000+クラスのCPUでもCPUのGPU待ち時間が常時発生しているので,CPU性能は数値にほとんど影響しないだろう。ほぼ純粋にShader性能とピクセルフィルレートで勝負は決まるものと思われる。GeForce 6800GTでのテストでは,ほぼビデオメモリクロックのみに依存するという結果が出た。コアクロックを上げても下げても,ほぼ違いはない。 このように,非常に分かりやすいShaderの使い分けがされているので,ShaderModelごとの性能指標としては優れたベンチマークソフトといえるのかもしれない。
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