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ジャイアンツ シチズンカブト完全日本語版(β)
Text by トライゼット 西川善司
27th Mar.2001

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※本レビューは,英語製品版の画面と日本語β版の画面が混じっています。ご了承ください

 
がんばれ! 負けるな! ジャイアンツ(野球にあらず)

 2000年のE3において,発売前の試作段階の公開にもかかわらず"Best Action Game"賞に輝き,世界中のアクションゲームファンを魅了したGiants:Citizen Kabutoの日本語版「ジャイアンツ シチズンカブト完全日本語版」(以下"カブト")の日本語版が,ついに発売されることになった。
 英語版は2000年末に発売されていながら,日本語版は二度も(いや,三度か?)発売延期されてしまったため,国内ゲーマーからは「本当に発売されるのか」という声があった。しかし,幾度もの障害にもめげず,無事に発売されることは間違いない。期待して待っていよう。

"カブト"はグラフィックが凄い
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 まずは,グラフィックに注目してもらいたい。"カブト"では,体積比にして100:1というケタ違いに大きさの違うキャラクター達が入り乱れて戦うわけだが,そのエピックスケールを実現するグラフィックスエンジンがとにかく凄いのだ。オープンフィールド型の3Dゲームで,遠くの背景を1枚画でごまかさず,フル3Dグラフィックスで構成したゲームは,おそらく"カブト"が世界初なのではないだろうか。2000年のE3で開発チームの1人が「このエンジンの完成だけで数年かかった」と言っていたが,確かにこの画面を見ると,それも納得できる。
 そしてグラフィックス関連でもう一つ特筆すべきなのが,GeForceシリーズやDirectX 8.0で話題となっている「Per Pixel Shading」と呼ばれる,PCゲーム用テクノロジーとしては新しいレンダリング技術をいち早く取り入れた点だ。
 これは,これまで頂点単位で処理して,あとは算術補間することでごまかしていた陰影処理を,ドット単位でちゃんと行おうというものだ。簡単にいうと「いままでポリゴンポリゴンしていた光の表現が,よりリアルになっている」ということだ。
 もちろん,GeForce系以外のビデオカードでも動作はする。が,実際の開発現場ではGeForce2 GTSをリファレンスとして制作していたようなので,"カブト"のグラフィックを100%堪能したいのであればGeForce系のビデオカードを用意しておいたほうがいい。というより必須かも。
 それと,CPUパワーもかなりのものを要求してくるので覚悟が必要だ。イマジニアがなんと言おうが,重いものは重い。筆者の手応えとしては,
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  • ・1024×768ドット・32ビットカラーで快適にプレイするならば
     1GHzオーバーCPU+GeForce2 GTS
  • ・800×600ドット・32ビットカラーで快適にプレイするならば.
     800MHz級CPU+GeForce2 MX
  • ・640×480ドット・32ビットカラーで快適にプレイするならば
     600MHz級CPU+ハードウェアT&L対応ビデオカード
といったところか。

"カブト"ってどんなゲーム
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 はるか昔遠い銀河の向こう,とある広大な星雲の中心に「アイランド」と呼ばれる惑星が存在した。この星は生命に満ちあふれ,資源も裕福であったことから,遠く離れた星域にすむエイリアン達からも憧れの惑星として存在していた。
 このアイランドに住む,魔術を操る原住生物「シーリーパー」(詳細は「こちら」)は,いずれ予想されるエイリアン達からの惑星侵略を想定し,巨大生物兵器「カブト」(詳細は「こちら」)を創造する。ところが,自我に目覚めたカブトは自由を求め,シーリーパーの支配から逃れようとして叛乱を起こす。そして持って生まれたその闘争本能から,アイランドを自分達の種族で独占するために,全ての生物を敵と見なし攻撃を開始するのだった……
 シーリーパーとカブトとの戦いは熾烈を極め,ついにシーリーパーは海に追いやられてしまう。シーリーパーとカブトとの戦いの最中にやってきたのが,「メッカリン」(詳細は「こちら」)と呼ばれる種族。彼らは恒星間航行技術を持つほどの高度な科学文明を持っており,アイランドを植民惑星にしようとやってきたのだ。
 惑星アイランドの覇権を巡り,"力"対"魔術"対"科学"が互いにぶつかり合うという,究極の三つ巴戦の幕が今切って落とされたのである……。

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 プレイヤーは,メッカリン,シーリーパー,カブトといった種族を操り,敵を殲滅することになるのだが,それぞれが別のゲームの主人公といっていいほど,各種族の能力に大きな特徴がある。この異なった能力のぶつかり合いがこのゲームの魅力だ。  「ゲームバランスはどうなのよ?」というのが,我々心狭き日本国民の持つ第一の疑問なわけだが,はっきりいってしまえば「そんなものは最初から存在しねぇぜ,ベイベー」というのが答えである。「ええっ」と目をぱちくりしてしまう人もいるだろうが,"カブト"は最初からハンデ戦を前提にしているのである。だからこそ面白い。これはゲームデザインにおいて逆転の発想といっていいだろう(というかPCゲームでしかできない冒険という見方もあるが)。
 1対1対1で考えると,やはり巨人カブトは圧倒的な体力と攻撃破壊力で最強。次いで,高速移動能力と水に潜ることで体力が回復する能力,さらに多彩な魔法攻撃手段を持つシーリーパー。そして武器は強力だが基本能力に乏しいメッカリンは最弱だ。
 プレイヤーの力量が等しいと仮定した場合,マルチプレイではカブト:シーリーパー:メッカリン=1:3:5くらいの比率がちょうどいい。このアンバランスなキャラクター性能設定こそが,プレイヤー間のチームワークや有機的な新戦略を産みだす必然性を与えてくれるわけで,この面白さは確かに今までの3Dタイプの対戦ゲームではなかったものだ。一度ハマリ出したらちょっとやそっとでは抜け出せない?