ストラテジー 4Gamer.net Review
 
聖女を救うべく邪悪に立ち向かうアクションアドベンチャー
ナイト オブ ザ テンプル 日本語版
Text by UHAUHA
6th Oct. 2004


ゲームは単純明快,邪悪な敵を倒し聖女アデールを救え

敵もしっかり防御してくるため,簡単に敵を倒すことはできない。敵の攻撃を防御しつつ,効率良くダメージを与えるために,さまざまな攻撃方法を駆使して戦うのが本作の基本的なプレイスタイルだ

 剣戟アクションの魅力は,武器を振り回し,現れる敵を次々に斬り倒していく"爽快感"だ。「ナイト オブ ザ テンプル 日本語版」も,そんな剣戟アクションの一つ。海外ではすでにPC版とコンシューマ版が発売されており,PC版だけでも累計15万本もの売り上げがあるとか。全体を含めるとどのくらいの売り上げになるのか分からないが,面白くなければこの数字は出てこないだろう。今回ライブドアから発売される本作は,ゲーム中のテキストすべてが日本語化されており,英語の苦手な人も安心してゲームに没頭できる

 ストーリーは単純明快。聖なる力を持つ女性アデールが,邪悪な力を持つ司教ロード・ビショップに連れ去られる。囚われの身となったアデールを救うべく立ち上がったのが,主人公の聖騎士ポールである。ロード・ビショップより放たれた邪教徒やモンスター達が,ポールを殺そうと行く手を阻む。次々と襲いかかるヤツらを蹴散らし,ロード・ビショップを倒し,無事にアデールを救うことがゲームの目的だ。

 ゲームは中世ヨーロッパ風のステージから始まり,修道院,洞窟,そして決戦の舞台へと移り変わっていく。最初から最後まで一本道の流れになっており,挿入されるムービーシーンも手伝って映画を観ている感覚でプレイできる
 ゲーム中には簡単なパズル要素もイベント的に仕込まれているが,頭を捻らなくても解けるものばかり。ゲームを単調にしないための措置といった程度のもので,ソッチを求める人には物足りなく感じるかもしれない。個人的には変にややこしいパズル要素を入れられるよりも,メインである戦いを堪能できて悪くないと感じた。また高いところから落ちたりといった"不慮の事故"で死ぬことはなく,死ぬとすれば敵に倒されたときのみ。死ぬたびに自分の腕の未熟さを痛感するだろう。

 ゲーム画面は,エリアによりカメラアングルが切り替わる三人称視点。最近ではEAの「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」など国内外のアクションアドベンチャーで多く採用されている仕様なので,今さら戸惑うこともないだろう。登場する計29ステージは美しい3Dグラフィックスで再現されており,光の陰影効果なども使い臨場感を醸し出している。ゲーム全体の雰囲気は,ちょっと古いが「プリンス・オブ・ペルシャ 3D」に似ているというのが分かりやすいかもしれない。

ゲーム画面は自動でカメラアングルが変わるが,多くのアクションゲームで採用されており戸惑いは少ない プレイヤーが操る聖騎士ポールはかなり重装備。これだけの装備を身に付けていても,油断すれば死が待っている 建物内や地下では光や陰影の使い方がうまい。全体的に曲がりくねった構成で,ただの移動にも緊迫感が

パズル的要素もいくつか仕込まれているが,必ずヒントが用意されているため,あまり悩む場面はないだろう 次の展開が表示されるが,ゲーム自体は一本道なため,普通に先に進むだけでクリアできてしまうのが少々残念 戦う相手は人間だけではなく,亡霊やモンスターを相手にすることもある。見た目は不気味だが意外と弱い


さまざまな武器や攻撃を使いわけ,邪悪な力を粉砕しろ

剣や斧を振り回すだけでなく,弓を使った攻撃も可能だ。このときは一人称画面となり,狙いを定めて矢を射る

 使用できる武器は剣,斧,メイス,弓の4種類。打撃武器は素早く攻撃できる"通常攻撃"と,通常攻撃より大きなダメージを与える"強攻撃"を使い分けて戦う。武器により振りの早さや与えられるダメージは異なるが,大きな違いは実感できないのが残念。ストーリーが進むと,より強力な武器が入手できたり,コンボ攻撃(コンビネーション)も使えるようになるなど,バリエーションに富んだ戦いが可能となる。
 また,敵の攻撃をかわすための"防御"もあり,これが非常に重要な役割を果たす。というのも,嬉しいことにこの防御機能,キーさえ押していれば"全方向"からの攻撃を防げる。ヤバいと思ったら防御キー,これだけで敵の通常攻撃をすべて防ぐことができるのだ。当然そのぶん敵の攻撃は著しく激しいので,この防御をタイミング良くうまく使いながら戦いを続けなければならない。

 唯一の飛び道具である弓矢は,ほかの武器とは使い勝手が異なる。弓を持つと一人称視点のシューティング風画面に変わり,移動が出来なくなる。ただし敵に与えるダメージは大きく,頭などピンポイントで当てると簡単に倒せるため,使いどころは限られるが面白い武器だ。正確に狙いを付けるにはマウスを使う必要があり,キーボード/ゲームパッドでプレイしている人にはちょっと不親切かもしれない。

 通常の攻撃のほかに,発動キーを押しながらほかのキーを押すことで使用できる特殊攻撃と神聖魔法がある。特殊攻撃は,防御破壊攻撃や跳び斬り攻撃など4種類。使用すると特殊攻撃ゲージ(青ゲージ)が消費されるが,時間が経つと回復するため何度でも使用可能だ。一方の神聖魔法は,治癒(サルタリス)や衝撃波攻撃(サクシフィカス)など,こちらも4種類。神通力ゲージ(白ゲージ)が溜まっていれば使用でき,自然回復されず敵を倒す(信仰度を上げる)ことでゲージが増えていく。そのため使用頻度は限られるので,使いどころを見極める必要がある。

コンボの種類などはいつでも確認可能。実際のモーションも見て,きちんと使えているかチェックしておこう 特殊攻撃は,複数が相手のときに効果的。特殊攻撃ゲージが消費されるが,これは自然回復されるので多用できる 高低差のあるステージが多いが,崖から落ちたりはしない……。あればもっと緊張感のある戦いができたかも

敵を一掃することも可能な神通力(神聖魔法)。神通力キーと対応するボタンを押すと発動する。左からアルマオラム(一定時間無敵),サクシフィカス(衝撃波),パーキュシオ(電撃)


手強い敵をどう倒すかがポイント。戦術を使いこなせ

死が近づくと鐘の音が聞こえ始め,死が訪れるとレクイエムをBGMにスローモーション処理。悲しすぎ

 40種類以上も登場する邪教徒やモンスターは,動きや攻撃方法がそれぞれ異なり,いずれもかなり手強い。というのも,何も考えずに武器を振り回してもすべて防御されてしまうのだ。しかも敵にもライフバーがあり,初級モードとて一撃で倒せることはない。そのため一対一でも熱い戦いになりがち。とくに複数の敵を相手にするときには,攻撃テクニックがポイントになる。

 本作の戦闘は,いかに攻撃を当てるかがキモ。防御して間合いを取りつつ,通常攻撃やコンボ,特殊攻撃,神聖魔法を組み合わせ,攻撃をヒットさせるコツを掴むと俄然面白みが増してくる。攻撃が当たると,後ろによろけたり,うずくまったりするモーションが入るため,次の攻撃が当たらないことが多い。敵を壁際に追いつめてコンボ攻撃を使ったりすると効果的だろう。
 ときには防御の睨み合いになることも多く,敵が斬りつけてくるタイミングで攻撃する,防御破壊攻撃からコンボ攻撃に繋げる,神聖魔法で周囲の敵を一掃するなど,状況に合わせてさまざまな戦術を駆使しなければ,かなりの苦戦を強いられる。苦戦の末,膝をついて苦しんでいる敵にニンマリしながら最後の一撃を加えるときには妙な達成感を感じられるはずだ。

 またこの手のゲームでは,斬りつけている感覚が画面から伝わるかどうかが結構重要。本作は武器と武器のぶつかる感触や,敵を斬りつけたときの手応えが映像と音で力強く伝わってくる。そのうえ,斬りつける(斬りつけられる)たびにブシュっと血しぶきが飛び,地面や壁が赤く染まっていく。この血の印象が強烈で,あるとないとでは受ける印象がまったく異なる(血しぶきはオン/オフ可能)。
 またキャラクターの動作はモーションキャプチャで再現されており,躍動感も肉感もリアルそのもの。同じ攻撃にも複数のモーションが用意されており,リアルでダイナミックな動きがゲームに華を添えている。
 全体的にシンプルでオーソドックスすぎる感もあるが,映画のように進んでいくストーリーの中で,単にバサバサと敵を斬りつけるだけでなく,ある程度戦術的な戦闘を楽しめる本作。難度初級〜標準なら,この手のゲームが苦手な人でも敵を倒す気持ち良さを存分に味わえる。腕に自信のある人は難度上級や超上級で,本作ならではの剣技の駆け引きを存分に楽しんでみるのはいかがだろうか。まずはデモ版「こちら」をプレイして,戦いの面白さを感じてみてほしい。

 最後に……一つだけ。
 ゲームモードが「ストーリーモード」だけというは,いかがなものだろうか。敵を倒すのが気持ちいいゲームには仕上がっているのだが,いくらなんでもゲームモードが一つ,ゲームの流れは一本道,これではすぐに飽きてしまいかねない。
 実は海外で発売中のPS2版には"格闘場",Xbox版にはXbox Live!を使った"サバイバルモード"と,機種に特化されたゲームモードが搭載されている。名前/内容から判断する限りでは,どちらもPC版に搭載されていないほうがおかしいとも思えるモードだけに,そこはかなり残念だ。


敵の動きが激しいため,接近戦で弓矢を当てるのは難しい。逆にこちらが大きなダメージを受けることが多い ステージにあるオブジェクトを破壊したり敵を倒したりすると,隠されていた回復薬(光る壺)が出現することもある 複数の敵がいる場合は,近くにいる敵が自動でロックオンされる(黄色い円)。手動でロックすることも可能だ

防御と攻撃の攻防が熱い。段差で上になる場合,防御機能でも防げないこともあり,そのあたりにも注意が必要だ モーションキャプチャによるキャラの動きと音,飛び散る血しぶきが同期し,戦いの手応えが感じられる ステージ後半にはモンスターが登場。中ボスクラスの敵も登場するので,油断していると簡単に殺されてしまう

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■メーカー名:ライブドア
■価格:6279円(税込)
■発売日:2004年10月8日(金)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,Pentium III/750MHz以上(Pentium 4/1.2GHz以上推奨),メモリ128MB以上(256MB以上推奨),HDD空き容量500MB以上(1GB以上推奨),ビデオメモリ32MB以上(64MB以上推奨),DirectX 8.1以降
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