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英雄ロンメルの軌跡を辿れ! |
ブリッツクリーグ
〜バーニングホライズン〜日本語版 |
Text by 虎武須(Kobs) |
22th Sep. 2004 |
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■ロンメルになりきれる良質のキャンペーン
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キャンペーンはいくつかミッションからなる章に別れている
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近代戦争史において,エルウィン・ロンメル以上に敵味方関係なく尊敬を受けた人物はいないのではないだろうか。常に戦局を一番把握しやすい最前線で指揮をとり,臨機応変かつ迅速に部隊を動かすことができたため,彼の部隊はどこからともなく現れる「幽霊師団」と呼ばれ,ロンメル本人も「砂漠の狐」の異名を持っていた。圧倒的に不利な条件でも数々の作戦で勝利した卓越した戦術だけでなく,人命を尊重し,捕虜を人道的に扱ったことでも知られる。敵味方を問わず尊敬を受けた,まさに軍人の鑑ともいえる存在だったようだ。
ユダヤ人部隊を捕虜にしたとき,総司令部からの即刻射殺せよとする命令書をその場で焼き捨てたという有名なエピソードを始め,敵国イギリスの首相チャーチルですら,苦汁を舐めながらもロンメルを「きわめて勇敢で巧みな敵将」「偉大な人物」「聖人」と呼んだほどなのだ。
そんな英雄ロンメルが率いた作戦の数々をキャンペーンを通して楽しめるのが,ズーから発売された「ブリッツクリーグ〜バーニングホライズン〜日本語版」(以下BBH)だ。
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チュートリアル画面。細かな指令はここでチェック
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すさまじい砲撃。防衛も決して容易ではない
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オープニングムービーからのひとコマ。士気が高まる
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兵器辞典で各ユニットの性能がチェックできる
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■単体で遊べるパワーアップ版!
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お馴染みの降下部隊。つい見とれて手を休めないように
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BBHは,正確には昨年発売された「ブリッツクリーグ」(以下BK)の追加アドオンパックなのだが,BK本体がなくともプレイできるパワーアップ版となっている。追加キャンペーンだけでなく,新たに56種類もの新規ユニットが追加され,BKでは登場しなかった日本軍が追加されている点も見逃せない。またAIがより賢くなって,戦線の弱点をついた攻撃をしたり,地雷の撤去をするなどの改良が加えられている。
しかし残念ながら,BBHではプレイヤーが日本軍を操作することはできず,連合軍側でプレイするシングルミッションの敵国として登場するだけにとどまっている。BBHはシングルプレイ専用なので,マルチプレイでも日本軍を選択できないのは非常に残念で,今後の展開に期待したいところだ。
BKについては「こちら」に詳しく解説されており,基本的なシステムは変わらないので,ここでは簡単におさらいしておこう。
BKは,第二次世界大戦の激戦を再現したRTSだ。クォータービュー視点で,非常に緻密で美しく描かれたマップ上に3Dで描写されるユニットが展開する。最近の多くのRTSで見られる大袈裟な爆発といったビジュアル的に派手な演出や,ゲームとしての面白さを盛り上げるためのギミックも控えめで,リアル寄りの設定といえるだろう。ほかの多くのミリタリー系RTSと同様に生産の概念はなく,代わりに一定条件によって発生する援軍という要素によってユニットが追加されるが,基本的には最初に用意されたユニットを運用して勝利を目指すというスタイルだ。
BBHはそのBKの拡張第1弾で,今後は連合軍のパットン将軍を扱った,Blitzkrieg:Rolling Thunderの発売が予定されている。
前述のとおり,本作では,ドイツ軍の英雄ロンメル元帥を中心としたキャンペーンで,史実に基づいて彼の第二次大戦中に辿った軌跡が構成されている。キャンペーン内のミッションは,ロンメルが英雄への階段を登っていくステップを一段一段描いている内容だ。エルアラメインやトリポリ,トブルクなどロンメルがもっとも活躍したアフリカ戦線や,イタリア戦線でのシチリア島,そしてロンメルが最後に指揮したノルマンディーなど,全18ミッションから構成されている。
ミッション内容は,進撃,空爆,暗殺,目標奪取,防衛,そしてユニットを逃がすための敗走など,非常にバラエティに富んだもので,最後までプレイヤーを飽きさせない。とくに撤退ミッションなどは,これまでのミリタリーRTSでもあまり扱われていない内容で興味深いものだ。
ちなみにBKではユニットがレベルアップに相当する「昇進」をするのだが,キャンペーンでは昇進の内容も次のミッションに持ち越される。またキャンペーンの時系列が進むに従って,新しく開発された兵器などが使用可能になるので,昇進したユニットに新しい兵器を配備して師団全体を強化していく楽しみもあるのだ。
また,日本軍も登場するシングルミッションではシンガポールやビルマなどの戦場が用意され,これに伴った新規の地形データや建物も追加されている。
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キャンペーンの年代が進むと,次々に新しい兵器が開発される
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Ctrl+Rキーで射程距離をいつでも確認できる
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シンガポール戦。日本軍で戦ってみたいものだ
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昇進したユニットを失うのは非常に痛い
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■秋の夜長に,かの英雄に想いを馳せよう
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アフリカ戦線。砂嵐も起こる
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英雄だったロンメルも,その最期は悲愴たるものだった。生涯ナチスには入党せず,ヒトラーにユダヤ人虐殺をやめるよう嘆願したり,正義も勝ち目もないこの戦争をやめるべきだと進言したりといった行動が,反乱分子として捉えられたのだろうか。ロンメルはノルマンディでの負傷のため療養中だったにもかかわらず,ヒトラー暗殺計画が失敗に終わったときに首謀者として祭り上げられてしまったのだ。
反逆罪で裁判を受けるか,自殺をするかの選択肢を与えられた彼は,嫌疑に対して弁明すらせず家族の安全を保障することを条件に自殺を選んだ。家族一人一人に最後の言葉を贈ったあと,自宅裏の林で服毒し52年の生涯を閉じた。
BBHでもロンメルの人間性については数多く記述されているのだが,キャンペーンをやり終えると1本の映画を見終わったような気分にさえなった。こういった感情をプレイヤーに抱かせるのは,キャンペーンのシナリオがよくできている証拠だといえよう。ぜひミリタリーという範疇にとらわれずに,多くのファンに楽しんでもらいたいキャンペーンだ。
次期拡張パックのBlitzkrieg:Rolling Thunderの発売も予定されているうえ,Blitzkrieg 2もすでに開発中であり,これからのシリーズの動向にも注目したい。BKをプレイしたファンだけでなく,拡張パックとはいえ,スタンドアロンでもプレイできるお得なパッケージなので,BKを見逃していた人にもプレイしてみてほしい。
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ミッション前にはユニットのアップグレードが可能
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航空機はとても厄介。対空措置がなければ一方的にやられてしまう
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もちろんチュートリアルも用意されている
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ミッションで功績があると勲章が授与される
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■メーカー名:ズー
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/366MHz以上,メモリ 64MB以上,HDD空き容量 2.4GB以上,8MB以上のVRAMを搭載したビデオカード,DirectX
8.1以降
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