ダイナソア〜リザレクション〜

「ダイナソア〜リザレクション〜」は,どう生まれ変わったのか?
その2

Text by Iwahama

 前回に引き続き,日本ファルコムの新作ソフト「ダイナソア 〜リザレクション〜」(以下,ダイナソアR)のプレビュー記事をお伝えしよう。ただこのプレビュー記事は,PC-88版の「ダイナソア」(以下,オリジナル)と比較するという構成上,オリジナルを知っている人が対象となる。そのため先に,オリジナルを知らない人のために"ダイナソア"自体の紹介をしておこう。

 ダイナソアは,疑似3Dで描かれたダンジョン内を冒険するシングルRPGだ。プレイヤーは主人公アッシュを操り,旅の途中で仲間になるパーティメンバーと共に戦いながらストーリーを進めていく。本作の最大の特徴は,そのダークなストーリー&雰囲気だろう。例えば主人公のアッシュは,戦いに参加すると敵のみならず味方にさえも死を招くため"死に神"と呼ばれているし,ほかのパーティメンバーも同様に影のある人ばかり。またゲーム中のストーリーも,全体的に悲しいトーンに覆われている。しかしこの雰囲気こそが,オリジナル発売当時に多くのユーザーの心を掴んだ要因であるのは間違いない。最新作ダイナソアRは,このオリジナルの雰囲気を損なうことなく現代に蘇らせた作品である。

 さて,先日ついにダイナソアRのマスターCD-ROMが届いた。オリジナルとの検証記事の前に,このマスターバージョンで気付いた点を挙げておこう。
 まず,お詫びから。当サイトのダイナソアRの第一報で主人公アッシュの名前を変更可能と紹介してしまったが,残念ながらこのマスターでその機能は見当たらなかった。まぁストーリーに重きを置く本作の場合,名前が変更でいないほうが自然ではある。
 前回のプレビュー記事や,撮り下ろしのScreenshots集で使っていたβ版からの変更点も多い。例えば画面周りの設定はこれまでゲーム中から変更していたのだが,マスターではあらかじめスタートメニューにある「環境設定ツール」で行うようになっている。また,アッシュ達が使う"技術"など,戦闘時のエフェクトもいくぶんハデになったようだ。

システム

 ダイナソアRは,疑似3Dで描かれた世界を冒険するRPGである。これはゲームの根幹をなす部分であり,当然オリジナルから変更されていない。では,どういった部分が進化したのだろうか? インタフェースと戦闘システムは別に項目を作ったので,ここでは筆者が気付いた細かい変更点を挙げていこう。

 まず前回でもお伝えしたように,ゲーム中,常に周囲のマップが表示されるようになった。パーティが通った場所,通っていない場所が色分けされているため,ダンジョン探索がずいぶん楽になっている。少なくとも筆者は,ダイナソアRでは古典的な「マッピング」という行為は不必要だと思う。
 アイテムの管理方法も変更されている。オリジナルでは一人8個ずつ,5人パーティで計40個のアイテムを持ち運びできたが,ダイナソアRでは基本的に全員で全アイテムを管理することになった。そのためイベントでパーティメンバーが抜けたときに,そのメンバーが持っていたアイテムが使えなくて困るということはなくなった。なお,ダイナソアRでも持てるアイテムの総数は40個だが,装備中のアイテムは別なので,多少余裕ができている。
 またこれも細かいことだが,セーブできるスロットが8個から100個へと格段に増えたのも嬉しい変更点である。ちなみにダイナソアRはWindowsのマルチユーザーでの使用に対応していて,ログオンするユーザーごとにセーブデータが持てるようになっている。1台のPCを使って複数人でダイナソアRを遊ぶようなことがあったとしても,どれが自分のセーブデータか分からなくなるということはないわけだ。

インタフェース

アッシュの左にある巻物のようなものががMAPアイコン,その隣の六芒星がGUARDアイコン,ワッツの右の扉がEXITアイコン,そしてその右がSETアイコン

 ダイナソアRは,マウスのみで操作可能……というのはWindowsソフトなのだから当たり前である。しかし筆者がなにげに嬉しく思ったのは,キーボードだけでも全操作が可能なこと。またキャンセルコマンドがEscキーだけでなくテンキーの「0」にも割り当てられているので,なんとテンキーだけでも操作できるのである。つまり食べ物片手にプレイできるってわけだ(お行儀悪いけど)。
 またダイナソアRでは,画面中に"MAPアイコン" "GUARDアイコン" "EXITアイコン" "SETアイコン"の四つが追加されている。これらはすべてアイテムや技術をワンクリックで行うためのもので,対応するアイテムも技術もない場合は表示が薄くなり,当然クリックしても反応がない。それぞれの内容は,以下の通り

・MAPアイコン(F1キー)……"空間感知" "SEARCH" "ランプ"のどれかを使う。優先順位は変更可
・GUARDアイコン(F2キー)……"守護方陣" "SILENCE"のどちらかを使う。優先順位は変更可
・EXITアイコン(F3キー)……"空間転移" "EXIT"のどちらかを使う。優先順位は変更可
・SETアイコン(F4キー)……"糸巻"を使用する。使用後「繰り出す」か「巻き取り」のどちらかを選択

 それぞれのアイコンは,括弧書きで入れたようにショートカットキーにも対応している。どのコマンドも頻繁に使うものだけに,非常に便利になったといえる(数歩ごとにF2キーを押せば,全くモンスターに出会わずに進める!)。

戦闘/技術

 戦闘システムは,グラフィックスを別にすればさほどオリジナルから変化はない。隊列が3×3になったこと,標的をマウスで簡単に指定できること,そしてモンスターがときどきポジションを変更する(ほかのモンスターに隠れるように後ろ側に行ったりする)ことくらいだろうか。
 "技術"も基本的には同じだが,細かい変更点もいくつかある。例えば弓の技術が追加されたし,単に筆者の育て方が悪いのかもしれないが,"恩恵"はオルリックしか使えず,またワッツはなかなか技術を覚えないようだ。それから詳しく検証はしていないが,エリスの"空間感知"のように効果が若干変わっているものもあるかもしれない。
 ダイナソアRで不満に感じたのは,直前に使った技術がセーブデータに保存されないこと。ロードすると,また技術を選び直さなければならないのだ。もっとも,オリジナルと比べれば技術が同時にたくさん表示されるため,さほど苦痛ではない。先述したようにインタフェースの向上のため,片手ですいすい技術が選べるのは小気味いいくらいである。

 さて,前回と今回でオリジナルとダイナソアRを比べてみたわけだが,どうだったろうか? ほかにも「裏シナリオ」「エンディング」といった項目にも触れようかと思ったのだが,まだ発売までひと月近くある現時点では,見送ることにした。これ以上の情報は,いずれ当サイトでレビュー記事を掲載するので,それまでしばしお待ちいただきたい。

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