ダイナソア〜リザレクション〜

「ダイナソア〜リザレクション〜」は,どう生まれ変わったのか?
その1

Text by Iwahama

 きら星の如く有名作品が並ぶ日本ファルコムの全作品群の中で,1990年に発売された「ダイナソア」は,正直,これまで地味な存在だった。しかしそれは,内容の問題ではない。ちょうど日本のPCゲーム界がPC-88シリーズからPC-98シリーズへと移行していたころというタイミング,"イースシリーズ"とは対照的なダークな世界観,当時すでに時代遅れとなりつつあった疑似3Dのダンジョンなどなど,細かい要因が重なり,(日本ファルコム作品としては)あまり目立った結果を生まなかったため,地味な作品になってしまったのだ。

 実際ダイナソアは,決して埋もれてしまうような内容ではなかった。本作の雰囲気が肌に合わず投げ出す人もわずかにいたようだが,手放しで絶賛した人を筆者はたくさん知っている。全ゲーム歴で未だに1番だと言い切る人も知っている。今回ダイナソアがエターナル化されたのも,日本ファルコムの若手スタッフが本作を遊び,あまりの面白さに「ダイナソアをこのまま歴史に埋もれさせてはいけない!」と感じたからだと聞いている。

 さて,時は21世紀だ。いくらここでダイナソアが名作だったと力説しても,過去のゲームであることに違いはない。日本ファルコムはこの過去の名作を,いかに現代に蘇らせたのか? このプレビュー記事では,新旧2作のダイナソアを比較して検証しよう。

 以下では,1990年に発売されたダイナソアを"オリジナル",12月19日発売予定のダイナソア〜リザレクション〜を"ダイナソアR"と表記する。なお,今回ダイナソアRとの比較に使ったのは,PC-88版のオリジナルである。

グラフィックス&キャラクター

 これを比べるのは失礼な話ではあるが,一応確認。もちろん,圧倒的にダイナソアRのほうが綺麗である。当たり前か。
 しかし,単に美しく描き直されているだけではない。以前のままの疑似3Dダンジョンシステムなのは間違いない(90度単位でしか曲がれない)のだが,その描画自体は3Dの雰囲気が強調されており,例えば曲がるときは一瞬で画面が切り替わるのではなく,ググッと目の前の風景が回転するように動く演出が取られている。もちろんこれは瞬間的なもので,決して煩わしいものではないのでご安心を。また,イベントシーンでは通常画面からシームレスに天井を見上げるなんて演出も見られる。

左がオリジナル,右がダイナソアR……と説明するのもバカらしいほど美しくなっている。とはいえ,オリジナルの持つ雰囲気が損なわれないように,いや,むしろより引き立つように配慮されている点も見逃せない
オープニングムービーも比較してみた。静止画と動画,2Dと3D,そしてシーンの順序や見せ方などずいぶん違うが,基本的な内容は同じ

 

天井を見上げているシーン。イベントでしばしば上方,もしくは下方を見ることになる。プレイヤーが自分の意志で上下を向けないのがやや残念
横を向くときはこんな感じ。かかる時間は1秒ほどだろうか。筆者は遊んでいてこの1秒を煩わしいと思ったことはなく,またテンキーの「1」で左カニ歩き,「3」で右カニ歩きが出来るので,扉や階段がなければ曲がらずスイスイ移動可能

 


 キャラクターも,下のScreenshotsを見れば一目瞭然。メインメンバーはもちろん,お店の店員までオリジナルを忠実に再現している。オリジナルに思い入れのある古参プレイヤーでもこれなら違和感なくプレイ出来るだろうし,新規のプレイヤーでもかつての雰囲気を感じながら遊べるだろう。

まったく同じであり,かつ,まったく違う。"エターナル化"とはこういうことなのだろう

 

メッセージ

 オリジナルを知っている人は,ダイナソアRを遊んだとき,おそらくセリフなどのメッセージも完全再現されていると思うだろう。しかし,ごくわずかずつではあるが,修正が加えられているようだ。小説が版を重ねるごとに校正され文章が変わっていくのと同じだろう。
 下の2点の画像を見ていただきたい。オリジナルにはなかった句読点が付き,また漢字も増えて読みやすくなっている。「途」の字が「道」に改められたのも,読みやすさを意識したからではないだろうか。

オリジナル ダイナソアR

 

マップ

 これもメッセージと同じで,似ているけどちょっと違う。全体的に"広く"作り直されているようで,例えばダイナソアRでは街ですら,最初は迷うかもしれない
 ただダイナソアRでは画面右上に常に自分の周囲のマップが表示されていて,しかも行った場所と行ってない場所が色分けされているため,ダンジョン探索はずいぶん楽になった。また"空間探知"の魔法(もしくは同じ効果を持つアイテム)の効果が増しているのも嬉しい進化だ。この魔法を使うと,しばらくの間前述のマップが拡大されて表示される。この魔法の効果が数歩で切れる,また戦闘やメニューを出すだけでも切れてしまうなどが若干残念だが,オリジナルでの同魔法に比べれば,格段に使いやすいといえるだろう。

街の近くの森で撮影。どちらも感覚的には同じ場所だが,ごらんの通りちょっと違う 空間探知の魔法を使ったところ。少しとはいえ,この状態で歩けるのが嬉しい


 さて,今回はここまで。また近いうちに続きを掲載する予定で,そのお題は

■システム
■戦闘/技術
■裏シナリオ

を考えている。もしほかに検証してほしいものがあれば,webmaster@4gamer.netまでメールしていただきたい。可能な範囲で,調べてみるつもりである。

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